職場内いじめ陳情、5件中4件は『取り下げ・行政終結』 2020年12月9日 韓国の労災・安全衛生

国会・立法調査処が職場内いじめ禁止法の実効性を高めるために、罰則規定を定め、勤労監督を強化すべきだと注文した。

立法調査処は8日に職場内いじめ根絶のための課題報告書を発刊した。職場内いじめの禁止を内容とする勤労基準法は、昨年7月16日に施行された。職場内の地位や関係の優位性を利用して、業務上の適正範囲を越えて、他の労働者に身体的・精神的苦痛を与えたり勤務環境を悪化する行為を禁止する。職場内いじめ発生時の申告と調査をはじめとする被害者の保護と加害者への措置を規定した。

しかし法施行以後も、いじめは絶えなかった。9月30日までに雇用労働部に受け付けられた職場内いじめに関する陳情事件は5658件だ。この内1027件(18.1%)は改善指導がされたり、検察に送検されたが、2512件(44.3%)は取り下げになり、1788件(31.6%)は法施行以前の事件や5人未満の事業場という理由で、行政終結された。331件は処理中だ。受け付けられた5件中4件が取り下げか行政終結など、特別な措置なく終わったわけだ。立法調査処のチョン・ヒョンジン環境労働チーム立法調査官は「法施行にも拘わらず、職場内いじめの陳情事件に対する事後措置が適切になされているとは考えにくい結果」だと説明した。

職場内いじめに関連した制裁規定の不十分さが原因とされる。立法調査官は「立法の過程で、職場内いじめに対しては最小限の罰則を規定するのが望ましいと考えて、いじめ行為者への制裁規定を置かなかったため」とし、「職場内セクハラの義務違反に対しては明示的な過怠金を決めたことと比較して、制裁規定の不備は制度の実効性を下げる」と指摘した。

男女雇用平等と仕事・家庭両立支援に関する法律(男女雇用平等法)は、職場内セクハラ義務の違反事項を5つ置き、500万または1千万ウォン以下の過怠金を賦課している。

法適用の範囲と適用対象も問題だ。現行の職場内いじめ禁止法は、就業規則作成の義務がある10人以上の事業場を対象にし、使用者と労働者の使用従属関係を前提とする。元・下請け関係やマンションの入居者など、第三者によるいじめは除外される。

勤労監督も不十分だった。立法調査官は「勤労監督を実施したのは9月末で33件に過ぎず、全国に設置した職場内いじめ相談センターは8ヶ所で、少ない」と説明した。

このような盲点を解消するために、国会にはマンションの入居者など特殊関係であるいじめ規定と、5人未満の事業場に適用など、15件の関連法の改正案が発議されている。

2020年12月9日

毎日労働ニュース イ・ジェ記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=200229