ポスコ、安全管理に3年間で1兆ウォンを投資 2020年12月3日 韓国の労災・安全衛生

金属労組は2日、ソウルのポスコセンターの前で、ポスコ糾弾・代表理事拘束要求記者会見を行った。/金属労組

ポスコが2日、産業災害事故の再発防止のために、今後3年間で1兆ウォンを追加で投資する特別対策を発表した。先月24日に光陽製鉄所で酸素配管の遮断作業中の火災によって3人が亡くなる事故が発生した翌日、チェ・ジョンウ代表理事名の公式謝罪文を発表した。

ポスコは2年前にも、浦項製鉄所の酸素工場で労働者4人が窒素ガスで窒息して死亡する事故が発生すると、直ぐ次の日に謝罪文を出し、同年5月には、3年間の安全予算として1兆1050億ウォンを執行すると発表した。

昨年、ポスコの光陽・浦項製鉄所では、挟まれ・爆発・墜落などで3人が亡くなった。今年も7月の墜落事故と今回の事故で4人の労働者が死亡した。莫大な安全予算の投入が面目を失う程、ポスコの製鉄所では産災死亡事故が繰り返されている。労働者は、2年前の対策以後も「変わっていない」とし、「見せかけの対策でなく、皮膚で感じられる実質的な対策を準備しなければならない」と声を強めた。

2年前の対策と類似

ポスコが2日に発表した内容は、△3年間に1兆ウォン投資、△安全管理要員の2倍増員と非常安全防災改善団の運営、△役職員の安全力量の向上のための安全技術大学の設立の三つだ。先ず、3年間に1兆ウォンを投入して、危険・老朽設備を全数調査し、安全防護装置を設置し、危険設備の手動バルブを自動化する。CCTVの追加設置と、安全事故訓練インフラも構築する予定だ。安全管理要員を300人から600人に増やして安全防災改善団を運営し、密閉施設を優先点検する。社内教育機関の一環として安全技術大学を設立し、協力会社を含む全役職員に産業安全教育も実施する。

細部的な内容に違いはあるが、大枠としては2年前と大きく変わっていない。労働者を対象にした安全教育・監視強化に集中しているという点は同じだ。2018年5月に発表した安全対策は、△組織の新設と人材育成、△密閉空間のように重大災害が発生しうる場所・施設に安全装置を補完、△外注会社の思想教育と監視員の配置が主な内容だった。200人の安全専門担当要員を確保して、安全業務のコントロールタワーの役割をする安全戦略事務局を新設すると明らかにしていた。

教育と監視中心の対策は、現実とかけ離れた机上行政という批判が提起された。金属労組の関係者は「安全教育の不備、あるいは安全要員の不足で重大災害が発生するのではない。」「特別対策だとして、見かけはもっともらしいが、現場をしっかり管理して統制すれば良いという発想は、産災死亡事故を現場労働者の不注意のせいにし、個人の責任で処理しようとするものだ」と指摘した。

90%執行されたが「変わったものはない」

ポスコ労組によれば、該当の安全予算は940億ほどが残っている状況だ。ポスコはこの予算を今年の末まで執行する計画だ。90%ほどが既に執行されたが、現場で表面化した変化はないと口をそろえる。金属労組・光州全南支部ポスコ支会によれば、1日の光州地方雇用労働庁の特別勤労監督ブリーフィングで、ポスコ側は安全専門担当要員を180人増員したと明らかにした。『200人の安全専門担当要員の確保』の一環だと見られる。しかし、今必要なことは、安全要員ではなく、実際の業務に投入される現場の人員だと指摘する。

ポスコ労組によれば、ポスコでは年間500~600人の退職者が出ている。しかし、新規人員の採用はコロナ19などを理由に延期され、今年は一度しか行われなかった。人員の補充はないが、浦項・光陽製鉄所は正常稼働され、各パート別の生産量は同じように維持している。少ない人員に同じ業務量では、『速く』業務を処理する他ない構造に繋がる。下請け労働者の場合は人員が縮小されている。ポスコは下請け企業に対し、今年から3年間に、運営費の5%削減を要求していると分かった。

金属労組のキム・チャンモク・ポスコ支会長は「酸素配管の遮断作業は、本来協力会社の業務なのに、人員不足で直営と混在して業務を行ったと推定される」とし、「ポスコは自動化・スマート化するというが、配管点検などの業務は肉眼での点検が必要で、結局適正な人員を必要とする」と話した。

金属労組の関係者は「十分な人員と作業時間が準備された状態で、労働者が働ける条件なのかを先ず点検すべきだ。」「対策を発表する前の対策樹立の段階から、現場作業者の意見を聴く過程が前提にされなければならない」と指摘した。

2020年12月3日 毎日労働ニュース オ・コウン記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=200132