職業性胆管がん事件(その7)(校正印刷会社SANYO-CYP):オフセット校正印刷会社における 肝内・肝外胆管癌に関する調査 中間報告書(配付用)2012年9月
熊谷信二(産業医科大学産業保健学部)
Ⅰ. はじめに
2011年3月に、大阪市にある校正印刷会社SANYO-CYP(以下、S社)の元従業員より、同社の従業員(元従業員を含む)の中で数人が「肝臓がん」あるいは「胆管がん」を発症しており、全員が校正印刷部門のものであり、仕事が原因ではないかとの相談を受けた。その後の調査により同年12月までに患者5人について全員が肝内・肝外胆管癌であることを確認し、本年3月に時効のきていない3人が労災申請をした(本年7月に他の2人も労災申請をした)。
本年4月以降も、元従業員の協力を得て、引き続き調査を進めてきており、現在も進行中であるが、9月に厚生労働省に「胆管がんの労災認定に関する検討会(座長: 櫻井治彦)」が発足し、労災認定について検討しているところから、これまでの調査結果をまとめて報告する必要があると考え、中間報告書を作成した。
なお、本調査の実施については、産業医科大学の倫理委員会の承認を受けている。
Ⅱ. 調査方法
1. 対象者
S社の大阪本社の校正印刷部門の従業員(元従業員を含む)で、現在までに氏名の判明したものは男性91人および女性19人、計110人であり、うち正規職員66人、アルバイト44人である。この中で1年以上の勤務歴があるのは男性81人および女性15人であり、現社屋が稼働を始めた1991年以降に1年以上の勤務歴があるのは男性74人および女性15人である。
2. 聞き取り調査
上記の110人の中で、協力の得られた男性33人および女性7人、計40人について、本人あるいは遺族から、属性、職歴、病歴、飲酒・喫煙習慣、およびS社の設備、作業内容、使用物質などについて聞き取り調査を行った。
3. 医療情報の確認
肝内・肝外胆管癌患者については、医療機関に保存されている医療情報により、診断名、血液所見、画像所見、病理所見、原発部位、B型およびC型肝炎ウイルス検査結果などの確認を行った。
Ⅲ. 結 果
1. 設備および化学物質
旧社屋(大阪市東区(現・中央区)粉河町 1985年5月~1991年3月)は地上1階の建物であり、事務室、前室および校正印刷作業場があった。
大阪本社の現社屋(大阪市中央区龍造寺町1991年4月以降)は地上6階・地下1階の建物であり、地下1階に校正印刷作業場および前室がある。図1は1991年から2006年までの設備の配置図であり、図2は2006年以降の配置図である。
1-1 オフセット平台単色校正印刷機
旧社屋には、平台校正印刷機4台(単色機)が設置されていた。現社屋には、2006年までは、平台校正印刷機7台(単色機)が設置されていた。2006年にUV校正印刷を始めたことで、UV照射装置を導入して、平台校正印刷機5台(単色機)になり、現在まで続く。
1-2 化学物質
1) インキ
通常のオフセット印刷用インキ、またはオフセット校正印刷用インキ(大日本インキなど)を使用した。SDSには、顔料、合成樹脂、乾性油、高沸点石油系溶剤などと記載され、顔料としては、黒はカーボンブラック、青は銅フタロシアニンと記載されているが、赤と黄は物質名が記載されていない。特別な色が必要な時は2色のインキを混合し練って使用した。また、ビニルなどへの印刷時には、乾燥促進のためドライヤーを混ぜることもあった。
2) つや出し剤
表面のつや出しが必要な場合(全体の1/10程度)には、印刷後、つや出し剤をコーティングした。また、インキにつや出し剤を混ぜて使用する時もあった。つや出し剤としては、ニューチャンピオン・超光沢メジューム(大日本インキ)およびSDZ・超光沢メジューム(大日本インキ)を使用した。SDSには合成樹脂類、鉱油、植物油、助剤、顔料と記され、物質名は記載されていない。
3) 湿し水
湿し水には水道水を使用し、スポンジにつけて版面を拭いていた。オフセット印刷でよく使用されるイソプロピルアルコールなどは混ぜていない。
4) インキロール洗浄剤
通常の油性校正印刷用のインキロール洗浄剤には、1980年代から現在まで、灯油およびロールワイパー(内外インキ製造)を使用している。ロールワイパーは灯油と水を界面活性剤で混合したものである。1980年代には、灯油とともにトルエンを使用したこともあった。2006年以降開始したUV校正印刷用のインキロール洗浄剤には、グリコールエーテル類、グリコール類、あるいは芳香族炭化水素類を混合したもの(三成化工)を使用している。1990年代の使用量は、1日(2交代16時間)に灯油2缶程度、ロールワイパー2缶程度である。
5) ブランケット洗浄剤
表1にブランケット洗浄剤の使用状況を年代ごとに示す。
① 旧社屋(1991年3月以前)
4台の校正印刷機のうち3台のブランケットはバルカン製のもの、残りの1台は住友ゴム製のもであった。1985年ごろから1988年ごろまでは、バルカン製のブランケットの洗浄にはブラクリーン(日研化学研究所)を使用し、住友ゴム製のブランケットの洗浄にはホワイトガソリン(ガソリンスタンドより購入)とスリーワン(東亜合成化学工業)を1:1で混合したものを使用した。1989年以降はすべてブラクリーンを使用した。この時期のブラクリーンの成分は1,2-ジクロロプロパン50-60%(重量%)、ジクロロメタン15-20%、1,1,1-トリクロロエタン15-20%で、スリーワンの成分は1,1,1-トリクロロエタン95%である。
