帰国を前にした移住労働者、寒波でビニールハウスの宿舎で死亡 2020年12月24日 韓国の労災・安全衛生

帰国を前にした移住労働者が寒波の中、ビニールハウスの宿舎で亡くなった。

これについて、事業主が不安全な臨時家屋を寮として提供する状況を、政府と地方自治体が知りながら、結局死亡事故にまで至ったという批判が起こった。合わせて、生存権を脅かされる状況でも、事業場を思いのままに変更できない雇用許可制度が根本原因だという指摘もされた。

(仮称)『農業移住女性労働者死亡事件対策委員会』によれば、抱川市のあるビニールハウスで、20日にカンボジア国籍の移住労働者Aさんが死亡しているのが発見された。

対策委はAさんの死亡原因を凍死(低体温症)とした。「一緒に働いた4人の同僚によれば、抱川地域は零下18.6度まで下がり、寒波警報が出された18日から、ビニールハウスの宿舎では電気と暖房装置が作動しなかったという。漏電遮断機のスイッチを入れたが効果がなく、他の同僚4人は近くの移住労働者の宿舎で寝て、Aさん一人がビニールハウスに留まったという。暖房装置が作動しなかったのが死亡原因と思われる」と話した。

最長の許容労働期間の4年10ヶ月が経過したAさんは、来年1月10日には故郷に帰る予定だったと伝えられた。

Aさんが泊まった宿舎は、ビニールハウスの中にサンドイッチパネルで作られた臨時家屋だった。勤労基準法施行令と外国人雇用法は、事業主は安全で快適な寮を提供するように規定し、そうでなければ、使用者の同意なく事業場を変更できるとしている。しかし依然として多くの移住労働者が、Aさんのようにビニールハウス、サンドイッチパネル、コンテナといった劣悪な宿舎に住んでいる。

対策委は「どうして21世紀に、凍って死ぬ移住労働者がいるのか」「臨時家屋は『家』のように安全ではない。移住労働者が猛暑と豪雨、寒波を防げない宿舎の問題で困り、宿舎の火災などで死亡する事件が続いて発生している」と叱責した。

更に「農村のビニールハウス宿舎の問題に安易に対応した政府と地方自治体、労働者の安全に関心もない事業主の責任という以外にない産災による死亡」と強調した。

事業者が生存を脅かす宿舎を提供しても、移住労働者は異議さえ言いにくい状況だ。雇用許可制のせいだ。移住労働者は思いのままに事業場を移動できない。外国人勤労者の雇用などに関する法律によって、事業場の変更が原則的に禁止されているためだ。事業主の勤労条件違反など、移住労働者の責任でない理由がある場合にだけ、例外的に許される。

対策委は「『ビニールハウスは家ではない』という私たちの叫びで、昨年(7月)勤労基準法、外国人雇用法改正が成立したが、ビニールハウスを除く臨時の家屋は寮としてそのまま許可され、事業場変更の理由を厳格に規定したため、事実上宿舎の問題で事業場を変更した移住労働者はただ一人もいないなど、改正された寮に関する条項は、移住労働者には無用の長物だった」と批判した。

続いて「雇用許可制を担当する労働部と、不法建築物、不法用途変更などを担当する地方自治体は、雇い主が農地の中に設置したビニールハウスの臨時家屋を、寮として使うことが分かっていても黙認してきた」と強調した。

対策委は、「毎年故障するのは暖房装置だけではない。2004年から始まった雇用許可制は今年で17年が過ぎたが、移住労働者の生存権を保障できず、まともに作動しない故障状態による被害者は続出している」。「特に今年は、3年を超えて賃金を受け取れなかった移住労働者、豪雨で水害の被害に遭った移住労働者、ビニールハウスの寮で死亡した移住労働者など、被害はさらに悪化している」と話した。

対策委は、▲被害移住労働者について徹底した調査を行い、死亡原因を糾明すること、▲遺族に対する謝罪と適切な補償策を用意すること、▲農業移住労働者の寮問題で再びこうしたことが起こらないように、徹底した再発防止対策を準備すること、▲ビニールハウスやビニールハウス内のコンテナ組み立て式パネルなど、不法な臨時施設の寮を禁止すること、▲雇用許可制の弊害をもたらす条項である事業場変更禁止政策を撤回して、事業場変更の自由を許容すること、などを求めた。

一方、事業主側は「女性たちが使う部屋は別の場所よりも暖かくした」と釈明した。警察はAさんの正確な死因を明らかにするために、国立科学捜査研究院に解剖検査を依頼した。

2020.12.24 13:06:45 民衆の声 カン・ソクヨン記者

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