重大災害処罰法にも、建設現場は相変らず『速く速く』 2021年4月14日 韓国の労災・安全衛生

全国建設労組が大統領府前で記者会見を行い、「重大災害企業処罰法制定以後も建設現場が変っていない」として、建設安全特別法の制定と建設労働者の雇用保障を要求した。/チョン・キフン記者

建設労働者10人の内8人以上が、重大災害処罰法制定の後も建設現場は変わっていないと答えた。

建設労組は13日に大統領府前で行った記者会見でこのようなアンケート調査の結果を発表し、「安全な建設現場と雇用安定を要求し、全国の建設現場での宣伝戦と、地域別に関連機関との面談を求める」と宣言した。労組は6日から4日間、組合員931人を対象にアンケート調査を行った。調査の結果、建設労働者の85%が「1月に重大災害処罰法が制定されたが、現在まで建設現場の安全状況は変わっていない」と答えた。労組は「根本的に労働安全の環境を変えるよりも、見せかけの安全を強調している」と分析した。

「安全を担当する建設会社の職員は増えたか」という質問に「そのまま」という回答が64%だった。「建設会社から工期短縮への圧力で速度戦を強要されている」という回答も77%になった。「安全を口実に労働者に対する監視・統制が厳しくなった」という回答も58%だった。回答者は「CCTV等で、私生活の侵害が心配なほどの監視をする」とか「追い出し圧力が強くなった」と答えた。

「政府の死亡予防対策にも拘わらず労働者が被災する根本的な理由」を訊いたところ、不法な多段階下請け(66%・重複回答)と、最低価格落札制(63%)、速く速くの速度戦(46%)、信号士の配分がないなど建設会社の安全管理監督の手抜き(41%)、の順に応答率が高かった。

一方で、15%が「重大災害処罰法の制定以後、安全状況が変わった」と答えた。△安全教育の拡大と強化、△安全通路・消火器・墜落危険区間の明示など安全施設の設置、△脚立はしごの使用禁止などの取り締まり、△安全重視の雰囲気、△作業前の危険要素チェック、をその理由に挙げた。労組は「こうした現場は、多くは財閥系の建設会社が元請けの現場」だと説明した。

この日労組は、「重大災害処罰法制定の後、建設現場に今までいなかった安全管理者を補充し、施設を補完し、教育時間を増やしたが、行く道は遠い。」「労働安全を口実に、安全点検はせずに私生活の侵害が憂慮されるほどの監視をするなど、労働者だけをきつく締め付けている」と主張した。更に「不法請負と最低価格落札制が噛み合って、安全の責任が不明になったり、互いに押し付けあったり、安全管理費が中間で抜かれて安全施設が不備になる」とし、「建設安全特別法を制定すべきだ」と要求した。

建設安全特別法は、発注者や監理・元請けなど、安全の責任を負うべき機関に安全責任を負わせ、違反時の処罰を強化する内容で、共に民主党のキム・ギョフン議員が昨年発議した法案が、国会・国土交通委員会に係留している。

2021年4月14日 毎日労働ニュース チェ・ナヨン記者

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