病院をたらいまわし:外国人労働者の労災隠し/千葉

パキスタン人のSさんは、 1997年2月から千葉県の建築現場で働き、ブロック積みやセメントを流す仕事をしてきたが、 5月21日、カッターでコンクリートブロックを切断作業中に、ダイヤモンドカッターの歯か破損して、右目に飛び込んでしまう重大な事故に遭ってしまった。

Sさんは、危険な作業だと感じていて、社長に保護めがねがほしいと話していた。その矢先の事故だった。会社は大手建設会社の下請で、当然、その社長は元請に事故について報告し、労災保険の手続をとらなければならないはずである。しかし、社長は「外国人を使うな」と元請から厳命されており、治療費を自分で払うことで、元請には報告をしなかった。
労災隠しである。

さらに許し難いのは、外国人の自費診療扱いを嫌う病院でたらい回しにされたことで、このために、急を要する処置が1日遅れてしまった。すぐに労災保険で病院へ行ければこんなことにはならないし、診察を拒否する病院にいたっては開いた口が閉まらない。3つ目の病院で事故からまる1日以上経ってから破片を取り除く手術を受けた。

目のレンズも破損しており、人工レンズを入れるまでは右目は見えない。幸い経過は良好で、レンズを入れる2度目の手術を待っている。センターには Sさんのお兄さんが相談に来て、労災申請も元請の保険で 申請を行った。

東京東部労災職業病センター

安全センター情報1997年8月号