ストップ・ザ・労災隠し 労災職業病ホットライン 2001年10月1日(月)~3日(水)フリーダイヤル0120・631793(ローサイナクソー)で実施
目次
全国19カ所で210件
全国安全センターは、10月1-3日の3日間、「ストップ・ザ・労災隠し一労災職業病ホットライン」を開設しました。
今年で6年目を迎える全国一斉ホットラインですが、今回は初めて、期間中フリーダイヤル(0120-631793、「ローサイナクソー」の語呂合わせ)を設置して、日本全国どこからでも無料で相談電話がかけられるようにしました。また、様々な統計数字にも現われているような「労災隠し」の急増に焦点を当てて、「ストップ・ザ・労災隠し」という標語を打ち出しました(この標語は、ホットラインの取り組みについて相談した9月9日の第12回総会で、記念講演をお願いした林弘子・福岡大学教授のアイディアを拝借したもの)。
例年どおり、各地域センターの実情に応じたかたちでの積極的参加を訴えたところ、過去最高の19団体がこの取り組みに参加しました(過去最高は昨年の16団体。なお今回は、16団体がフリーダイヤルへの対応、3団体は独自の電話番号での実施)。市外局番ごとにどの団体に電話がまわるようにするかといった技術的問題や、フリーダイヤルは3日間の期間中しかつながらないわけで、日常的に相談に応じている電話番号をどう宣伝するかなど、初めて対応しなければならない点も多かったのですが、いずれもよい経験になりました。
いずれにしても、やはり各種マスコミに取り上げてもらわないことには、無料相談の電話番号すら知られないわけなので、例年以上に全国媒体だけでなく地方媒体へも手分けして宣伝するとともに、各団体の地元での宣伝をお願いしました。結果的に、朝日(9月25日)、毎日(26日)、読売(10月1日)の全国版に告知記事が掲載されるとともに、山梨、福島等々、実施団体のない地域の地方媒体でも取り上げられました。
寄せられた相談件数は、表のとおり、過去最高だった昨年と同じ210件でした。北は北海道から、南は種子島・屋久島(今回沖縄からの相談はなし)、地元に実施団体が存在していない地域からも相談が寄せられたことは、フリーダイヤル設置の成果だと思います。
やはり、地元のマスコミ媒体による周知や地域へのチラシの配布等の地道な努力が件数に反映するようで、今回初めて参加の名古屋では、中日新聞(事前学習会の開催も報道)、朝日地元(名古屋市内版や三河版等)版、NHK等々の取材・報道がありました。鹿児島でも、南日本新聞(事後報道も)、鹿児島新報、NHK等。愛媛(新居浜)には、地元の愛媛新聞だけでなく、高知新聞、香川新聞で見たという相談も寄せられています。
寄せられたいくつかの相談事例を紹介します。
●労災隠し
- 今夏、小学校のトイレ改修工事中に、友人が壁の下敷きになって負傷。救急車は呼ばず、所長の車で病院に搬送し、自費診療扱いにされている。本人の代理人として直接の雇用主と中請
- 会社に労災にしてほしいと頼んだが、脅迫だと言われて拒否され、雇用主から本人のところに脅しの電話が入った。(男性、東京)
- 20年前にプレス作業中に指を3本落とした。叔父の経営する会社で、労災保険には入っていたが、営業停止になるとのことで泣き寝入り。経営が代替わりして、不景気だから辞めてくれと言われている。(男性・50代、埼玉)
- 労働基準監督署が立ち入り調査に入ったが、社長にお前が監督署にたれこんだのではと言われた。(男性、神奈川)
- ガソリンスタンドでガスボンベが足に落ちて複雑骨折。会社に労災は扱ったことがないと言われた(男性、愛知)。
- 郵便局のユーメイトの配達の仕事中に、バイクが転倒して右肩腱枝断裂。数日出勤したが、検査の結果断裂がわかり、入院して、現在自宅療養中。郵便局には、仕事中のけがであると言ったが、何の対応もしてくれていない。(女性・57歳三重)
- 仕事中に肋骨3本を折る事故に遭ったが、健康保険を使わせられた。従業員150人の会社だが、絶対に労災を使わせない。職場でケガをしたのに、自宅でケガをしたことにして医者にかかっている同僚もいる。(男性、滋賀)▼交通事故で肋骨骨折等の重傷。数か月してから頸椎の手術をしたが、5か月たってからの病名の追加は認められないと、監督署がその分を不支給にしたため、審査請求中。(男性、富山)▼パート労働者。仕事中に転倒して、1か月入院。通院休業中。治療は労災になっているが、休業補償はもらっていない。他にも、全治2か月で治療費だけですませている人がいる。(女性、大阪)