② 現社屋(1991年4月以降)
1991年から1997/98年までブラクリーンを使用した。成分は1991年から1992/93年までは、1,2-ジクロロプロパン50-60%、ジクロロメタン15-20%、1,1,1-トリクロロエタン15-20%であり、1992/93年から1997/98年までは、1,2-ジクロロプロパン40-50%、ジクロロメタン40-50%、ミネラルスピリッツ1-10%である。1997/98年にブランケット洗浄剤を変更するため、いくつかの洗浄剤を試している。長いものでも数カ月使用、短いものは1日使用で洗浄剤を変更した。そして1997/98年から2006年まで、ブランケットクリーナー(三成化工)を使用している。成分は1,2-ジクロロプロパン98%である。2006年以降は、3種類のもの(三成化工など)があり、いずれもエタノール、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、炭化水素類などの混合物である。
③ ブラクリーン
1997年以前のブランケット洗浄剤については、当時勤務していたもののうち生存者16人から聞き取りができたが、9人が「ブラクリーン」あるいは「ブラクリン」と記憶しており、一斗缶のラベルに青が使用されていたことを記憶しているものが3人、日研化学製であることを記憶しているものが1人いた。15年以上前のことであるが、半分以上のものが証言していることから「ブラクリーン」を使用していたことは間違いないものと考えられる。
S社の文書(胆管がん発症事例について、平成24年7月31日)には「ブランケットクリーナーについては従業員に聞き取りをしたところ、ブラクリンと省略して呼んでいました」と記載し、従業員が記憶している「ブラクリーン」あるいは「ブラクリン」という言葉は「ブランケットクリーナー」の省略した呼び名というように述べている。
しかしながら、「ブランケットクリーナー」が使用され始めた1997年以前に退職した3人も「ブラクリーン」の名前を記憶しており、「ブランケットクリーナー」の省略した呼び名ではないことは明らかである。したがって「ブランケットクリーナー」を「ブラクリーン」と呼んでいたのは、以前に使用していた「ブラクリーン」の名残りと考えるのが妥当である。一方、S社は、1997年以前については記録がないとしているが、何を使っていたかについてはまったく説明していない。
なお、販売元の日研化学研究所の文書(弊社製品に関する件、平成24年6月8日)では1989年以降の成分が記載されているが、同社の説明によると、少なくとも1984年には「ブラクリーン」を販売しており、成分の記録が残っているのは1989年以降のみであるが、同年以前も成分の変更はなかったと思われるとのことである。
④ 使用量
1990年代の使用量は、1日にブラクリーン2~3缶であった。この時期はブラクリーンをブランケット洗浄用としてだけではなく、一部はインキ台に残ったインキの拭き取りや版の洗浄などにも使用していた。1缶が17Lであったので、約45Lである。
PRTR制度により、S社が大阪府に届け出ている2001年の1,2-ジクロロプロパンの大気排出量は年間8,300kgである。1年300日の稼働とすれば1日24L(1.4缶)である。ただし、これは大気排出量として届け出ている量であり、使用量はもっと多かった可能性がある。1997/98年から2000年頃まではブランケットクリーナーの使用量もブラクリーンと同様に45L程度使用していたと考えられる。ただし、2000年代の初め頃に、インキ台に残ったインキの拭き取りや版の洗浄などには別の溶剤(プレートクリーナー)を使用し始めたことから、ブランケットクリーナーの使用量が減少し2缶程度(約35L)になったと考えられる。2006年にUV印刷を開始して、校正印刷機が5台に減り、ブランケット洗浄剤の使用量はさらに減少したとのことである。
6) インキなどの拭きとり剤
上記のように、インキ台などに残ったインキの拭きとりや版の洗浄に、1997/98年まではブラクリーンを、それ以降はブランケットクリーナーを使用した。ただし、2000年頃以降になるとプレートクリーナー(三成化工)を使用し始めた。プレートクリーナーの成分は飽和炭化水素98%である。
1-3 換気設備および保護具
1) 換気設備
旧社屋には換気扇2台が設置されていたとのことであるが、詳細は不明である。
現社屋の校正印刷作業場には、各校正印刷機の下の床に排気口があり、室内の空気が外部に排気されていた(図1および図2参照, 労働安全衛生総合研究所の調査では排気速度787~1,293m3/hr(文献1))。また、柱にも排気口(同3,946~4,840m3/hr)があったが、排気の大部分(同56%)が外気と混合され、この混合空気が校正印刷作業場の天井付近から室内に吹き出していた(同7,200~7,656m3/hr)。排気は外気と混合する前に活性炭層を通していたが、混合空気中の有機溶剤濃度測定結果からは、活性炭の効果がまったくないことがわかっており(文献1)、活性炭の再生・交換を行っていなかったものと思われる。また、排気量よりも吹き出し量の方が約2,000m3/hr多く、このため校正印刷作業場の空気が引戸の隙間から前室に吹き出していたと考えられ、再現実験でも前室の有機溶剤濃度が高くなっている。作業場の温度および湿度はそれぞれ22-24℃および55%に年間を通じて管理されていた。
