李在明政府、四.五日制は成功できるのか・・・セフランス病院の二年/韓国の労災・安全衛生2025年8月13日

「以前は死ぬほど仕事ばかりして走るような気分でした。まだ疲れが回復していないのに、もう出勤だと思いながら働いていましたが、今は『十分休んだ』という感じの状態で働いています。子供たちもお母さんと一緒に家で時間を過ごせると喜んでいて、周りからも顔がすごく良くなったと言われています」
セフランス病院で週四日制のモデル事業に参加した看護師のAさんは、週四日制に変わった「ワークライフバランス」に満足感を示した。この二年間、Aさんのように週四日制のモデル事業に参加した看護師たちは、概ね個人の幸福度と満足度が増えたことを体感した。李在明大統領が「週四.五日制推進」「労働時間短縮」等を公約したため、セフランス病院のモデル事業が良い先例になり得るのか注目される。
働く市民研究所・ユニオンセンターとセフランス病院労組が12日発表した「セフランス病院週四日制モデル事業二年の結果と含意」研究報告書によれば、週四日制モデル事業で看護師の健康とウェルビーイング、医療サービスの質、組織効率性などは増加し、退社率は大幅に下がったことが判った。
セフランス病院、週四日制モデル事業二年・・・職場生活満足度↑ 退社率↓

セフランス病院は2022年8月、労使間の団体協約で週四日制のモデル事業が確定した後、2023年から交代制の看護師対象のモデル事業を進めている。セフランス病院三カ所(新村2カ所・江南1カ所)で、上・下半期に六カ月ずつ交代制勤務の看護師を対象に実施している。
モデル事業に参加した16年目の看護師Bさんは、週四日制のおかげで、仕事と育児を並行することができたと話した。彼女は「2022年末の夜、勤務後の朝、帰宅途中の高速道路で居眠り運転で事故が起きた。その時から退社するかどうかを悩んだが、幸い2023年から週四日制に参加し、退社せずに通うことができた。」「肉体的、精神的に休めるようになり、家事をできる時間も増えた。何よりも、幼い子供と一緒にできる時間が増えて幸せだった」と話した。続いて「患者が必要とすることも、先に聞いたり、話を聞いてあげられる余裕ができた。」「週四日制の参加者は仕事をする時にはより積極的に参加し、待機者は大変でも、退社や転職を考えずに待つ雰囲気になった」と話した。
セフランス病院の週四日制モデル事業の二年間、三年未満の看護師の退社率は施行以前の19.5%から12.5%急減して7.0%にまで低くなった。職場生活の満足度は10.1点増加して60.3点に高まり、一年以内に転職の意向は4.9%減少した。幸福度と仕事と生活のバランスも同時に上昇し、余暇時間の十分度は10倍以上増加した。一方、「医療と安全事故の危険性」は2024年基準で38.1点で、週休二日制勤務者(44.2点)に比べて相対的に低いことが判った。
参加者たちは週四日制が個人的な次元だけでなく、組織的な次元でも肯定的な影響を与えると感じた。看護師のCさんは「業務の集中度が確実に良くなり、業務ミスも減った。」「引継ぎを受ける先生の立場からも、余裕があるから関係も更に良くならざるを得ず、互いに絆が深まり、雰囲気が更に良くなった」と話した。
セフランス病院のクォン・ミギョン労組委員長は「週四日制のモデル事業をしている病棟の離職率が非常に減少したことが最も大きな成果だ。参加者が本当に喜んで、患者の満足度と親切件数も上がった。」「セフランス病院の経験を基に、他の病院と私たちの社会全般に拡げるのが私たちの目標」と話した。
李在明政府、「週四.五日制」を試みる・・・どう推進すべきか

昨年の基準で韓国の年間労働時間は1859時間で、経済協力開発機構(OECD)の平均(1717時間)よりはるかに長い。一方、時間当りの労働生産性は2023年で44.4ドルで、日本の49.1ドル、イギリスの60.1ドル、ドイツの68.1ドル、フランスの65.6ドル、アメリカの77.9ドルなど、主要国と比較して低い。
大統領は大統領選挙の労働公約として「週四.五日制の推進で、労働時間の短縮支援と過労死予防」を発表した。大統領は就任後の記者会見で、「多く働いても生産性が低い現在のやり方では、国際競争力を維持することはできない。」「社会的対話によって漸進的に推進していかなければならない」と表明した。
雇用労働部は現在、週四.五日勤務制に関して、勤労時間の短縮方案などを協議中であり、収入が減少する心配と生産性向上などを含め、総合的に検討している。京畿道は全国で初めて週四.五日勤務制のモデル事業を始めた。海外でもアイスランド、ベルギー、イギリスなどが週四日または週四.五日のモデル事業を進めてきた。
同徳女子大学のクォン・ヘウォン経営学科教授は、「長時間の不規則労働は労働者の産業安全と健康を脅かし、仕事と生活の均衡破壊で、労働者個人に否定的な影響を与えるだけでなく、高い辞職率と業務意欲の低下で、サービスの質と生産性の低下の問題も招く。」「また仕事と育児、仕事と家庭の両立を難しくし、女性の労働市場からの離脱、経歴断絶に帰結し、格差を持続させる」と指摘した。それと共に「週四日制の満足度と需要が増加し続けており、モデル事業に止まらず、事業は拡大されるべき必要性が着実に立証されている」と話した。
但し、このような勤労時間の短縮は、現実的には大企業正規職と公共機関を中心に施行されると展望され、労働市場格差が更に拡がるという憂慮も出ている。勤労時間短縮に伴う賃金の減少も解決しなければならない問題だ。オ・ミンギュ解放研究室長は、「週四.五日が可能なところは、大部分が支払能力のある事業場であるため、ややもすれば貧富の差に繋がりかねない。」「過去の週40時間導入当時、非正規職は賃金減少で嫌がった。働く時間が減れば賃金も減るので、これを保存できる対策作りも必要だ」と話した。
2025年8月13日 京郷新聞 チェ・ソウン記者