- 公益法人勤務。業者に発注していたイベントの会場設営で、急遽変更があったため自らも作業に加わったときに手にケガ。使用者からは、にんなケガをしたら本来ならあなたを糾弾しなければいけないところだが、今回は大目に見る」と言われ、労災扱いされていない。(女性、大阪)▼仕事中に目に異物が入り、白内障で手術をした。労災保険は使わず、民間の傷害保険で処理。会社が保険金をピンハネしている。(兵庫)▼建設関係。労災保険で治療中だが、会社が倒産してしまった。治療を続けられるか。(兵庫)▼通勤災害で、自動車保険が打ち切られた。痛みは続いており、労災保険の方で何とかならないか。(兵庫)
- 郵便局のアルバイト。3か月雇用の更新の繰り返し。7年以上働いている。配達中に捻挫をし、治療費は労災扱いだが、10日間休んだ分の賃金の補償がない。(女性、兵庫)
- ビル警備の仕事中に転倒、頭部後方を床にぶつけ、脊髄損傷で療養中。1回目の労災請求と2回目請求時の病院が変わったが、「病名が
- 変わった」ことを理由に、労働基準監督署が休業補償給付の支給を保留している。主治医は心配ないと言うが、収入がなく生活に困っている。(男性、兵庫)
- トラック運転中に交通事故。労災認定はされたが、加害者の自動車保険会社が症状固定・示談を迫っている。(愛媛)
- 船員の夫が乗船中に死亡したが、労災扱いされていない。(愛媛)
- 会社で、通勤災害は労災にならないと言われた。(高知)
- 労災にあったが、そのときは健康保険で処理された。後日、労災保険の申請をしたが、健保の傷病手当金を返してからでないと休業補償は支給されない、と労働基準監督署に言われた。(愛媛)
- 頸椎損傷で労災療養中だが、労働基準監督署が打ち切りをにおわしている。リハビリの結果、少しずつではあるが、回復してきている。(男性・61歳、山口)
- 自動車会社で機械に手を挟んで負傷。1か月入院したが、労災保険の手続は2週間分しかしてくれず、以降給付がない。(女性・40歳、福岡)▼8年前に会社構内の側溝に転倒して首を打撲。以来、遅刻や休みが増えたことを理由として、謎責処分を受けたが、納得がいかない。(男性・38歳、福岡)
- 高速道路工事で地下16メートルの立坑の現場で倒れた。金がなく2日入院しただけで退院し、以後症状はあるが治療はしていない。(男性・46歳、大分)
- 高齢の父が大工としてときどき雇われ、仕事中にケガをしたが、労災保険はないと言われた。 (男性、大分)
- 生コン運搬者のドライバー。乗車時にステップから滑り落ち、肩を打撲。後ろに手が回らなくなり、労災で治療中だが、最近医師から、「この手の労災はだいたい6か月で終わらせるから、労災保険は使えなくなる」と聞かされた。まだ具合がよくないので心配だ。(男性・40代、鹿児島)▼縫製工場で型紙の束を運ぶ際にぎっくり腰になった。休業しているが、労災保険は使えないのか。(女性、鹿児島)
- 建設現場でダンプの荷台で作業中に足を踏み外して転落、腰・足に打撲を負ったが、辛抱した働き続けた。会社に労災にしてほしいと申し出たが、「労基署に聞いたところ、負傷直後に医者にかからなかったので労災にならないと言われた」として申請してくれなかった。今も健康保険で治療中である。(男性・70歳、鳥取)
●脳・心臓疾患、ストレス
- 大手百貨店に勤務していて、昨年、倒産のため退職。中古車販売会社に就職でき、3か月の試用期間を、正規雇用されるためにと休日も出勤してがんばったが、2か月経たないうちに突然発熱し、3日間意識不明の昏睡状態に陥った。自律神経失調症と診断され、3か月以上寝たきり状態で、周期的に発熱する。会社は、定休日を週1日設けるようになった。(男性・31歳、東京)
- 運送会社のアルバイトで2トン・トラックで配達中に、胸痛発作を発症。救急車で運ばれ、心筋梗塞と診断された。復職できず、解雇された。(男性・59歳、東京)
- 1年前に出向させられた友人が、4か月前に、会社から帰宅直後くも膜下出血で死亡した。もともと設計の技能職だったが、出向先では工事現場での仕事をさせられ、帰宅はいつも11、12時になっていた。(男性、東京)