2006年および2008年にUV乾燥機が導入されると、専用の排気装置(1,858~2,042m3/hr(文献1))が増設された。これを稼働させた時は排気量と吹き出し量がほぼバランスするようになった(文献1)。
2) 保護具
洗浄作業時には厚めのプラスチック製手袋をしていたが、防毒マスクは支給されていなかった。作業環境測定が行われたことを記憶しているものはいなかった。
2. 作業内容
オフセット平台単色校正印刷機による印刷の手順を図3に示す。オフセット印刷の版は、アルミの薄板の表面に感光剤を塗布したPS版と呼ばれる板の表面を、インキを付ける部分を親油性に、付けない部分を親水性に処理したものである。手順は、①版に水を塗布し、次いで②版にインキを付ける。これにより親油性の部分のみにインキが付く。そして③版の上を、ブランケットと呼ばれるゴム製のロールを転がして、インキをブランケットに転写し、最後にそれをさらに紙に転写する。
2-1 色校正印刷
色校正印刷というのは、印刷の仕上がり色などを確認するために、前もって少部数を印刷することである。写真のメリハリや質感が大切な印刷物の場合に行われる。単色校正機による色校正印刷では、赤、青、黒、黄の順に印刷するが、4色を一度に印刷するのではなく、1色印刷するごとに溶剤でインキを落とし、インキを変えて印刷を繰り返す。赤印刷の具体的な手順を以下に示す。
- 校正機の平台に版(PS版)をセットする
- インキロールに赤インキをヘラで塗る
- インキロールを回転させて、赤インキをロールに巻く
- スポンジに水を含ませて、版に水を塗布する
- インキロールを版の上を転がして、版にインキを付ける
- ブランケットを版の上を転がして、ブランケットにインキを転写する
- 平台に紙をセットし、ブランケットを転がして、紙にインキを転写する
- インキロールについた赤インキを灯油で落とす
- もう一度インキロールについた赤インキをロールワイパーで落とす
- 最後にウエスにブランケット洗浄剤を染み込ませ、ブランケットを拭く
その後、インキの色を変える度に同じ操作を3回繰り返す。ただし、黒印刷と黄印刷の間には、黒インキをよく落とすために、以下の巻流し(まきながし)操作を挟む
- インキロールに黄インキをヘラで塗る
- インキロールを回転させて、黄インキをロールに巻く
- インキロールについた黄インキを灯油で落とす
- もう一度インキロールについた黄インキをロールワイパーで落とす
- 最後にウエスにブランケット洗浄剤を染み込ませ、ブランケットを拭く
以上のように、1種類の印刷物のために4回色変えを行い、その度に溶剤でインキを落とす。また、校正印刷のため、印刷枚数は1種類当たり8~20枚と極端に少なく、印刷物1種類のみであれば、4色刷るのに20~40分間程度、印刷物5種類をまとめてであれば、1時間~2時間程度であった。これら全ての印刷において、色変えのたびに洗浄していた。印刷物をまとめて印刷した場合は、インキロールの洗浄は最後に1回で済むが、ブランケットの洗浄は印刷物が変わる度に行わなければならないため、1種類ごとの印刷と回数は変わらない。1990年代は校正印刷作業場全体では1日(2交代16時間)に300~800回程度の洗浄を行っていた。
UV校正印刷の場合は、校正印刷機のインキロールをUV印刷用のものに交換し、UV印刷用のインキを用いて印刷する。そして、一色印刷するごとにUV照射装置を通してインキを硬化させる。そしてインキを洗浄剤で洗浄し、色を変更してその操作を繰り返す。
また、つや出し剤をコーティングする場合もあった。つや出し剤はインキと比較すると粘度が低く、インキロールに巻くために高速で回転させる時に、それが飛び散ることもあり、機材やメガネに付着することがあった。
2-2 段どり
「段どり」と呼ばれる作業は、当日の校正印刷の進行を管理し、各印刷物をどの校正印刷機で刷るかを決定し、校正印刷担当者に指示をする作業である。主に前室で作業を行うが、指示のため校正印刷作業場に頻繁に出入りするとともに、人によっては校正印刷も一部担当することがあった。
2-3 前工程
「前工程」と呼ばれる作業は、版の製作や紙の準備などであり、前室で行われていた。版の製作では、フィルムとPS版をガラス板に挟み紫外線を当てて焼き付けるが、ガラス板の汚れをふき取るため、1996年まではトリクロロエチレンが使用されていた。使用量は1日1~2L程度であった。1996年暮れに、担当していた従業員が劇症肝炎を発症したこともあり、トリクロロエチレンの使用を中止し、ガラスクリーナー(成分不明)に変更した。また、現像では現像液などの化学物質も使用する。
3. 健康影響
3-1 肝内・肝外胆管癌
① 患者の概要
本調査では、男性11人が肝内・肝外胆管癌に罹患したことを医療情報により確認した。そのうち6人が既に死亡している。また、その他に男性2人が胆管のがんに癌患し、うち1人が死亡しているとの情報を得ている。
