『労災の死角地帯』20トン未満の小型漁船に 初の関係部署合同の指導点検 2020年8月23日/韓国の労災・安全衛生

韓国で移住船員に働いていた中国人Aさん(47)が、1月12日、釜山チャガルチ市場の入り口に停泊した漁船を眺めている。
2009年の船員ビザを受けて韓国で初めて乗った船だ。京郷新聞 資料写真

韓国・雇用労働部が、この間産業災害の死角地帯に放置されていた20トン未満の小型漁船に対して、24日から来月18日まで、産業安全の指導・点検を始めることにした。小型漁船の産災予防のための関係部署合同の指導・点検は、事実上今回が初めてだ。

国内の多くの漁船が20トン未満なのに、これら小型漁船の産業災害は、世論の無関心と法令・行政の空白によって死角地帯に放置されていた。船員の安全、労働条件など、全般的な業務環境の基準は『船員法』に規定されているが、20トン未満の漁船は船員法の適用を受けないためだ。産業災害が発生すると、20トン以上の漁船は海洋水産部が担当するが、20トン未満の漁船は産業安全保健法が適用されて、労働部が災害調査を行う。しかし、労働部の産業災害予防は、製造・建設業など、陸地の産業に重心を置いており、小型漁船の産業災害の管理・監督には限界があった。

この間20トン未満の小型漁船では毎年1500人の事故被災者が発生し、40人余りが死亡している。2017年から昨年迄では、20トン未満の漁船で起きた産災によって135人が死亡し、4476人が負傷している。波が打ちつける海の上で作業が行われる漁業の特殊性によって、『倒れる』事故が1328人(29.7%)で最も多く、網を引き上げる『揚網機』などの機械装置に挟まれて発生した事故が1005人(22.5%)で、その次だった。838人(18.7%)は物にぶつかって事故に遭い、256人(5.7%)は落ちたり、溺れた。

労働部は海水部と合同で点検班を編成し、木浦・麗水・統営・済州の4つの地域を中心に、指導・点検を実施することにした。これら4地域では、20トン未満の漁船で起きた産業災害によって、最近3年間で120人(全体の89%)が死亡している。労働部からは4地域の地方労働官署と産業安全監督官・韓国産業安全保健公団の専門家が参加し、海洋水産部からは地方海洋水産庁と漁業管理団、海洋交通安全公団の専門家が指導・点検に参加する。これまで小型漁船に対する指導・点検が行われなかった現実を勘案して、今回の指導・点検では、法違反の事項が摘発されても刑事処罰や過怠金の賦課などはしないことにした。

パク・ヨンマン労働部労災予防補償政策局長は「今回の指導・点検は啓蒙に目的があるので、船主の安全認識の向上と自律改善努力の契機になることを期待する」と話した。

2020年8月23日 京鄕新聞 イ・ヒョサン記者

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