- 作業中に指先を傷つけたが、休ませてもらえず、翌日も同じ作業。膿が出て、爪がはがれた。産業医を受診したが、労災にしてくれず、1か月くらい後から欝状態で精神科受診。半年休職後職場復帰の予定だが、仕事ができるか自信がない。(女性、栃木)
- 開所1か月半前に特別養護老人ホームの副施設長として社会福祉法人に就職。開設に必要な書類が全く整っておらず、約1か月のハードワークで倒れる。「適応障害」との診断で休業、法人からは解雇された。(男性、新潟)
- 今春、知的障害者更正施設に就職。夏から「自律神経失調症」の診断で休職中。寝ていても仕事のことが気になり、夢にまで出てくる(身体の大きい入所者に突き飛ばされたりとか恐い思いをしたことがあるとのこと)、出勤前におう吐したりしたが、出勤すれば普通に仕事ができていたので周りが気付かない。(女性・22歳、新潟)
- 長距離トラックを運転中の脳幹出血による労災申請の相談。九州在住の被災者の弟からの相談を熊本で受け、事業所が所在する愛知につないだ。
- 残業が月100時間をこえ、うつ病を発症し、退職した。現在、労災申請中である。(男性・33歳、佐賀)
●じん肺、アスベスト
- 建築大工として40年の経歴。1994年に腹膜中皮腫を発症し、これまでに4回、入院を繰り返している。(男性・63歳、東京)
- 夫が悪性中皮腫。製鉄所に30年間勤務(断熱材にアスベストか)。(愛知)
- 30年間はつり作業に従事。咳とたんがひどい。(男性・69歳、大阪)
- 20年以上、溶接、グラインダー作業に従事。せきやたんで困っている。じん肺の認定が受けられないか。(兵庫)
- ハツリ作業に30~40年従事している。近医でじん肺と言われた。労災申請してほしいが、会社の名前は出しにくい。(兵庫)
●腰痛、ケイワン等
- 掃除機を使用する清掃作業で腱鞘炎。医療機関でなかなか労災請求用紙を書いてくれないが、出さないとは言わない。(男性、埼玉)
- 設計事務所勤務。ドラフターで線を引く作業で腱鞘炎!手根管症候群。(男性、神奈川)
- パソコン作業で腱鞘炎とドライアイ。整形外科と眼科の両方に通っている。(女性、愛知)▼重量物取り扱い作業でばね指。(男性、三重)▼1日4時間のパートで病院給食と清掃業務。
- 足がしびれてきて(腰椎分離すべり症?)、知覚障害が顕著。手術を進められている。(男性、大阪)
- 左官業を長年続け、肩が痛くて整形外科に通っている。労災認定は可能か。(兵庫)
- ごみ収集車の運転で、9年前に腰痛症で公務災害。5か月の治療で無理やり打ち切られた。一昨年から痛みがひどくなり、入退院を繰り返している。公務災害にならないか。(兵庫)
- 看護業務で腰痛が多発しているが、腰痛コルセット購入の費用を会社に請求できないか。重症患者の多い病棟に、腰痛多発の傾向があるようだ。(熊本)
- ぎっくり腰で休んで治療していた。勤務先の病院で治療したため治療費は全額出してもらったが、休業中の賃金は支払われなかった。腰痛で勤務できないため、仕事は辞めてしまったが、休業補償はできないか。(鹿児島)
●その他
- 半導体製造工場の中の事務職。工場で有機溶剤を使っており、事務職場にも臭気が入ってくる。のど、気管支に違和感を感じ、受診したが、医師から専門でないのでわからないと言われた。(女性、東京)
- 10年以上勤務、職場の冷暖房とタバコの煙で体調を崩す。会社は集煙機を設置したが、煙がまわってくるので効果がない。(女性、北海道)
- 会議に使う和室でダニに刺され、全身に皮膚症状。一時は多発性硬化症を疑われたが、脊髄炎の診断で治療中。(男性、千葉)
- トレーラー運転手の網膜剥離(広島)、炭酸ガス溶接による体調不良(大分)、保育労働者のネフローゼ、ごみ焼却施設20年勤務労働者からの肺膿瘍(熊本)、に関する相談。
- 採石場で働いているが、雨天時などに会社都合で半日休業をとらせるときに、「借金」という名目で労働時間を保留にして、後日、ただ働きの日曜出勤で埋め合わせをさせている。(男性、鹿児島)
●Eメールによる相談
全国安全センターのホームページでもホットラインのことを案内し(JCA-NETの「今週の注目ページ(http://wwwjca.apc.org)」でも紹介していただきました)、朝日新聞にはEメールでの相談にも応じることが紹介されました。