図4に患者の誕生年、胆管癌の診断時年齢、校正印刷部門での勤務時期などを示す。13人の勤務年数は8~20年(平均13年)、診断時年齢は25~45歳(平均36歳)であり、死亡した7人の死亡年齢は27~46歳(平均37歳)であった。仕事は校正印刷が12人、段どりが1人であったが、段どりのものも1週間に2~3日、各日1~2時間程度は校正印刷を行っていた。
患者の勤務時期と化学物質の使用時期を見比べると(図4)、13人の患者全員が曝露されたものは1,2-ジクロロプロパンと灯油であり、12人が曝露されたものはジクロロメタンである。ブラクリーンの使用開始年を1985年とすると、1,2-ジクロロプロパンへの曝露期間は7~17年(平均11年)であり、初回曝露から肝内・肝外胆管癌の診断までの期間は7~20年(平均14年)である。
表2に医療情報を取得できた11人の病理所見をまとめた。原発部位は肝内胆管が5人、肝外胆管が6人であり、肝外胆管の内訳は、肝門部4人、総胆管1人、肝門部と総胆管の2部位1人であった。組織型はすべて腺癌であった。B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスに関する検査は全員が陰性であった。
② 疫学的検討
1991年から2006年までは現社屋で1,2-ジクロロプロパンを使用していた時期であるが、この間に校正印刷部門に1年以上勤務したものは男性62人(校正印刷51人、段どり7人、前工程4人)、女性11人(校正印刷5人、段どり1人、前工程5人)である。男性62人の勤続年数は1~30年(平均8.6年)、1,2-ジクロロプロパンへの曝露期間は1~17年(平均6.1年)である。一方、女性11人の勤続年数は1~11年(平均3.9年)、1,2-ジクロロプロパンへの曝露期間は1~8年(平均3.3年)である。
このうち、2011年12月までに、少なくとも男性6人が肝内・肝外胆管癌で死亡したことを死亡診断書により確認できた。日本人男性の5歳階級別死亡率から算出した1991年から2011年までの肝臓・胆嚢・胆道の悪性新生物の男性の期待死亡数は0.0121人であり、観察死亡数が6人のため、標準化死亡比SMRは500(95%信頼区間180-1,100)と非常に高かった。肝内・肝外胆管癌の悪性新生物に絞ると期待死亡数は0.00204人であり、SMRは2,900(95%信頼区間1,100-6,400)と約6倍になった。この数値は日本人男性の年齢別死亡率から予想される死亡数の2900倍の死亡者が発生していることを意味しており、明らかに異常な事態と言える。
上記の男性62人の中で1,2-ジクロロプロパンへの曝露期間が5年以上のものは31人である。この集団に絞ってSMRを算出すると、肝臓・胆嚢・胆道の悪性新生物では640(95%信頼区間240-1,400)となり、肝内・肝外胆管癌の悪性新生物では4,100(95%信頼区間1,500-8,800)となり、さらに高くなった。
一方、女性には肝内・肝外胆管癌を発症したものはいなかった。全体の人数が男性の約1/6のため、リスクが同等であっても、発症する人数は少なくなる上に、有機溶剤曝露濃度が高い校正印刷担当者の割合が男性と比較して少なく、かつ曝露期間も短いためと考えられる。
3-2 肝機能異常など
聞き取り調査を行った男性33人から胆管癌患者を除いた22人の中で、S社勤務時から現在までに肝機能異常を指摘されたことがあるものは11人と50%に達する。胆管癌患者を含めると33人中22人が肝臓・胆道系に何らかの異常を指摘されたことになる。以下に事例を紹介する。
- 飲酒習慣はないのに、会社の健診で肝機能の高度異常を指摘され(別の病院での再検査結果:γGTP 1182 IU/L、ALP 909 IU/L、ALT 144 IU/L、AST 84 IU/L)、別の部門に配置転換されると徐々に低下したため(2カ月後の検査結果:γGTP 783 IU/L、ALP 499 IU/L、ALT 53 IU/L、AST 33 IU/L)、病院で有機溶剤使用が原因の肝機能異常と診断された。その後、退職したが、6年後の現在も胆管炎が続いている。
- 飲酒習慣はないのに、S社に在籍中はγGTPが140 IU/Lに上がり、退職後4~5年続いた。
- 飲酒は週1回未満だが、S社入社後にγGTPが上昇し、現在も60 IU/L前後で高い。
- 半年のアルバイトだったが、S社に在籍中はアルコールを飲むと顔が真っ赤になった。
- アルコールを飲むと全身に斑点が出るようになった。
なお聞き取り調査を行った女性7人の中には、肝機能異常を指摘されたことがあるものはいなかった。その他に、仕事と関連する影響としては、洗浄作業時の目や鼻などの強い刺激感、悪心、吐き気、嘔吐などがあった。
肝臓以外では、胃癌(死亡)を発症したものが1人いた。また、胆嚢結石および腎臓結石を指摘されたものがそれぞれ1人いた。
Ⅳ. 考 察
1. 使用化学物質の毒性
1-1 動物実験
1) ジクロロメタン
米国毒性評価プログラム(U.S. NTP)によるマウスおよびラットのジクロロメタン吸入実験が行われている(文献2)。B6C3Fマウス雌雄に0、2,000および4,000 ppmを、またF344/Nラット雌雄に0、1,000、2,000および4,000 ppmを1日6時間、週5日間で102週間にわたり曝露させたものである。肝臓への影響に絞って要約すると、マウスでは、雄の高曝露群および雌の低曝露群と高曝露群で、肝臓の細胞変性(雄0/50、0/49、22/49、雌0/50、23/48、21/48)および肝細胞腺腫・癌腫の罹患率の上昇(雄22/50、24/49、33/49、雌3/50、16/48、40/48)が見られた。
