マレーシアの公衆衛生が脅威にさらされている~BWI(Building and Wood Workers’ International), 2026.4.2
外国のアスベスト産業による国の段階的廃止計画の乗っ取りに諸団体が警鐘を鳴らす
2026年世界アスベスト啓発週間に合わせて、われわれ署名団体は、すべてのマレーシア国民に対し緊急の警告を発する。わが国の公衆衛生は、再び海外のアスベスト産業ロビー団体の標的となっている。
2014年、マレーシアは人命を救うアスベスト禁止を成立する寸前までいったが、企業の激しい反発により、その取り組みは無期限に頓挫した。今日、天然資源・環境持続可能性省(NRES)がこの有毒鉱物の見直しと段階的廃止に向けて正しく動き出す中、国際クリソタイル協会(ICA)は再びわれわれの国家政策を乗っ取ろうとしている。歴史の繰り返しを許してはならない。
ICAは最近、マレーシアにおけるクリソタイルアスベストの健康への悪影響について「科学的証拠はない」とする声明を発表し、一方で「管理された使用」という致命的な神話を擁護している。これは、利益追求に駆られた危険な虚偽である。われわれは、クリソタイルを含むあらゆる形態のアスベストがきわめて発がん性が高いと明確に宣言している世界保健機関(WHO)及び国際労働機関(ILO)の立場を断固として支持する。アスベストへの曝露に安全なレベルなど絶対に存在しない。
さらに、ICAがインドの国家グリーン裁判所(NGT)による2025年10月の判決を政治的武器として利用しようとする試みは、意図的に誤解を招くものである。ICAは、この判決を禁止措置の却下であり、業界への支持であるかのように誤って解釈している。
実際には、NGTはアスベスト業界の主張の核心に対して決定的な打撃を与えた。同裁判所は、クリソタイル繊維がアスベストセメント製品内に安全に「封じ込められている」という業界の長年の通説を明確に退け、風化や破損の際に実際に致死性の繊維が放出されるとの判決を下した。NGTは、アスベスト繊維を空気・水・環境汚染物質として法的に正式に分類し、非職業的曝露の深刻な危険性を認め、インド政府に対してアスベスト材料の使用に関する緊急行動計画を策定するよう命じた。NGTは、学校におけるアスベストセメント製屋根材の使用を容認しなかったが、実際には、この問題をめぐる政策の策定をインド政府に委ねたに過ぎない。自社製品の危険性を明らかにする法的義務を、あたかも「勝利」であるかのようにねじ曲げる行為は、時間切れに追い込まれた業界による必死の欺瞞である。
前述のとおり、世界のアスベスト産業は終焉を迎えつつある。1950年以来初めて、世界の生産量が100万トンを下回った。世界はすでに次の段階へと進んでいる。アジア開発銀行(ADB)でさえ、2026年1月から自らが手掛けるプロジェクトにおいて、すべてのアスベスト含有材料の使用を厳格に禁止する方針を打ち出した。マレーシアは、衰退しつつある有害な産業の廃棄物処理場として留まるのではなく、こうした世界的な基準に歩調を合わせるべきだ。
とはいえ、現在の国の政策における一貫性の欠如は無視できない。マレーシア政府は、2005年という早い段階で、官公庁、学校、病院、診療所を含むすべての政府施設におけるアスベストの使用を禁止した。それなのに、なぜこの「グループ1発がん物質」として知られる物質が、民間企業や一般住宅では依然として使用が許されているのか。政府高官の健康のみを保護し、一般の労働者や消費者、そして家族を致命的なアスベストにさらすという二層構造のシステムは、差別的であり、容認できない。
禁止を遅らせることは、公的医療制度にとって時限爆弾のようなものだ。中皮腫や石綿肺などのアスベスト関連疾患(ARD)には、20年から40年の潜伏期間がある。オーストラリアの例を見れば明らかだ。同国では数十年前にアスベストを禁止したにもかかわらず、依然としてアスベスト関連死の悲劇的な増加に苦しんでおり、過去の曝露が原因で年間約4,000人のオーストラリア人がARDsにより命を落としている。マレーシアでアスベストの段階的廃止と包括的な禁止を一日でも遅らせることは、将来の世代を予防可能な苦しみへと追いやることになり、経済に莫大な、しかも回避可能な医療負担を強いることになる。
われわれはマレーシア政府に対して、産業界からのいかなる影響やロビー活動に対しても断固として立ち向かうよう求める。政府には、国民の健康を最優先事項としていることを示すことで、国民の信頼を取り戻すよう強く促す。われわれは、ただちに利害関係者との対話を開始すること、アスベスト禁止に関する政府のワーキングペーパーを公表すること、そして完全な段階的廃止に向けた明確かつ妥協のないスケジュールを発表することを要求する。遅ればせながら実施されるべきアスベストの包括的な全国禁止措置は、次期総選挙までに実施されなければならない。
最後に、われわれはすべてのマレーシア人に団結し、いかなる外国産業界の影響に対しても立ち向かうよう強く訴える。アスベストの禁止は、根本的に国益に関わる問題だ。禁止措置を先送りすることは、マレーシア人の命を直接犠牲にして、外国のアスベスト大手企業の利益を図るだけである。われわれの運命と健康は、マレーシア人によって、マレーシア人のために決定されなければならない。アスベスト産業にわれわれの未来を左右させる余地を一切残してはならない。
BWI(国際建設林業労連)、CAP、HASAC(安全衛生助言センター)をはじめ44団体が署名
※https://www.bwint.org/BwiNews/NewsDetails?newsId=1222
安全センター情報2026年6月号


