繰り返される産災(労災)事故予防に、災害調査報告書の公開を 2021年2月9日 韓国の労災・安全衛生

先月5日、産業災害被災者の遺族が、国会前で重大災害企業処罰法制定を要求する記者会見をしている。/キム・チャンギル記者

企業別の産業災害原因を糾明し、予防対策などを内容とする『災害調査報告書』を、外部に公開すべきだという雇用労働部の委託研究の結果が出た。産業安全保健公団が作成する報告書は、現在は非公開が原則だ。報告書が公開されれば、企業別の産災の実態に対する公論化と市民社会の監視・評価が活性化するものと見られる。

京郷新聞はこのような内容の『災害調査報告書の質的向上のための研究方案研究』を、共に民主党のヤンイ・ウォンヨン議員室を通じて入手した。

研究チームは、安全保健公団中央事故調査団が調査したもののうち、社会的な関心が大きい事故と繰り返し発生する事故の場合、個人情報と企業の敏感情報を削除した後、一審裁判所の判決から30日以内に、報告書全体を公開するように勧告した。これに該当する報告書は年間30件程になると見られる。

報告書が公開されれば、同一の重大災害の反復的な発生を予防する効果があるものと考えられる。昨年の利川物流センター火災事件の当時にも、同様の過去の火災事件報告書が公開されて分析されていたとすれば、事故を防ぐのに役に立っただろうという主張が出てきた。

セミョン大保健安全工学科のカン・テソン教授は「災害調査報告書が公開されれば、繰り返される災害の原因を把握して予防する助けになる」とし、「初めは30件から始めても、拡大する政策方向が必要だ。事故が起きた直後、あるいは事業場が起訴された場合の公開など、報告書の公開日も考える必要がある。災害事業場の法人名称も公開しなければ、警戒心を高めることができない」と話した。

研究チームは中央事故調査団の調査期間も、現行の7日から14日に延ばすように勧告した。また、事故のパターンによるオーダーメード型の重大災害調査モデルの必要性にも言及し、三つの代案を提示した。モデル1は、災害原因が比較的単純な事故で、7日以内に公団が自ら調べる。モデル2は、中大型の事故で、内・外部の専門家が参加して二次調査まで実施する。モデル3は、社会的な物議を引き起こした大事故が該当する。中央事故調査団が編成され、調査期間は状況によって決める。

研究チームは2019年に発生した重大災害799件のうち、事業場の情報などが正確な711件を分析した結果も報告書に入れた。事業場規模別には5~49人の事業場で発生した重大災害が397件(55.8%)で最も多く、続いて5人未満(203件、28.6%)、100人以上(58件、8.1%)、50~99人(53件、7.5%)の順だった。

報告書には、労働部の報告書の作成が表面的に行われているという内容も入れられた。研究チームが、労働部の勤労監督官と公団の専門家28人にインタビューしたが、ある安全保健公団の職員は「災害原因と対策に関する内容は、本当に単純で明瞭に作成する」と答えた。研究チームは「報告書は、労働部が事業主を処罰するための基礎資料として利用されていて、個人的な意見が反映されれば、今後の裁判の時に争いの素地として作用する可能性があるため」と分析した。

2021年2月9日 京鄕新聞 コ・ヒジン記者

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202102090600005&code=940702