この実験結果より、U.S. NTPは、ジクロロメタンが雌雄マウスに肝細胞腫瘍の罹患率を増加させることは明白であると結論している。ラットでは、雌雄の肝臓にヘモジデリン沈着症、巨大細胞、細胞質の空胞変性、壊死、肉芽腫性炎症の増加が見られ、また胆管では線維化の増加が見られた。さらに、雌ラットの肝細胞における新生物結節および肝細胞癌を合わせた罹患率にはわずかな増加傾向が見られた(2/50、1/50、4/50、5/50)。
以上のように、発がんという観点からはマウスの方が感受性が高いが、このような種差にはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)によるジクロロメタンの代謝速度の違いが関連しているとの仮説がある(文献3)。体内に吸入されたジクロロメタンは、低濃度であれば、一部は未変化体のまま呼気から排出され、残りはシトクロムP450(CYP)による酸化的代謝を経て、呼気および尿より排泄される。高濃度になると、GSTによる代謝経路を経て呼気および尿より排泄される。CYP経路では、中間代謝産物であるジクロロメタノール、塩化ホルミルを経て、一酸化炭素、二酸化炭素になる。一方、GST経路では、中間代謝産物であるS-クロロメチルグルタチオン、ホルムアルデヒド、蟻酸を経て二酸化炭素になるが、これらGST代謝経路の中間代謝産物が発がんに関与していると考えられている。マウスの肝臓におけるGSTによるジクロロメタンの代謝速度は、ラットより1桁以上速く(文献3)、このためマウスの感受性が高いとされている。
2) 1,2-ジクロロプロパン
U.S. NTPによるマウスおよびラットの1,2-ジクロロプロパン投与実験が行われている(文献4)。B6C3Fマウス雌雄に125、250mg/kg/日を、またF344/Nラットの雄に0、62、125mg/kg/日、雌に0、125、250mg/kg/日を週5日間で103週間にわたり強制経口投与したものである。肝臓への影響は以下のようである。雌雄マウスでは、投与量に関連した肝細胞腺腫・癌腫の増加が見られた。一方、雌ラットの250mg/kg/日群では、肝臓の明細胞の変性と壊死が見られたが、肝腫瘍は見られなかった。この実験結果より、U.S. NTPは、1,2-ジクロロプロパンにはマウスへの発がん性があるが、ラットについては明確な証拠はないと判断している。
中央労働災害防止協会・バイオアッセイセンターは、F344/DuCrjラットへの1,2-ジクロロプロパンの吸入曝露による発がん試験を行っている(文献5)。肝臓への影響を以下に要約する。予備試験として、0、125、250、500、1,000および2,000ppmに1日6時間で週5日間を13週間にわたり曝露させた結果、雄では2,000ppmで、雌では1,000および2,000ppmで血清中γGTPおよび総ビリルビンが有意に上昇した。病理学的所見としては、雌雄とも2,000ppmで小葉中心性の肝細胞の腫張が見られた。本試験として、0、80、200および500ppmに1日6時間で週5日間を104週間にわたり曝露させた結果、雌の500ppm群で血清中γGTPが有意に上昇した。
バイオアッセイセンターは、B6D2F1/Crljマウスへの1,2-ジクロロプロパンの吸入曝露による発がん試験を行っている(文献6)。0、32、80および200ppmに1日6時間で週5日間を104週間にわたり曝露させたが、肝臓への影響は見られていない。
1,2-ジクロロプロパンの代謝経路は、ジクロロメタンと同様に、CYP代謝経路とGST代謝経路がある(文献7)。動物実験ではジクロロメタンと同様の種差が見られることから、発がんにおいてGST代謝経路が重要な役割を果たしている可能性がある。
1-2 GST酵素
上記のように、GSTによる代謝経路が発がんに関与しており、マウスの肝臓におけるジクロロメタンのGSTによる代謝速度が、ラットより1桁以上速いことが、マウスの感受性が高い原因と考えられている。ところで、ヒトでのジクロロメタンのGSTによる代謝速度はラットよりも遅い(文献3)。このことから、ヒトでのジクロロメタンの発がん性は低いと考えられてきたが、肝臓内のGSTが存在する部位がマウスとヒトでは異なる点が重要である。
Sherrattらの研究(文献8)によると、マウスの肝臓では、肝臓の中心静脈周辺の肝細胞でGST T1-1(ジクロロメタンの代謝を主に行うGST)のもっとも高い発現が見られ、門脈付近では発現は低く、一方、ヒトの肝臓では、門脈周辺と胆管上皮細胞内でGST T1-1のもっとも高い発現が見られている。したがって、肝臓全体でのGSTによるジクロロメタンの代謝速度はマウスの方が1桁以上速いが、胆管上皮細胞での代謝速度はヒトの方が速い可能性がある。もしそうだとすれば、ジクロロメタンの高濃度曝露は、胆管上皮細胞の腫瘍である胆管癌の発症要因となりえる。また、1,2-ジクロロプロパンもマウスに肝細胞腫瘍を引き起こすが、この物質の代謝経路にもGST経路があり、ジクロロメタンと同様に考えれば、ヒトの胆管癌の発症要因になりえる。
