産災の『責任回避』聴聞会「労働者の不安全な行動」を責める現代重工業 2021年2月22日 韓国の労災・安全衛生

ポスコのチェ・ジョンウ会長が22日に国会で行われた環境労働委員会産業災害関連聴聞会で議員の質問に答えている。/聯合ニュース

22日、国会で史上初めて行われた産業災害聴聞会に出席したポスコなど9社の企業代表は、労働者の不注意に責任を転嫁するなど、責任回避に汲々としていた。企業の代表たちは産災事故を謝りながら、再発防止のための安全対策は具体的に提示できなかった。

この日、国会・環境労働委員会が主管した産災聴聞会には、現代建設・GS建設・ポスコ建設(建設業)、LGディスプレイ・現代重工業・ポスコ(製造業)、クパン・CJ大韓通運・ロッテグローバルロジス(宅配・物流業)の9企業の代表が証人として出席した。共に民主党のユン・ジュンビョン議員が雇用労働部から受けた資料によると、聴聞会の出席対象企業9社で、最近5年間(2016~2020年)に重大災害によって死亡した労働者は103人に達する。

現代重工業のハン・ヨンソク代表は、パク・トクム議員(無所属)が産災事故を予防する対策を尋ねると直ぐに、「事故が起きる類型を見れば、不安定な(作業場の)状態と、作業者の行動によって多く起きている。不安定な状態は変えることができるが、不安定な行動は(改善するのが)大変難しい」と答えた。更に、「常に標準の作業に誘導するが、未だに不安定な行動をする作業者が多い」と繰り返し強調した。現代重工業は出席した9つの企業の中で唯一、6年連続産災死亡事故が発生した企業だ。2016年5人、2017年2人、2018年3人、2019年3人、2020年4人と続き、今年も1人の労働者が作業中に死亡した。これに対して、共に民主党のチャン・チョルミン、イ・スジン議員が『責任回避』の発言だと詰問すると、ハン代表は「作業が定形化されていないという意味」と釈明した。

昨年10月にクパンの物流センターで働き、過労死したチャン・トクチュンさんの事件に関しても、該当企業代表の安易な状況認識が俎上に登った。正義党のカン・ウンミ議員が「(昨年の)国政監査で、チャン・トクチュン労働者の死亡に関連して、(彼が働いた) 7階は業務強度が最も低いと言った。今もそのように考えるか」と尋ねると、クパン・プルピルモントサービスのジョセフ・ネイソン代表は「職責によって違うこともある。物流量に関してはそうだと思う」と答えた。しかし、勤労福祉公団は9日に、チャンさんが死亡直前に週に62時間10分働き、深夜労働をしたことを根拠に業務上疾病と認定している。ノートン代表は「遺族たちがどれくらい深い傷を負ったか、想像さえできない。再発防止のために最善の努力をする」と話した。彼はチャンさんの遺族に会ったかという質問に、「訪ねて謝罪し、必要な補償と支援をする」と約束した。

ポスコは死亡事故を謝罪し、1兆ウォンを産業安全投資に使うと明らかにしながら、具体的な対策を示せなかった。ポスコでは、昨年12月から3件の産災死亡事故が続いた。この日、ポスコのチェ・ジョンウ会長は「国民の皆様に心配をかけたことに対して、非常に申し訳ない」とし、「3年間に1兆3千億ウォンを投資して老朽施設を改善したが、不十分だった。今後3年間に1兆ウォンを安全に投資する」と明らかにした。しかし共に民主党のノ・ウンレ議員は「ポスコの整備費を計算すると、過去3年間の(安全投資は) 1400億ウォン余りに過ぎなかった。1兆ウォンはどこへ行ったのか」と問い詰めた。国民の力のパク・テス議員も「ポスコは(安全投資の内)『安全管理施設』に80%を支出したと言ったが、細部の執行内訳を要請したが拒否された」と質問した。チェ会長は少し考えて「10億ウォン以上(の支出)について内訳を提出する」と答えた。

ポスコは、事業主が産業安全保健法によって作成することになっている『危険性評価報告書』を、聴聞会・労働部の監督などに備えて操作した情況が現れて、議論が起こった。ノ・ウンレ議員が入手して公開したポスコの社内業務指示メールを見ると、「何日か前に2020年の危険性評価を修正したが、追加で2018~2019年の危険性評価についても修正をお願いする」と書かれているなど、報告書の操作を指示した内容が含まれている。ノ議員は「安全を無視するポスコの姿が端的に出てきた」と指摘した。

民主労総のイ・ヒョンジョン労働安全局長は、「聴聞会に出席した企業代表は、『事故は労働者の失敗』といった発言をしているが、現場を知らない幽体離脱の話法」とし、「今年、産業安全保健法によって、代表理事に労働者の安全計画を樹立して報告する制度が施行され、重大災害法(重大災害処罰などに関する法律)も制定されたが、全く警戒心がない。雇用労働部が履行の有無を厳しく点検し、労働者が参加して労働安全・産災の情報を共有すべきであるということを示した」と指摘した。

2021年2月22日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/984048.html