嘘をやめ会社はCCTVを公開せよ- 転落死した貨物労働者の息子が呼びかけ 2020年12月4日 韓国の労災・安全衛生
「会社にはCCTV資料があります。父にどのようにして事故が起き、どのようにして亡くなったのか、CCTV資料があります。会社は嘘をやめてCCTV資料を公開して真実を明らかにしなければなりません。」
先月、霊興(ヨンフン)火力発電所で、貨物車から転落して亡くなった貨物運転士・シム・ジャンソン(51)さんの息子が、4日に大統領府の前で行われた記者会見で、会社に真相究明のためのCCTV資料の公開を求めた。
シムさんは「事故地点を4方向から撮ったCCTVがあるが、まだ2つしか見られない。その資料が明らかになれば真実を明らかにできる」と話した。
シムさんは「発電所が私たちに真心のこもった謝罪をしたという記事を見たが、私たちは謝罪を受けたこともなく、会社が謝罪したこともない。」「発電会社の社長は、会社で誰かが亡くなったが、その事故についてもよく知らないよ」と話した。
更に、「本部長は葬儀室で、『私たちが下請け業者によく言っておくから、向こう側と合意するようにしろ』『私たちに誤りはない』と繰り返した」と話した。
シムさんは「父の口惜しさを一日も早く解かなければならない。未だ父の葬儀も行っていない」とし、「父の最後のカード決済の内訳を見ると、夕方に食事されたのは暖かいご飯ではなく、パリバゲットで3千ウォンのパンを一つ買われた」と言って涙を流した。
この日の記者会見を主催した公共輸送労組発電非正規労組は、「発電所はとても危険なところなので、ないほうが良いが、国家産業として必ず必要で、それもできないところ」なのに、「それでも危険の外注化が続いている。今回の事故の真相を糾明して、危険の外注化を止めなければならない」と声を強めた。
労組は「石炭殻を積み込む業務は貨物労働者の業務ではない。発電所の装備を使わなければならないから、発電の労働者がすることになっている。」「しかし該当の業務が外注化され、外注委託の特性上、人員を最小化するという方向で業務が貨物労働者に押し付けられた」と話した。
また「故人が事故に遭った時、傍には誰もいなかった。このように危険な発電所の業務空間に、安全管理者がいないことを誰が理解できるか。」「二人一組の業務にするべきで、別に安全管理者が必ずいるべきだ」と強調した。
金鎔均財団のキム・ミスク代表はこの日の記者会見に参加して、「(シムさんが)パパを失ったぞっとする痛みも後回しにして事件の真相を暴く姿と、使用者側がすべての責任を故人に転嫁する姿は、私が経験したことと一つも違わない」、「こうして亡くなったこともどんなにか口惜しいが、事故の責任までとれと、こんなに口惜しいことがどこにあるか。変わらない発電所の姿を見ていると鬱憤が爆発する」と話した。また「息子の事故と、9月に韓国西部発電の泰安火力発電所であった事故のすべてが、安全装置の不足、二人一組の未履行、事故後の安易な対処などがそっくりだ」とし、「危険の外注化に押し潰されて、死の外注化になった」と批判した。
一方、中部地方雇用労働庁はこの日、霊興火力発電所に対する産業安全保健勤労監督をすると明らかにした。産業安全保健法施行規則第3条により、この発電所は死亡者が一人以上発生した重大災害事業場に該当する。中部雇用庁は事故が起きた石炭殻搬出工程の全般的な産業安全保健法違反を把握し、違法行為が摘発されれば司法措置や過怠金賦課の処分をする予定だ。
2020年12月4日 民衆の声 キム・ミンジュ記者