1-3 疫学研究
1) ジクロロメタン
ジクロロメタン曝露労働者のコホート調査は4つあるが、このうち曝露濃度が低い2つのフィルムベース製造工場(コホート1(文献9)の平均19ppm、コホート2(文献10)の平均39ppm)では、肝臓・胆道系の悪性新生物による死亡者はそれぞれ0人および1人である。ただし、後者の1人が胆道系の悪性新生物は否かの記述はない。一方、曝露濃度が高い2つの繊維製造工場(コホート3(文献11)の3作業場の平均140ppm、280ppm、475ppm、コホート4(文献12)の2群の平均50-100ppm、350-700ppm)では、肝臓・胆道系の悪性新生物による死亡者はそれぞれ4人および2人であり、このうち胆道系の悪性新生物はそれぞれ3人および2人である。これら2つの工場における胆道系の悪性新生物による死亡者数を、肝臓および胆道を合わせた悪性新生物の期待死亡数と比較すると有意な上昇にはならないが、コホート3を1954年1月1日から1986年7月1日まで観察した報告(文献13)では、胆道系の悪性新生物に絞って期待値を算出して比較した結果、標準化死亡比SMRは20(95%信頼区間5.2-56)と有意に高かったことが述べられている。追跡期間を1990年12月まで延長した報告(文献11)では、胆道系の悪性新生物に絞ったSMRは示されていないが、追跡期間の延長による肝臓および胆道を合わせた悪性新生物の期待死亡数の増加が2倍程度にすぎないため、胆道系の悪性新生物のSMRは低下するものの、その有意な上昇は保たれるものと考えられる。なお、コホート4(文献12)ではそのような解析はされていない。
2) 1,2-ジクロロプロパン
ヒトへの影響については事例報告があるのみで、コホート研究は報告されていない。急性中毒事例での肝臓への影響としてあげられているのは、肝細胞壊死、急性肝障害(AST、ALT、ビリルビンの上昇)、門脈圧亢進を伴う肝障害である(文献6)。その他に腎臓障害(クレアチニン増加、尿素窒素増加、尿細管壊死)、溶血性貧血、血栓、皮膚炎などがある(文献6)。
1-4 国際癌研究機関IARCの評価
国際癌研究機関IARCでは、ジクロロメタンをグループ2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)に、1,2-ジクロロプロパンをグループ3(ヒトに対する発がん性を分類できない)に分類している(文献14)。な
お、IARCの分類基準では、グループ1は「ヒトに対する発がん性の十分な証拠がある場合」、グループ2Aは「ヒトでの発がん性の限定的な証拠があり、かつ実験動物での発がん性の十分な証拠がある場合」、グループ2Bは「ヒトでの発がん性の限定的な証拠があるが、実験動物での発がん性の証拠が不十分である場合」、グループ3は「ヒトでの発がん性の証拠が不十分であり、かつ実験動物での発がん性の証拠が不十分あるいは限定的である場合」である。
2. 曝露レベル
2-1 校正印刷担当者
労働安全衛生総合研究所が行った再現実験では、1,2-ジクロロプロパン(46%)およびジクロロメタン(54%)の混合溶剤を1.7L/hで使用した場合、作業者の曝露濃度はそれぞれ60-210ppmおよび130-360ppmであった(文献1)。曝露濃度が使用量に比例すると仮定すると、S社の校正印刷担当者の1991年から1992/93年までの1,2-ジクロロプロパンおよびジクロロメタンの曝露濃度はそれぞれ120-430ppmおよび80-210ppm、1992/93年から1997/98年まではそれぞれ100-360ppmおよび190-540ppmと推定される。また1997/98年から2006年までの1,2-ジクロロプロパンの曝露濃度は150-670ppmと推定される。
ジクロロメタンの代謝において、ヒトでGST経路が重要な役割を果たすのは200~1,000ppmと考えられており(文献3)、1991年から1997/98年までの校正印刷担当者の推定曝露濃度はそのレベルに達している。またその時期の推定曝露濃度は、胆道系の悪性腫瘍による死亡の増加が観察されたコホート3(文献13)での曝露レベルと同程度であり、さらに同程度の濃度の1,2-ジクロロプロパンにも曝露されたことになる。1997/98年から2006年までの校正印刷担当者はジクロロメタンの曝露はないが、1,2-ジクロロプロパンがジクロロメタンと同程度のレベルでGST経路の代謝を受け始めるとすれば、そのレベルに達していたことになる。
2-2 段どり・前工程担当者
一方、段どりおよび前工程の担当者は主に前室で作業をするが、労働安全衛生総合研究所の調査(文献1)では、校正印刷作業場の空気が前室に吹き出していたことがわかっており、再現実験では、前室の1,2-ジクロロプロパンおよびジクロロメタンの濃度はそれぞれ40ppmおよび90ppmであった。実際のブランケット洗浄剤の使用量は再現実験の場合よりも多かったので、もっと高い曝露を受けていたと推定される。
3. 業務起因性と原因化学物質
3-1 肝内・肝外胆管癌のリスク因子
