2020年3月5日にフランスのアスベスト被害者擁護全国会(ANDEVA)が、ベビーパウダーのアスベスト含有問題に対処するよう求めて、フランス保健大臣に送った書簡

3月5日、アスベスト被害者擁護全国会(ANDEVA)会長ジャック・フォージュロンはオリビエ・ベラン保健大臣に対して、フランスと欧州に輸入されるタルクパウダーを含有するすべての化粧品用・工業用製品に対する電子顕微鏡による管理を求める書簡を送った。

とりわけ一定の化粧品用・工業用製品に使用される、タルクパウダー中のアスベストの存在は重大な公衆衛生問題を引き起こしている。ご存知のとおり、がんに罹患した多くの人々がアメリカでジョンソン・エンド・ジョンソン・グループを相手取って裁判を提起している。

フランスでは2012年に出版されたANSESの研究が以下の勧告を行っている。

  • [アスベストを]含有する可能性のある他の鉱物繊維の確認とともに、世界中の様々なタルク鉱床の正確な地図を確立し、フランスでの上市のために抽出されたタルクの[原産地]追跡可能性を確保する必要がある。
  • 汚染の不存在を確認することをできるようにするかもしれない、タルクの原産地に関する信頼できる確認された情報を欠くなかでは、物質中のアスベスト検査に関する規制手法にしたがって、タルクまたはフランスで上市されるタルク含有製品中の、アスベスト様またはそうでないATAアンフィボル[アクチノライト、トレモライト及びアンソフィライト]の細長い粒子が調査されるべきである。
  • タルク含有製品については、上市されるかまたはすでに市場にあるかにかかわらず、ATAアンフィボル繊維が検出された場合には、アスベストに関する規制を適用する。
  • 職場においては、タルクパウダーまたはタルクパウダー含有製品に曝露する労働者が吸入する大気中にATAアンフィボル繊維が検出された場合には、アスベストに関する規制を適用する。

フランスで24年にわたってアスベスト被害者を擁護してきたわが協会ANDEVAは、これらの勧告を受けてどのような措置が講じられてきたか知りたい。

日常生活または職名でタルクパウダーまたはそれを含有する製品を使用している者には、それらの原産地と正確な組成を尋ねる資格がある。わが協会は、そうした製品中にアスベスト繊維がないことを確保するために、フランス及び欧州レベルでどのような管理措置が実施されてきたか知りたい。ANDEVAはまた、そうした管理が市場に置かれているすべての製品に関係しているかどうかも知りたい。より具体的には、現在フランスで公けに販売されているタルクを原料としたすべての製品が、公衆衛生を守るために、上市される前に、フランスや他の欧州連合諸国で実施されている分析透過型電子顕微鏡(ATEM)による事前検査の対象になっているかを知りたい。

[同省は受領を確認しているが、今日まで返答はなし]

【書簡の解説】

5月19日に世界最大の健康製品製造業者であるJ&Jは、アメリカとカナダにおけるその旗艦製品ジョンソン・ベビーパウダーの販売中止を発表した。会陰部衛生のためにパウダーを使用して卵巣がんや中皮腫に罹患した女性たちによって提起された訴訟の波を受けて、その販売は崩壊していた。

それにもかかわらずこの多国籍企業は、自らのタルクパウダーにアスベストが含まれていたことはないと主張し続けている。同社は、他の諸国ではこの製品の販売は継続されると発表している。

他の諸国に輸入されるタルクの組成に対するより強力な管理が求められている。フランスではANDEVAが保健大臣に対して警告してきた。

現在までにアメリカでは、会陰部衛生のためにジョンソン・ベビーパウダーのタルクパウダーを使い卵巣がんや中皮腫に罹患した女性たちによって19,400件の訴訟が提起されている。2018年7月にミズーリ州セントルイスで、22歳の女性とその家族によって提起された訴訟でJ&Jは46.9億ドルの賠償を命じられた。原告らは、医療費、身体的及び精神的苦痛、懲罰的損害に対するJ&Jの支払いを求めている。J&Jが勝訴した訴訟もいくつかある。

この訴訟の波についてのメディア報道は、消費者の間に正当な不信を引き起こしてきた。「ベビーパウダー」の販売は急落した。J&Jは5月19日にアメリカとカナダでこの製品の販売を中止することを発表した。

タルクパウダー中のアスベストの存在は長い間知られてきた。

タルクは鉱山から抽出される自然鉱物である。鉱床ではタルクは様々な鉱物と共存しており、アスベストがみつかる場合もある。このことはJ&J社の管理者によって何十年間も知られていた。日付が1970年代に遡る同社の内部報告書がこのことを示している。にもかかわらず採掘と生産、販売は何十年間も続けられてきた。

リスクも継続している。食品医薬品局(FDA)によるアメリカでの細菌の検査でJ&Jベビーパウダー中からアスベストが検出された。これはクリソタイル・アスベストに汚染された中国産のタルクだった。

証拠が増えているにもかかわらず、J&Jは、タルクを原料とした製品にアスベストが含まれていたことはないと主張し続けている。同社は、アメリカ以外ではそれらの販売を継続するT発表している。

他の諸国は反応しなければならない。

相対的に安全に使うことのできる(コーンスターチを原料とした)代替品が存在するにもかかわらず、アメリカの市場から引き上げられた製品を欧州、アジア、オーストラリアやアフリカでなぜ販売され続けなければならないのか?

これは他の諸国のすべての政府が自らに問いかけなければならない最初の質問である。

アスベストが2005年以来禁止されている欧州連合では、この質問は当てはまらない。しかし、EUに輸入される製品の管理は2つの困難に直面している。
① 今日まで、各採掘場所におけるアスベストの存在または不存在に言及した、地球のタルク鉱床を徹底的に分析した地図が存在しない。
② 欧州薬局方(EP)が勧告している分析技術は陳腐なものである。光学顕微鏡ではみつからないアスベスト繊維の確認を可能にすることから、電子顕微鏡(EMT)が用いられるべきである。

電子顕微鏡で行われた、イタリアと国際市場の化粧品タルクパウダーのある調査は、欧州薬局方による14の試料のうち6からアスベストを検出した。検出されたアスベスト繊維の割合は、4試料について<0.03%から0.13%の範囲、他の2試料について18%から22%の範囲であった。

アメリカの独立的科学コンサルタント、バリー・キャッスルマンは、反アスベスト活動家の国際ネットワークに警告している。2か月前にアメリカではジョンソン・ベビーパウダーの販売が中止され、ANDEVAは保健大臣に警告する書簡を送った。これは重大な公衆衛生問題であるから、返答がなければわれわれは再び問題にするだろう。