裁判所も産災(労災)を起こした企業への処罰基準を変える 2020年1月11日 韓国の労災・安全衛生

重大災害処罰などに関する法律(重大災害処罰法)が8日に国会を通過した。息子を産業災害で失った両親たちが1ヶ月間食を断って、国会の前で冷たい冬を過ごしたあげく、法案はやっと国会の敷居を越えた。

故キム・ヨンギュン労働者の母親・キム・ミスクさんは、法案が国会を通過した直後に行われた記者会見で「今、法が作られたが、終わりではなく始まりだと考える。」「この法が本当に人を生かす法になるには、裁判所が法の通りに正しく判決するかを監視しなければならない」と話した。国会がたとえ穴だらけの粗い重大災害処罰法を作ったとしても、産業災害は作業者個人の過失で起きる『事故』ではなく、労働者を死に追い込んだ企業犯罪という点を明確にしたことに意味がある。このような意味を生かすためには、検察と裁判所は、今までとはまったく違う態度で、産業災害事故を企業犯罪として扱わなければならない。

大法院・量刑委員会によれば、11日に行われる会議で産業安全保健犯罪量刑基準を議決する予定だ。この間裁判所は、死亡時には懲役7年まで処罰できる産業安全保健法違反犯罪に、ほとんど執行猶予や罰金刑を宣告してきた。雇用労働部の委託研究によれば、2013年から2017年の間に、懲役刑や禁固刑を宣告された事業主や安全保健責任者は2.93%(86人)に過ぎない。このうち60%は1年未満の刑だった。罰金刑の場合、自然人は平均420万ウォン、法人は平均448万ウォンに終わった。

金鎔均法と呼ばれる全面改正された産業安全保健法を適用しても、処罰水準は変わらなかった。京郷新聞が昨年の産業安全保健法違反事件の一審判決を全数調査した結果を見ると、改正産業安全保健法を適用した9件で、罰金の平均額は自然人340万ウォン、法人525万ウォンで、かえって処罰が軽くなったことが明らかになった。法が強化されても、裁判所の態度が変わらなければ効果がないということだ。重大災害処罰法は重大災害を起こした経営責任者(自然人)は懲役1年以上と刑の下限に釘をさしたが、法人に対しては下限をなくすように後退した。1年後に重大災害処罰法が適用されても、検察と裁判所の認識に変化がなければ、このような状況はまた繰り返えされることになる。

大法院・量刑委は産業安全保健法違反犯罪に対する量刑基準を、過失致死と区別される『過失致死傷・産業安全保健犯罪』に変えて、適用対象も請負人にまで拡大する方案を議論する。11日の会議では、勧告刑量範囲、量刑因子、執行猶予基準がどれくらい変わるかに関心が集まる。

クォン・ヨングク弁護士は「今までは、企業が重大災害を起こしても、法規違反や交通事故のような過失犯と見て、量刑基準も過失犯の水準に合わされたが、これからは過失犯ではなく一種の故意犯、企業次元の組織犯罪としての認識転換が必要だ。」「高い場所で働かせて墜落防止措置を執らなかったり、密閉された空間で働かせて、窒息事故を予防する義務を果たさずに重大災害が発生すれば、予防作業をしていないのは単純な失敗ではなく、故意的な違反と見て処罰すべきだというのが、重大災害処罰法の目的であり趣旨」と話した。クォン弁護士は「このような法の趣旨が実現されるには、検察と裁判所にも、産災事故を扱う認識の転換がどうしても必要だ」と強調した。

2021年1月11日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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