肝内・肝外胆管癌のリスク因子には、肝吸虫の寄生、原発性硬化性胆管炎、胆管の奇形、ウイルス性肝炎、肝臓結石、化学物質などがあるが(文献15, 16)、これらの中で最初の4疾患については、今回のいずれの胆管癌患者も既往歴はない。胆管結石については、胆管癌診断時の画像検査で初めて指摘されたものもいるが、それ以前に臨床症状を呈したものはいなかった。リスク因子となる化学物質としてはトロトラストがあり、ダイオキシンやニトロソアミンなども疑われているが(文献15, 16)、これらの物質に高濃度に曝露される機会は認められなかった。またアルコール摂取もリスク因子として報告されているが、多量飲酒の習慣のあるものはいなかった。
3-2 業務起因性
日本人男性における肝内胆管癌および肝外胆管癌による死亡率はいずれも低い(2005年肝内2.61人/10万人, 肝外7.85人/10万人)。また日本人男性の肝内胆管癌および胆嚢・胆道癌の年齢別罹患率は75歳以上でもっとも高く、35~44歳ではその1/50程度である(文献15, 17)。今回の疫学的検討によれば、S社の校正印刷部門に1991年から2006年までに1年以上勤務した男性従業員62人における肝内・肝外胆管癌のSMRは2,900(95%信頼区間1,100-6,400)と極めて高い。その中で1,2-ジクロロプロパンに5年以上曝露した男性従業員31人に絞ってSMRを算出すると、4,100(95%信頼区間1,500-8,800)とさらに高くなった。一方、事務・営業部門の従業員には患者がいないことから、校正印刷部門の従業員の肝内・肝外胆管癌は校正印刷業務に関連した因子により発症したと考えるのが妥当である。
3-3 原因化学物質
業務に関連した因子としてもっとも疑われるのが化学物質である。同社では、多種類少量印刷を特徴とする校正印刷のため、色変え回数が極端に多く、灯油、ロールワイパー、ブランケット洗浄剤を大量に使用していた。ブランケット洗浄剤は時代とともに変化してきているが、患者13人全員が曝露されているのは、灯油とブランケット洗浄剤に含まれる1,2-ジクロロプロパンである。上記のように、1991年から2006年までの1,2-ジクロロプロパン曝露濃度は100-670ppmと推定されたが、ジクロロメタンと同様と仮定すれば、この濃度はGST代謝経路が活発に働き始める可能性のあるレベルであり、ジクロロメタンと同様に、1,2-ジクロロプロパンの主要な代謝酵素がGST T1-1であるとすれば、GST T1-1の存在するヒトの胆管細胞内で発がん性物質が生成されている可能性がある。したがって、原因化学物質として第1に1,2-ジクロロプロパンが疑われる。
一方、患者13人のうち12人までがジクロロメタンにも曝露されていた。上記のように、1991年から1997/98年までのジクロロメタン曝露濃度は80-540ppmと推定されたが、この濃度はGST代謝経路が活発に働き始めると考えられているレベルであり、ジクロロメタンの主要な代謝酵素であるGSTT1-1が存在するヒトの胆管細胞内で発がん性物質が生成されている可能性がある。したがって、原因化学物質として第2にジクロロメタンが疑われる。胆道癌による死亡の有意な上昇が認められたジクロロメタン曝露労働者のコホート研究結果(文献12)からもこの物質が疑われる。
また、この校正印刷作業場では、灯油(主成分の1つであるノナンはCYP経路で代謝される(文献18))も大量に使用しており、1,2-ジクロロプロパンおよびジクロロメタンの代謝との競合が起こり、GST経路が働きを強めていた可能性もあり、1,2-ジクロロプロパンおよびジクロロメタンだけの曝露よりも発がん性が高まっていた可能性がある。
一方、1,2-ジクロロプロパンによる急性中毒の主要な標的臓器のひとつは肝臓であり、S社の校正印刷部門の従業員に多発している胆管癌以外の肝機能異常および胆管障害もこの物質への曝露が原因と考えられ、ジクロロメタン曝露も影響している可能性がある。また、1997年以前に前工程で取り扱っていたトリクロロエチレンも肝臓障害の原因物質のひとつと考えられる。
Ⅴ. 結 論
以上の検討より、S社の元従業員に多発している肝内胆管癌・肝外胆管癌は校正印刷業務に起因すると言える。原因として疑わしいのは第1に1,2-ジクロロプロパンであり、第2にジクロロメタンである。また、胆管癌以外の肝機能異常および胆管障害については1,2-ジクロロプロパン曝露が原因と考えられ、ジクロロメタンおよびトリクロロエチレン曝露も影響していると考えられる。
Ⅵ. 文 献
- 労働安全衛生総合研究所. 災害調査報告書A-2012-02 大阪府の印刷工場における疾病災害 2012.
- NTP (National Toxicology Program). Toxicology and carcinogenesis studies of dichloromethane in F344/N rats and B6C3Fi mice (inhalation studies). NTP Technical Report 306, U.S. Dept. Health and Human Services, Washington, DC. 1986.
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構. 有害性評価Ver 1.1, No.15, ジクロロメタン. 2004.
