製鉄所労働者の肺癌、推定の原則を適用して石綿起因の職業性癌と認定 2020年12月9日 韓国の労災・安全衛生

製鉄所で20年以上働いて肺癌に罹った労働者が、以前に石綿に曝露していたと推定されるという疫学調査の結果によって、産業災害を認められた。現在の作業環境から石綿が検出されなくても、推定の原則に基づいて職業性癌の認定範囲を判断したものとして、注目される。

労務法人チャムトによれば、勤労福祉公団は12月1日、現代製鉄の唐津工場で働いたAさんの肺癌が、職業性癌に該当すると判定した。Aさんは1995年の韓宝鉄鋼の時期に入社し、2014年に砒素細胞肺癌の診断を受けるまでの間、鉄筋工場と製鋼工場でクレーン運転手として19年9ヶ月間働いた。150トンの電気炉に屑鉄を投じる用クレーンを主に運転した。クレーンの運転の他にも、週1回、シャベルやエアーコンで、クレーンの天井に積もった粉塵を掻き集めたり、装備を点検する業務もした。

公団の職業環境研究院は、Aさんが働いた鉄筋工場と製鋼工場で三回の作業環境曝露評価を実施したが、肺に影響を及ぼす『結晶型ガラス珪酸』は検出されないか、曝露基準よりも低く、石綿は検出されなかった。

しかしAさんがかつて働いていたクレーンは、現在と違って有害物質流入遮断用の二重ドアと陽圧設備がなかった。石綿規制が始まった2009年以前には、クレーンで運んだ屑鉄に石綿が含まれた可能性があること、高温作業による上昇気流のために、粉塵と有害物質が床面より30メートル上にあるクレーンではより多く検出されたこと等も重要だと考えられた。公団はこれを根拠に、Aさんが相当レベルの石綿に曝露したと推定した。

2017年にも、公団は現代製鉄のヨンジュ工場で機械保守作業をした労働者の肺癌を、職業性癌と認定した事例がある。キム・ミンホ公認労務士は「今回の疫学調査の過程で、現代製鉄の唐津工場内で、肺癌と白血病など癌発病者と死亡者が10~20人以上もあるという事実を確認した」と明らかにした。労務士は「石綿肺癌が最短で10年、永ければ30年以上の永い潜伏期を経て発生するという点を考慮すれば、追加の被害者が出てくる可能性も排除できない」として「詳しい実態の把握と対策作りが急がれる」と指摘した。

2020年12月9日 毎日労働ニュース キム・ミヨン記者

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