李在明政府『労災との戦争』に労働者参加を拡大/韓国の労災・安全衛生2025年8月14日

資料写真チョン・ギフン記者

李在明大統領が、就任以後、連日重大災害の根絶を強調しながら『労災との戦争』を始め、国政課題では、労災予防に労働者の参加を拡大し、企業公示と処罰新設など、規制を強化する方向で骨格を整えた。
李在明政府は事故死亡万人率を、2030年までに経済協力開発機構(OECD)の平均水準にまで減らすことを目標に、産業安全保健政策を推進する。現在の0.39から0.29に削減する計画だ。
国政企画委員会が『働くすべての人が健康で安全な国』のために示した実践課題にでは、働くすべての人のための労働安全保健法体系の構築を始め、△元・下請け統合安全保健管理体系の構築など、実効的な労災予防対策作り、△産業安全保健行政の専門化・先端化、△労災保険の先保障、全国民労災保険、迅速処理実現など、労災保険制度の革新、△作業中止権など労働者の参加権強化で安全な仕事場の造成、△新しい有害・危険から働く人を保護、など6種類で構成されている。

元·下請け安全保健協議体の構成義務化
労働者の作業中止権拡大

元・下請け安全保健協議体の構成を義務化する、元·下請け共同安全保健管理体系の構築を推進する。産業安全保健法75条によれば、工事金額120億ウォン以上の建設工事をする請負人は、労使同数で構成される安全・保健に関する協議体を構成・運営することができる。これを義務化し、工事金額も『50億ウォン以上』に対象を拡大するということだ。また、公共機関と社内下請けがある50人以上の製造業の事業場に「元・下請け共同産業安全保健委員会」の構成を義務化し、下請け労使の参加を保障する。
労働者の作業中止権も拡大する。現行法上、労働者は労働災害が発生する『急迫した危険がある場合』作業を中止し、待避することができる。これを急迫した危険が発生する『憂慮(有害・危険発生が濃厚な時)がある場合』事業主に作業中止と是正措置を要求できるよう改正するという趣旨だ。また、作業中止権を正当に行使した時、解雇や懲戒など不利な処遇を受ければ、刑事処罰の対象になるようにする。但し、作業中止権行使の主体が勤労基準法上の勤労者であり、該当規定を改正するという内容は含まれておらず、特殊雇用職などは除外される見通しだ。

安全保健公示制導入
危険性評価罰則条項新設

「安全保健公示制」も導入する。これは△事業場の安全保健管理体制、△安全保健投資規模、△前年度の安全保健活動実績と次年度活動計画、△労災発生状況、△災害発生時の再発防止対策の樹立と履行計画、などを公開する制度だ。500人以上の事業場から適用し、300人の事業場にまで拡大するという構想だ。安全保健公示制が導入されれば、労災死亡事故の繰り返しで、安全管理に1千億ウォンを投資すると明らかにしたSPCが、具体的にどこにどれだけ使ったのかが確認できるようになるものと見られる。
危険性評価制度も見直す。事業主の責任強化のために、評価を実施しなかった時の罰則条項を新設する。危険性評価は尹錫悦政府の『重大災害縮小ロードマップ』でも核心内容の一つであった。ところが『自律規制』だけが余りに強調され、拘束力がなく実効性が劣るという指摘が提起されてきた。実際に23人が亡くなる惨事が発生したアリセルは、危険性評価で三年連続優秀事業場に選ばれ、労災保険料率を減免されていた経緯がある。評価の不実施だけでなく、△労働者の不参加、△減少対策の不履行、△危険性評価の結果、労働者との共有がないといった必須手続きを脱落した場合にも罰則を適用する。

業務上災害調査期間90日以内の制限
夜間労働者の勤務形態変更要求権・健康診断制度新設

労災予防が業務上の事故だけの問題ではないため、業務上の疾病に関する内容も盛り込まれた。労災処理期間短縮のために、業務上災害の調査期間を法定化し、災害調査期間を超過した場合、労災保険給付を優先支給するように制度の改善を進める。具体的な期間は労災申請後『90日以内』とするものの、特別診察・疫学調査といった医学諮問の時は『180日以内』とする。
夜間労働者の過労死・過労自殺防止のための対策も用意する。主な内容は、夜間勤労従事者の最小休憩・休暇・休日、最長労働時間と連続勤務日の限度などを規定・支援し、勤務形態変更要求権と健康診断制度を新設するということだ。但し、健康診断の場合、宅配・配達従事者などに対する費用負担を誰がするのかが争点になる見通しだ。労働界は、勤労基準法に労働者の健康と安全のために夜間労働を原則的に禁止し、例外的な場合にのみ許容する制限が必要だという指摘が提起されたが、こうした内容は含まれなかった。
政府の産業安全保健政策の方向が、大企業に傍点を打っているという憂慮の声も出ている。国政課題には小規模事業場への支援政策の拡大が含まれているが、不十分だという指摘だ。韓国労総のキム・グァンイル産業安全保健本部長は「安全保健公団の支援予算は大幅に増えたが、支援自体が供給者中心に行われた結果、効果が十分に現れない。」「重大災害が小規模事業場に集中しているだけに、大企業を対象にした対策一辺倒であれば、実効性があるかが憂慮される」と話した。

2025年8月14日 毎日労働ニュース オ・ゴウン記者

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