監視カメラを越えて『ロボット犬』で監視・・・「安全責任転嫁、人権侵害」批判/韓国の労災・安全衛生2025年10月29日

主要な発電所で、移動式カメラを設置して労働者を監視しているるという事実が知らされ非難されたのに続き、現代製鉄など一部事業場では、『ロボット犬』を使って、工場内部と作業者を撮影していることが確認された。
29日の取材を総合すれば、現代製鉄は8月にホームページで「工場の安全のための無人巡察システムの核心として、ロボット犬を導入した」とし、「危険要素を事前に捕捉し、事故を予防し、人が見逃す部分まで補完してくれる」と明らかにした。続けて「点検対象には人も含まれる。」「作業中の現場では、閉鎖回路(CC)TVと人工知能(AI)が連動し、安全帽や安全装備をきちんと着用しているかもリアルタイムで確認する」と明らかにした。現場労働者たちは、8月以前から工場でロボット犬を目撃したと証言した。現代自動車の電気自動車工場などでもロボット犬の投入議論が行われているが、労組側が反対していることが判った。
会社は安全管理のためにロボット犬を導入したと明らかにしている。しかし労組は、ロボット犬が安全に役に立たないだけでなく、人権侵害の素地があると批判する。個人情報保護法によって、個人の映像を撮影するためには同意書を受け取ることになっているが、下請け労働者には事前告知や同意書を受け取る手続きはなかったことが判った。事故が発生した場合、責任を労働者に転嫁することができるという憂慮が出ている。
このようなロボットが、産業の安全を守るのにどのような形で役立っているのかは不明だ。現代製鉄唐津工場で仕事をする非正規職で30代の労働者のAさんは、「設備や環境改善ではなく、ロボット犬では根本的な安全問題を解決できない。」「ロボット犬を導入する費用で、設備老朽化や作業環境の改善をすれば、安全を一層確保できるだろう」と話した。彼は「監視して縛り付けるような気がする」とも話した。彼らは、現場に冷・暖房装置も置かず、別途の休憩空間もないとし、現場の労働環境が非常に劣悪だと伝えた。
9月6日、唐津の原料工場では、下請け労働者が仕事をしていた作業場が崩壊する事故が発生した。人命事故はなかったが、近くにいた労働者が負傷しかねない状況だった。当時、事故を目撃した労働者たちは「運が良くて生きた」と話した。
崩壊事故以後に起きた以後、下請け労働者が安全が確保されていない状況で事故現場点検業務に投入された。下請け労働者は「労働環境を改善して欲しい」として、現代製鉄に交渉を要求をしているが、会社はこれを拒否している状況だ。先立って、雇用労働部と裁判所は現代製鉄の不法派遣を認め、労働者を直接雇用しろという是正命令を出した。
金属労組現代製鉄非正規職支会のイ・ヨンソク政策部長は「機械が『危険の外注化』を防ぐことはできない。ロボット犬では安全問題を解消できない」として、「会社が本当に安全のために導入したのか、事故が起きた時に責任を労働者に転嫁するためのものなのか、判らない」と話した。彼は「作業現場でロボットが動いていれば、仕事をする時に邪魔になり、却って更に危険だ」として「人権問題もある」と話した。労組は交渉による産業安全問題の解決を主張している。
現代製鉄の関係者は、「現代製鉄は安全な仕事場を作るために、多様な努力を傾けている。ロボットの利用も、事業場の死角地帯の安全を確保するなど、安全を守るための方案」で、「正規職労組とは合意した」と明らかにした。
2025年10月29日 京郷新聞 チェ・ソウン記者


