泰安火力発電所下請け労働者死亡事故、官民協議体がまもなく発足/韓国の労災・安全衛生2025年8月7日

先月31日「泰安火力発電所のキム・チュンヒョン非正規職労働者死亡事故対策委員会」が発電所下請け労働者死亡事故に対する対策作りを求める記者会見を行っている。 対策委提供

韓国西部発電・泰安火力発電所で下請け労働者が作業中に亡くなった事故を契機に、発電産業での死亡事故再発防止対策と下請け労働者の雇用安定方案を議論する民官合同協議体が、近いうちにスタートする。委員長は金善洙(キム・ソンス)元大法院判事が務めることが確認された。特定労働災害を契機に民官協議体が構成されるのは、珍しいことだ。

雇用労働部の説明などを聞くと、早ければ来週中に『故キム・チュンヒョン死亡事故再発防止のための発電産業雇用安全協議体』の初会議が行われる。この協議体には、国務調整室と雇用労働部、企画財政部、産業通商資源部の局長級の公務員と政府推薦の専門家が政府側委員として参加する。民間委員としては民主労総公共運輸労組韓電KPSB正規支会長など、労組活動家たちと労働・産業安全専門家が引き受ける。

先立って6月2日に韓国西部発電の再下請け企業である韓国パワーO&Mの職員キム・チュンヒョン氏は、韓電KPSが指示した経常整備作業をしていたところ、工作機械に挟まれ亡くなった経緯がある。韓電KPSは韓国西部発電の請負業者であると同時に、韓国パワーO&Mの元請け業者だ。経常整備とは、発電設備の故障予防等のための予防点検と整備、問題発生時に必要な復旧整備等を指す。

協議体の議論案件は、事故が起きた事業場の安全制度改善はもちろん、発電産業全般の安全対策も含まれる。更に、発電産業の雇用安定方案も扱う。今回の事故の根本背景に、発電産業の多段階下請け構造が位置していると見たからだ。

死亡労働災害で民官合同協議体が構成されるのは珍しいことだ。文在寅政府時の2018年に、泰安火力発電所の下請け労働者キム・ヨンギュン氏が亡くなった事故を契機に、国務総理傘下に『故金溶均死亡事故真相究明と再発防止のための石炭火力発電所特別労働安全調査委員会』(キム・ヨンギュン特調委)という名の民官合同協議体が構成された経緯がある。ただ、協議体の議論結果に、法的拘束力はない。一例としてキム・ヨンギュン特調委は、特定職務と地位(経常整備担当再下請け労働者)に限り、直接雇用正規職化を勧告したが履行されなかった。

一方、政府は韓国労総とも別途の協議体を設ける。この協議体では、発電産業安全対策と同時に、エネルギー転換対策も議論される予定だ。キム・・チュンヒョン氏の所属会社の元請け会社である韓電KPS労組が韓国労総所属という点が考慮された。

2025年8月7日 ハンギョレ新聞 パク・テウ記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1211988.html