車が混んで迂回路もないのに・・拒否できないAI配車 ライダーユニオンが証言 2020年11月3日 韓国の労災・安全衛生


配達労働者が3日に記者会見を行い、配達業者のアルゴリズム自動配車システムが労働条件を悪化させた事例を証言している。/カン・ユンジュン記者

地形上バイクが出入りできないマンション・公園に配車、道路や交通状況を考慮しない直線距離基準の安い配達料、不可能な動線による切迫した配達時間・・・・。「クパンイーツ」「配達の民族」の配達労働者が、最近導入された人工知能(AI)によるアルゴリズム自動配車による被害を証言した。

ライダーユニオンは3日に記者会見を行い、配達業者のアルゴリズム自動配車システムがライダーの労働条件を悪化させていると明らかにした。配達料など労働条件を決めて点数を付け、労働者を評価するアルゴリズム自動配車システムが、労働者を指揮・監督しているという主張だ。

配達労働者は一般配車とAI配車の内、一つを選択して配達要請を受けることができる。一般配車モードでは、労働者が物品受領の場所と到着地を見て、直接コールを受けられる。AI配車モードでは、アルゴリズムが自動でコールを配分する。労働者は受諾または断ることができる。ライダーユニオンのク・キョヒョン企画チーム長は「初めにAI配車に追加配達料を与えるプロモーションで、ライダーをAI配車に誘導した」「AI配車が定着した後は、一般配車のコールは殆どなくなった」と話した。食品配達デジタルプラットホーム企業の「配達の民族」は、2月に首都圏の一部地域にAI配車システムを導入し、7月からは全地域に拡大した。「クパンイーツ」と「ここです」「プルン」なども自動配車を始めた。

労働者はAI配車のせいでぶつかる問題点を話した。AI配車は実際の距離でなく、直線距離を基準として計算し、配達料は今までより低く設定され、配達時間もより切迫して設定される。天候や交通状況、バイクの出入りが可能かどぷかなどを考慮しない非効率的な配車も繰り返される。ソウルで6年間配達をしているキム・ジュンヨンさんは「前に建物があろうが、グリーンベルトがあろうが、学校があろうが、そのまま直線距離による料金が普遍化した」とし「バイクの出入りが制限されて、何百メートルも歩いて行かなければならない公園やマンションにも配分される」と話した。

直線距離で動線を案内する配達アプリ(左側)と実際の距離を案内するナビゲーションアプリ(右側)/ライダーユニオン提供

ライダーユニオンが提供した資料を見ると、一般ナビゲーション・アプリで最短22分が必要とされる場所の配達コールが、「配達の民族」のAIアプリでは直線距離で案内され、『配達12分程』となった。ソウルの中区にいる労働者に城東区に行けとか、麻浦区にいる労働者に中区に寄って西大門区に行くような配車をするなど、非効率的なコールの情報も提供された。

コールに生活が懸かっている労働者は、AIシステムが無理な要求をしても断り難い。受諾率が落ちれば配車で不利益を受けるかも知れないという心配のためだ。「配達の民族」で5年目のイ・ビョンファンさんは「AI配車を連続して断ったところ、いつからかAI配車をされなかったので、一般配車モードに入ったが、コールは0だった」「偶然、別のライダーの画面を見たら、(同じ時間・位置で)コールが80個も来ていた」と話した。イさんは「配車を断るとコールが入ってこないので、やむを得ずコールを受諾する」「長い距離を短い時間内に配達しなければならないから、乱暴運転、信号違反まですることになる」と話した。

ライダーユニオンのパク・ジョンフン委員長は「どこに行くか、いくらを受け取るのかの労働条件を規律してライダーを評価するアルゴリズムは、事実上プラットホーム労働者を指揮・監督する就業規則」とし、「(就業規則を)労働者に不利に変更するには、労働者の同意が必要なので、ライダーに団体協約など、アルゴリズムに対応できる権限を与えなければならない」と話した。

2020年11月3日

京鄕新聞 オ・ギョンミン記者

http://news.khan.co.kr/kh_news/khan_art_view.html?artid=202011031654001&code=940702