- NTP (National Toxicology Program). Toxicology and carcinogenesis studies of 1,2-dichloropropane in F344/N rats and B6C3Fi mice (gavage studies). NTP Technical Report 263, U.S. Dept. Health and Human Services, Washington, DC. 1986.
- Umeda Y, Matsumoto M, Aiso S, et al. Inhalation carcinogenicity and toxicity of 1,2-dichloropropane in rats. Inhalation Toxicology 2010;22:1116-1126.
- 中央労働災害防止協会・日本バイオアッセイ研究センター. 1,2-ジクロロプロパンのマウスを用いた吸入によるがん原性試験報告書, 試験番号0458. 2006.
- 新エネルギー・産業技術総合開発機構. 有害性評価Ver 1.1, No.39, 1,2-ジクロロプロパン. 2004.
- Sherratt PJ, Williams S, Foster J, Kernohan N, Green T, Hayes JD. Direct comparison of the nature of mouse and human GST T1-1 and the implications on dichloromethane carcinogenicity. Toxicol Appl Pharmacol 2002;179:89-97.
- Tomenson JA. Update of a cohort mortality study of workers exposed to methylene chloride employed at a plant producing cellulose triacetate film base. Int Arch Occup Environ Health 2011; 84: 889-897.
- Hearne FT, Pifer JW. Mortality study of two overlapping cohorts of photographic film base manufacturing employees exposed to methylene chloride. J Occup Einviron Med 1999; 41: 1154-1169.
- Lanes SF, Rothman KJ, Dreyer NA, Soden KJ. Mortality update of cellulose fiber production workers. Scand J Work Environ Health 1993; 19:426-428.
- Gibbs GW, Amsel J, Soden K. A cohort mortality study of cellulose triacetate-fiber workers exposed to methylene chloride. J Occup Einviron Med 1996; 38: 693-697.
- Lanes SF, Cohen A, Rothman KJ, Dreyer NA, Soden KJ. Mortality of cellulose fiber production workers. Scand J Work Environ Health 1990; 16: 247-251.
- IARC (International Agency for Research on Cancer). List of Classifications by cancer sites with sufficient or limited evidence in humans, Volumes 1 to 105. 2012. Available: http://monographs.iarc.fr/ENG/Classification/Table4.pdf. [accessed 25 July 2012].
- 田中政宏, 津熊秀明. 胆管細胞癌の疫学. 日本臨床(増刊号)肝癌(日本臨床社:大阪)2009: 278-282.
- 中平浩人, 山本正治. 肝・胆・膵フロンティア7, 肝内胆管癌, 基礎から臨床まで(診断と治療社:東京)1999: 7-13.
- 吉見逸郎, 祖父江友孝. 日本および世界における胆道癌の疫学動向. 日本臨床(増刊号)膵癌・胆道癌の診断と治療(日本臨床社:大阪)2006: 322-330.
- Bolt HM, Roos PH, Their R. The cytochrome P-450 isoenzyme CYP2E1 in the biological processing of industrial chemicals: consequences for occupational and environmental medicine. Int Arch Occup Environ Health 2003; 76: 174-185
安全センター情報2012年11月号