2020年6月第1週にイタリアのアスベスト被害者・家族協会(AFEVA)らが、ベビーパウダーのアスベスト含有問題に対処するよう求めて、イタリア保健大臣に送った書簡

化粧品や工業製品に使用されるタルクパウダー中にアスベストが存在している可能性は公衆衛生に対する重大なリスクである。ご存知のとおり、がんに罹患した多くの人々が、化粧品タルクパウダー中にアスベスト繊維がみつかってきたことから、アメリカでジョンソン・エンド・ジョンソンを相手取って裁判を提起している。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、COVID-19によるポートフォリオ見直しの一部として、市場からタルクパウダーを原料とするベビー製品を引き上げたものの、アメリカとカナダにおいてのみである。

残念なことに、あなたの知る限り、世界中のタルク鉱床の正確な地図作製は行われておらず、それらの鉱物組成に関する情報も、イタリアで販売されているタルクの原産地を確認・追跡するための商業用製品に関する情報もない。

汚染の不存在を確認することをできるようにするかもしれない、タルクの原産地に関する信頼できる証明された情報を欠くなかでは、透過型電子顕微鏡(TEM)で構成される現在もっとも進んだ感受性の高い技術を用いて、イタリアの市場で購入することのできるタルクまたはタルク含有製品中のアスベストを検査し、製品中にアスベストの存在が確認された場合には施行されているアスベストに関する法令を適用することが必要である。

同様に、すべてのタルク加工現場において、労働者が吸入するのを予防するために、大気中に飛散されるアスベスト繊維の存在が確認されなければならず、この場合もわが国で施行されているアスベスト法令を適用すべきである。

われわれ、アスベスト被害者・家族協会(AFEVA)、イタリア・アスベスト曝露者協会(AIEA)、健康のために闘う民主医療運動(Medicina Democratica Movimento)は、公衆衛生を守るために、イタリアと欧州で販売されるすべてのタルク含有製品が、上市される前に透過型電子顕微鏡(TEM)によって分析されているようにするよう求める。

われわれはまた、ブラジル、韓国、インド、マレーシア、香港、インドネシア、ネパール、日本、オーストラリア、フランス及びイギリスでジョンソン・エンド・ジョンソンのベビー・タルクの小売やオンライン販売が継続されることを確認した後、消費者団体や研究者、健康擁護団体、アスベスト被害者らがジョンソン・エンド・ジョンソンのタルク市場戦略を調査しはじめていることを、あなたにお知らせする。ペナン消費者協会はマレーシア保健省に「タルクパウダーとタルク製品を禁止」するよう求めるとともに、消費者に向けて「コーンや米粉からつくられたパウダーを使用」するよう助言している。幼児の発疹の治療には医療用パウダーの代わりに軟膏を使うことができる。ベトナムの医薬品当局はベビー・タルク試料の分析を委託するとともに、ジョンソン・エンド・ジョンソンに書簡を送ってアメリカとカナダでの販売中止の説明を求めた。アジア・アスベスト禁止ネットワーク(A-BAN)は、世界中のすべての国でタルクパウダー製品の販売を中止するよう求める声明を発表した。有害物監視連合はニューデリーの中央機関にインドでタルクパウダーを全面禁止するよう求めた。