職業性胆管がん事件(その4)(校正印刷会社SANYO-CYP):全国に問題波及

片岡明彦(関西労働者安全センター事務局次長)

厚生労働省、印刷業界などの動き

事件の報道が始まると、厚生労働省の動きが慌ただしくなった。

5月21日、厚生労働省労働基準局安全衛生部長名で通達を発出し、「化学物質による健康障害防止対策の適切な実施を印刷業界に要請」した。

印刷業における化学物質による健康障害防止対策について基安発0521第1号平成24年5月21日

6月12日、 「胆管がんに関する相談状況」を厚生労働省が発表した。

産経新聞朝刊が「東京都と宮城県の印刷会社での胆管がん発症の情報が労基署に寄せられており、厚生労働省が全国の事業場調査に乗り出す」と報じたことを受けたもの。

印刷業に従事していた労働者に胆管がんが発症したとして、東京労働局管内、宮城労働局管内で相談があった(現時点では、相談の段階であり、従事歴や発症について確認は取れていない)。
(1)東京労働局管内の相談
印刷業の会社側から、元労働者が胆管がんを発症したとして、会社の取るべき事項等について相談があった。
(2)宮城労働局管内の相談
印刷業に従事し、胆管がんで死亡した元労働者の家族から相談があった。

6月13日、厚生労働省が 「印刷事業場における胆管がんの発生について」を公表。

前日の産経の報道が事実であることを確認するとともに、「大阪の印刷会社」(SANYO-CYP社)の在職労働者3名から労災請求が行われたことを発表した。

印刷事業場における胆管がんの発生について平成24年6月13日厚生労働省労働基準局発表

6月25日、厚生労働省が「胆管がんに関する労災請求」について発表。
「既に大阪府で、6名の労災請求がなされているところであるが、今般、宮城県でも新たに2名の労災請求がなされた」ことを公表。

7月10日、厚生労働省が 「胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ結果等について」公表。

全国561事業場の一斉点検結果の取りまとめ等や大阪や宮城の労災請求のあった事業場の調査状況等を公表した。

胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ結果等ついて平成24年7月10日厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課発表

7月12日、(社)日本印刷産業連合会が労働衛生協議会を設置し、初会合を開いた(http://www.jfpi.or.jp/)。

7月18日、全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)が小宮山厚生大臣宛に要請書を提出。

①時効にとらわれず発症者の労災認定を行うこと、②従業員10人未満の中小企業でも実効性のある発症予防対策を行うことなどを求めた。

7月23日、厚生労働省が基安発0723第1号労働基準局安全衛生部長通達「印刷業等の洗浄作業における有機塩素系洗浄剤のばく露低減化のための予防的取組みについて(平成25年3月14日 基安発0314第1号により廃止)」発出。

平成25年3月14日 基安発0314第1号「洗浄又は払拭の業務等における化学物質のばく露防止対策について」

7月25日、厚生労働省が「胆管がん発症に関する各種取組状況について」を発表

胆管がん発症に関する各種取組み状況について平成24年7月25日厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課発表

(その5)につづく

安全センター情報2012年10月号