朝日新聞の記事が出た当日に、神経症の診断ですでに2年休職されているという方から、労災手続や復職、再発防止対策についての相談(この方とは5回くらいメールをやりとりしました)等の具体的相談が寄せられたほか、仕事が原因で怪我や病気になっても労災保険手続をとってもらえないのは何故でしょうか、教えてくださいとか、わが社でも労災隠しが行われているという告発もありました。すべてのメールに返事を出しています。
労災職業病ホットラインの開設にあたって(プレスリリース)
全国安全センター(天明佳臣議長)*は、本年の全国労働衛生週間の冒頭10月1日(月)から3日(水)の3日間、初めて、日本全国どこからでも無料のフリーダイヤルで、「仕事によるけがや病気の何でも相談」に応じる標記ホットラインを開設します。
●「労災隠し」一発生件数の1割以上
労災隠し一労働安全衛生法第100条「報告等」違反による送検件数が、昨(2000)年は91件となり、前年比23.0%(17件)の増加、10年前一1991年の29件の約3倍にはねあがりました(内訳は、建設業65件、製造業15件等)。
厳しい経済・雇用情勢も反映して、統計上の労働災害・職業病の発生件数が全体的に減少している傾向のなかで、あってはならない「労災隠し」の増加という重大な事態が進行しているのです。
私たちは、この問題に真剣に取り組まなければならないことを再三訴えてきましたが、マスコミにも、また、国会においてもこの問題が取り上げられ、先の労災保険法改正審議で附帯決議もなされたということから、今年2月8日には基発第68号労働基準局長通達「いわゆる労災かくしの排除に係る対策の一層の強化について」が出されました。「『労災かくし』は犯罪です」というポスター・リーフレットを作成・配布するなどして、「周知・啓発」に努めているとして、現在実施されているところです。
前記の送検件数は、まさに「犯罪」として取り扱われた件数であるわけですが、この数字が「氷山の一角」しか現わしていないことは想像に難くありません。
事実、それを裏づける恐るべき数字が明らかになりました。社会保険庁一政府管掌の健康保険を扱う全国の社会保険事務所で「発見」された、労災保険扱いとすべき事案が、1990-1999年度の10年間に579,000件(額にして207億円)、1999年度は67,000件で、前年比31.3%増加しているというのです。これは、同期間の労災保険の新規受給者総数6,404,646人の1割を超えています。
すでに1995年の大阪府医師会や広島県医師会の実態調査が、労災隠しのトラブルを経験したことのある医療機関が各々38.1%と30.2%、その内そのことを労働基準監督署に連絡したのは3.9%と1.5%にすぎないことが明らかにしています。日本医師会の労災・自賠責委員会の1995年12月21日付けの答申は、「労災事故であることを隠し、その診療を健康保険等によって行ういわゆる労災隠しへの対応を求める医療現場からの声が、ここ数年徐々に強くなってきている。そこには、労災隠し事案が増加傾向にあるということばかりではなく、その内容が企業ぐるみで行われている疑いのある事案が増加しているという背景がある」、と指摘しました。
旧労働省が最初に労災隠しの問題で通達を出したのは、1991年12月5日のことでした(平3.125基発第687号「いわゆる労災かくしの排除について」)。にもかかわらず、1995年の医師会による指摘を受けることになり、それでも実態把握すらしようとしないまま、今日の「労災隠し」急増を許してしまった厚生労働省の責任はきわめて重大です。しかし、前記社会保険庁のデータについても厚生労働省は、私たちや国会における追及に対して、「間違って健康保険でかかってしまったものもかなり含まれているはず」と言いながら、いまだに実態把握も行おうともしていません。
●「『労災隠し』は犯罪」一実効的対策を
「『労災隠し』は犯罪」と口でいくら言ってみても、実効性ある対策が伴っていない、悪質な企業からは「労災は隠せるし、みつかってもたいしたことはない」となめられ切っているのが現状、と言っても過言ではありません。不適切・不十分な認定基準や認定手続等のために、労災を受けられないことも、「労災隠し」です。
