新型コロナウイルス感染症の労災認定事例7例の概要を厚生労働省が初公表:2020年7月10日

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厚生労働省は2020年7月9日までに新型コロナウイルス感染症で労災認定した96事例のうち7事例について、厚生労働省の新型コロナウイルス感染症労災の取扱いを示した【 令和2年4月28日付け基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」 】 (以下「通知」)における「類型」別に、各事例の概要を以下の通り公表した。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災認定事例:厚生労働省(2020.07.10)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る労災請求のご参考となるよう、労災認定の具体的な事例について概要をご紹介します。

なお、同感染症の労災認定の考え方について示した令和2年4月28日付け基補発0428第1号「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(以下「通知」といいます。)に記載している事項に沿って、職種に着目して事例をご紹介します。

1 医療従事者等の事例(通知 記の2の(1)のア)
【考え方:医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる】

事例1)医師

A医師が診察した患者に発熱等の症状がみられ、その患者は後日新型コロナウイルスに感染していたことが判明した。その後、A医師は発熱等の症状が出現し、濃厚接触者としてPCR検査を行ったところ、新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、A医師は、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給決定された。

事例2)看護師

B看護師は、日々多数の患者に対し、問診、採血等の看護業務に従事していたところ、頭痛、発熱等の症状が続き、PCR検査で新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、B看護師は、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給決定された。

事例3)介護職員

介護職員のCさんは、訪問介護利用者宅で介護業務に従事していたところ、利用者に新型コロナウイルス感染が確認されたため、濃厚接触者としてPCR検査を受けた結果、新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、Cさんは、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給決定された。

事例4)理学療法士

D理学療法士は、病院のリハビリテーション科で業務に従事していたところ、院内で新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生し、複数の医師の感染が確認された。それらの医師と接触歴があったD理学療法士にも、咳、発熱等の症状が出現し、PCR検査で新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署における調査の結果、D理学療法士は、業務外で感染したことが明らかではなかったことから、支給決定された。

2 医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定された場合の事例(通知 記の2の(1)のイ)
【考え方:感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる】

事例5)飲食店店員

飲食店店員のEさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
また、労働基準監督署における調査の結果、Eさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。 以上の経過から、Eさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

事例6)建設作業員

建設作業員のFさんは、勤務中、同僚労働者と作業車に同乗していたところ、後日、作業車に同乗した同僚が新型コロナウイルスに感染していることが確認された。Fさんはその後体調不良となり、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
また、労働基準監督署における調査の結果、Fさんについては当該同僚以外の感染者との接触は確認されなかった。
以上の経過から、Fさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

3 医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されない場合の事例(通知 記の2の(1)のウ)【考え方:感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる】

事例7)小売店販売員

小売店販売員のGさんは、店頭での接客業務等に従事していたが、発熱、咳等の症状が出現したため、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。
労働基準監督署において調査したところ、Gさんの感染経路は特定されなかったが、発症前の14日間の業務内容については、日々数十人と接客し商品説明等を行っていたことが認められ、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務に従事していたものと認められた。
一方、発症前14日間の私生活での外出は、日用品の買い物や散歩などで、私生活における感染のリスクは低いものと認められた。
医学専門家からは、接客中の飛沫感染や接触感染が考えられるなど、当該販売員の感染は、業務により感染した蓋然性が高いものと認められるとの意見であった。
以上の経過から、Gさんは、新型コロナウイルスに感染しており、感染経路は特定されないが、従事した業務は、顧客との近接や接触が多い労働環境下での業務と認められ、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと判断されることから、支給決定された。

さらに迅速・幅広な労災認定とより高いレベルの情報公表を

公表されたのは96事例の7例に過ぎないが、現在の認定のあり方を知ることができるようになったのは前進だ。

ただ、 厚生労働省には、さきに報道があった「労災認定17事例」(下表)のような情報項目も含めて、さらに詳細な事例公表を、より多くの事例について求めたい。

同時に全体状況については都道府県別の請求、認定状況等について明らかにするなど、情報公開レベルをさらに上げていってもらいたい。

【厚生労働省公表資料 】

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