2020年、産災(労災)事故の死亡者が増えた 2021年1月5日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/チョン・キフン記者

昨年、産業災害事故で亡くなった労働者が2019年(855人)より増えたことが判った。2022年までに産業災害による死亡者を500人台に減らすという文在寅政府の国政目標は、達成しにくい見通しだ。更に、昨年1月に「産業災害を画期的に減らし、安全で健康に働ける条件を作る」として全面改正した産業安全保健法を施行したのに、別段の効果を発揮していないことで、労働安全に関する法・制度改善の世論に力が付くものと見られる。

雇用労働部と安全保健公団によれば、昨年、仕事中に発生した重大災害で命を失った労働者は860人内外であると、暫定集計された。2019年の産業災害事故死亡者の855人より多い。

文在寅政府はスタート初期に、産業災害事故による死亡者を半分に減らすという目標を、国政課題として提示した。疾病による死亡者を除いて、1年に1千人内外発生していた重大災害死亡者を、500人台に減らすと約束した。産業安全監督官など勤労監督官を増やし、2018年には、泰安火力発電所の非正規職・金鎔均労働者の死を契機に、産業安全保健法を全面改正した。災害が頻発する建設現場を対象に、集中的な予防活動を展開した。重大災害に対する社会的な警戒心を高めるだけでも大きな縮小効果があるだろうと見通した。成果がなかったわけではない。

産業災害を承認されて産業災害給付の支給を完了した者を対象に集計する、政府の公式産業災害統計によれば、2018年に971人だった死亡者は、2019年には855人に大幅に減った。鼓舞された政府は、昨年は800人台の序めから790人台を目標値にした。期待は外れた。

利川の火災惨事のような大型事故が発生するなど、建設現場で事故が次々と発生したのが原因と思われる。小規模事業場で、機械に挟まれたり墜落するなどの事故のニュースも絶えず、宅配労働者の過労死など、以前にはあまり発生しなかった重大災害も少なからず起きた。コロナ19で産業活動全般が萎縮した状況で、産業災害事故の死亡者が増えたという点には注目しなければならない。

昨年1月に「2019年、死亡者が大幅に減少した」と広報した労働部は、今年はサプライズ発表をしない雰囲気だ。労働部は通常3月に産業災害統計を発表する。

産業災害死亡者が増加して、現在の産業安全保健体系では国政目標の達成が不可能だという主張に、力が付くものと思われる。昨年1月16日に施行した改正産業安全保健法は、「金鎔均のいない金鎔均法」という批判を受けた。産業災害死亡者の遺族と労働・市民・社会団体は、重大災害企業処罰法の制定を要求している。

韓国労働安全保健研究所のリュ・ヒョンチョル所長(職業環境医学専門医)は「事故死亡災害を半分に減らすという目標を実現する過程で、行政力だけで限界があったとすれば他の様々な手段を動員するべきだったのに、そうしなかった。」「重大災害企業処罰法は政策目標に到達する意志を示す尺度になる事案なのに、企業の立場を擁護する政府の態度は残念だ」と指摘した。

2021年1月5日 毎日労働ニュース チェ・ジョンナム記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=200671