私たちは、本年3月29日と4月24日、合計5時間にわたる厚生労働省との交渉の場においても、具体的な対策の提案を行いました。具体的には、以下のような内容です。
- 各健康保険等の所管部署の協力も得て、早急に実態把握を行うこと(政管健保のデータは対策に活用すべき、また、政管健保だけでなく、組合健保や国保組合、市町村健保等における実態も把握すべきである)
- 関係部局による対策会議を設置し、(私たちを含め)民間の叡智も借りながら、早急に実効性のある対策をたてること
- 事業主が届け出た労働者死傷病報告と労災保険請求書の両者を突き合わせ、分析して、対策に活用すること
- 「隠せない」死亡災害や重大災害と比較して、その他の災害・職業病の届出が著しく少ない業種や企業等に的を絞った対策をたてること
- 「労災隠し」を発見するための手引等を作成し、第一線の現場担当者に提供・教育すること(この点で私たちには多くの貢献をできる自信がある。なお、この際、「労災隠し」対策と「不正受給防止」対策を並列して扱うべきではない)
- 「労災隠し」対策を助長することにもつながる、不適切・不十分な認定基準や認定手続等を抜本的に改正すること(とりわけ過労性の職業病に関する認定のあり方の改善が急務です)⑦現在、労災保険法施行規則第23条に定められている、労災請求等に対する事業主の助力義務を強化し(法文本体への格上げと罰則)、「労災隠し」を犯罪」として厳しく対処すること
●全国どこからでも無料で相談OK
私たちは、1997年以来毎年、労働衛生週間の期間に合わせて全国一斉ホットラインを開設してきました。また、全国一斉ホットラインと日常的な相談活動の結果をもとに、労災補償・労働安全衛生等に関する要望事項を取りまとめて、毎年、厚生労働省との交渉を実施してきました。今年は5年目になります。
私たちのホットラインに寄せられる、すべてのケースが「労災隠し」です。昨年10月2-4日に全国16か所で開設したホットラインには、過去最高、210件の相談が寄せられました。やはり過労やストレスに起因すると思われる健康問題が目立っていますが、「労災隠し」の増加と合わせて、リストラ・合理化の至上命令の前で、あるいはそれを悪用して、「安全で健康に働く」という人権の軽視が無視できない状態にあることをあらためて認識させるものでした。
このため、より多くの人々からの相談に答え、同時により実態を明らかにして、企業や行政の体質を変えていくために、今回は、全国どこからでも、無料一フリーダイヤルで相談ができる3日間のホットラインを開設することとしたものです。対応時間帯は、13:00~19:00。もちろん、秘密は厳守します。
標記フリーダイヤルの番号での相談に応じるのは、別表のうちの東京、三多摩、神奈川、新潟、愛知、三重、京都、大阪、兵庫(神戸)、広島、鳥取、愛媛(新居浜)、熊本、大分、宮崎、鹿児島の実務経験豊かなスタッフです(必要な場合に医師、弁護士等の専門家を紹介する体制も用意しています)。兵庫(尼崎、10.6-7)、高知(10.1-2)、愛媛(松山、10.1-3)では、独自の電話番号で各々所定の期間、無料相談に応じます。
なお、ホットラインについては、インターネット上のホームページでもお知らせし、E-mailでの御相談にも応じることにしています。
別表掲載の電話番号では、基本的に常時、「仕事によるけがや病気の何でも相談」に応じています。
*全国安全センター:正式名称「全国労働安全衛生センター連絡会議」。1990年5月に設立された、全国各地で労働災害・職業病の被災労働者や遺族からの労災相談、職場の改善・労働安全衛生対策の支援等に取り組むNPOの全国ネットワーク。天明佳臣議長は、さる9月8-9日の第12回総会で新任。横浜市にある神奈川県勤労者医療生活協同組合・港町診療所所長(医師)で、様々な労災職業病・安全衛生問題、外国人労働者や出稼労働者の医療問題などに取り組んでいます。井上浩・前(第3代)議長(元労働基準監督官)は、鈴木武夫氏(元国立公衆衛生院院長)、原田正純氏(熊本学院大学教授、第2代議長)とともに、顧問をされています(初代議長は、公害Gメンとして有名な故田尻宗昭氏)。
安全センター情報2001年11月号