ポスコ労働者、癌の診療は『一般会社員の1.9倍』 2021年2月18日 韓国の労災・安全衛生

カン・ウンミ正義党院内代表(黄色い服)が、昨年12月23日に国会正門前で行われたポスコ職業性癌の全数調査と安全保健診断要求の記者会見に参加して発言している。/共同取材写真団

ポスコの労働者が一般の会社員より高い割合で腎臓癌と皮膚癌、血液癌などと診断され、治療を受けたことが確認された。昨年、ポスコの労働者11人が、『職業性癌』の産業災害申請と同時に、会社の労働者の癌発病に対する全数調査を要求したことがある。

18日、『ハンギョレ新聞』が正義党のカン・ウンミ議員室から入手した『全国の職場加入者とポスコ従事者の特定疾患別の年平均診療人員』を見ると、過去10年間で、ポスコの労働者が一般の会社員より、腎臓癌と皮膚癌、血液癌などで最大2.7倍多く診療を受けていたことが分かった。国民健康保険公団の2010年から2019年までの10年間の診療記録を基に分析した今回の資料を見れば、この期間に癌で診療を受けたポスコの従事者は、腎臓癌162人、皮膚癌48人、血液癌9人、口腔癌76人、中血軟組織癌37人などだった。同じ期間の人口10万人当たりの年平均診療人員基準で見ると、全国職場加入者対比で、ポスコの労働者の腎臓癌は1.9倍、口腔癌・皮膚癌・中血軟組織岩は1.5倍多かった。ポスコの労働者の95%を占める男性労働者だけで見れば、腎臓癌1.4倍、皮膚癌1.5倍、血液癌2.7倍も多く癌の診療を受けた。

製鉄所はコークス工程などで多様な発癌物質が発生すると知られている。労働環境健康研究所のイ・ユングン所長は「事務職と現場職の区分がなく、解釈上の限界はあるが、腎臓癌・血液癌などは主にコークス工程で排出される物質に関係すると推定される」とし、「コークスを作って精製する過程で残る物質(コールタールピーチ)も、皮膚癌の原因となる恐れがある」と話した。

特に今回の集計は、ポスコの労働者の在職当時の健康保険記録を基に分析されたもので、実際の数値はさらに増えるだろうと思われる。多くの人は、退社以後に職業性癌の判定を受けるためだ。実際2007年にポスコの浦項製鉄所で、鉄鉱石を溶かして溶けた鉄を作る製銑工程などで32年間働いたA(72)さんの場合、退社後の2019年の健康診断で血液癌3期の判定を受けた。イ所長は「職業性癌は30~40年後に出てくることが多い。今回の調査から抜けた下請け労働者まで含めば、癌の発生比率は更に高まる可能性もある」と話した。

カン・ウンミ議員は「雇用労働部が安全保健診断と有害危険性の調査をし、ポスコの下請け業者、近隣住民の健康に問題がないか、広範囲な疫学調査を実施すべきだ」と話した。これに対してポスコ側は「診療人員と確定診断の人員が違っている。統計が客観的でない」と釈明した。

一方、2月22日に行われる国会・産業災害聴聞会に証人として採択されたポスコのチェ・ジョンウ会長が、今日、持病を理由に出席しないと通知し、論議が起きるものと見られる。

2021年2月18日 ハンギョレ新聞 パク・ジュンヨン記者

http://www.hani.co.kr/arti/society/labor/983603.html