労災処理の遅延で解雇? 労災隠蔽の悪循環を呼ぶ 2020年12月22日 韓国の労災・安全衛生

金属労組蔚山支部

現代重工業の構内下請け業者として17年間、溶接工として働いたA(58)さんは、6月に作業の途中で左肩に激しい痛みを感じて作業ができなかった。病院で回転筋系破裂の診断を受けて、会社に6月15日から7月14日まで1ヶ月間の休職届けを出した。Aさんは復元手術を受け、回復期間などを考慮して10月15日までの休職届けを追加で申請した。ところが、会社が「休職3ヶ月以上は許容できない」として、懲戒委員会の開催と出席を通知してきた。Aさんは「8月初めに申請した産災の承認がまもなく決まりそうだから少しだけ待って欲しい」と要請したが、9月28日付で解雇を通告された。Aさんは10月29日に勤労福祉公団から業務上疾病を認められたが、Aさんは治療の後に戻る場所がない。

金属労組・現代重工業支部社内下請け支会が「産災(=労災)処理の遅延によって労働者が苦痛を受けている」として公開した事例だ。

労組の蔚山支部と現代重工業支部は20日、勤労福祉公団・蔚山支社の前で記者会見を行い「迅速で公正な補償という産災保険制度の目的が、行方が分からない程に消えて、無制限に遅れる産災処理で、災害被災労働者と家族は二重三重の苦痛に遭っている」として、対策作りを要求した。

昨年7月から、発生頻度が高い6大筋骨格系疾患に罹る労働者の場合、推定の原則が導入されたが、現場では依然として産災処理が遅れているという問題が提起された。6大筋骨格系疾患の推定の原則は、迅速な産災補償のために、一定の基準を充足すれば、反証がない限り業務上疾病と認定する方式だ。学校給食や会社の食堂の調理員の仕事をする労組の現代グリーンフード蔚山支会の組合員二人は、7~8月に回転筋系破裂などで産災を申請したが、未だ承認されるのかどうかを知ることができない状況だ。回転筋系破裂は、推定の原則が適用される6大傷病の中の一つだ。現代グリーンフードのヤン・スンニョル蔚山支会長は「二人は9年以上働いて、適用基準は満たされているのに、迅速な決定は行われていない」。「処理の遅延で不安感が大きくなり、精神的ストレスが大きい上に、休職届を出すと月給が保全されず、生計の問題も発生している」と話した。

産災処理の遅延は、結局、労働者に産災の申請を忌避するようにさせ、産災隠蔽という悪循環を生むという指摘もされる。現代重工業支部社内下請け支会のチョン・ドンソク首席副支会長は「産災処理の遅延で、解雇と生計問題など、労働者が不利益を甘受しなければならない状況が拡大すれば、結局、産災申請を忌避することにならざるを得ない」と指摘した。

2020年12月22日 毎日労働ニュース オ・コウン記者

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