アジアにおける石綿及び石綿関連疾患 基本データ

アジア・アスベスト禁止ネットワーク(ABAN)は、アジア各国における石綿及び石綿関連疾患に関する、国際的に入手可能な基本データを編纂・更新しており、その最新版を紹介する。
データの出典は以下のとおりで、いずれも国別データが入手可能である。

■石綿(繊維)の消費・生産量

USGS(米連邦地質調査所)が提供するデータに拠る(https://www.usgs.gov/centers/national-minerals-information-center/asbestos-statistics-and-information)。
過去の分については、「Worldwide Asbestos Supply and Consumption Trends from 1900 through 2003」及び「World Asbestos Consumption from 2003 through 2007」に拠り、以降は、各年版の「Mineral Yearbook」の、より直近に公表されたデータに拠っている。最新版は、2024年10月21日に公表された「2023 tables-only release」であり、2019~2023年分のデータはこれから採っている。

■石綿繊維と石綿含有製品の輸入・輸出量

UN Comtradeデータベースに拠る(https://comtradeplus.un.org/TradeFlow)。商品の名称及び分類についての統一システムに基づいて定められたHSコードの以下が対象となる。

  • 2524 石綿(繊維)
  • 6811 石綿セメント製品、セルロースファイバーセメント製品その他これらに類する製品、うち、681140が「石綿を含有するもの」
  • 6812 石綿繊維(加工したものに限る。)、石綿をもととした混合物及び石綿と炭酸マグネシウムとをもととした混合物並びにこれらの混合物又は石綿の製品(例えば、糸、織物、衣類、帽子、履物及びガスケット。補強してあるかないかを問わないものとし、第68.11項又は第68.13項の物品を除く。)
  • 6813 ブレーキ用、クラッチ用その他これらに類する用途に供する摩擦材料及びその製品(例えば、シート、ロール、ストリップ、セグメント、ディスク、ワッシャー及びパッド。取り付けてないもので、石綿その他の鉱物性材料又は繊維素をもととしたものに限るものとし、紡織用繊維その他の材料と組み合わせてあるかないかを問わない。)、うち、681320が「石綿を含有するもの」

各国からの報告に基づいて随時更新されており、今回紹介するのは2024年11月初めの時点で抽出したデータである。「trade value」のみが報告されていて「net weight」が報告されていないものもあり、「?」または報告されている「net weight」の合計を記載した場合にはゴチック体で示した。さらに、ロシアが2022・23年の石綿輸出量を報告していないため、USGSデータによる生産量から消費量を差し引いた数字を輸出量とした。

■職業性石綿関連疾患死亡数推計

2024年5月18日に公表された世界疾病負荷推計(GBD2021)(https://vizhub.healthdata.org/gbd-compare/2024年8月号も参照)、及び、2021年9月17日に公表された「傷病の労働関連負荷に関するWHO/ILO共同推計」(https://who-ilo-joint-estimates.shinyapps.io/OccupationalBurdenOfD
isease/#
2021年12月号も参照)に拠る。どちらもアスベストへの職業曝露に起因する中皮腫、肺がん、卵巣がん及び喉頭がんによる疾病負荷を推計しており、また、前者には石綿肺も含まれている。

■中皮腫死亡数推計

前出の世界疾病負荷推計(GBD2021)に拠る。
また、2017年9月2日に発表された論文「Estimation of the global burden of mesothelioma deaths from incomplete national mortality data」のTable S4で示された推計結果も紹介している(https://oem.bmj.com/content/oemed/74/12/851.full.pdf2017年12月号も参照、中皮腫推計)。

■中皮腫死亡数の将来予測

2024年2月1日に国際がん研究機関(IARC)は、世界のがん負荷に関する最新の推計を公表した。その「Global Cancer Observatory」では、「Cancer Today」及び「Cancer Overtime」等が検索できるが、最新の「2022年におけるがん負荷推計(Globocan2022)」及び「2022年から2050年までのがん負荷の将来予測」である。これによる中皮腫死亡数の将来予測も示した(https://gco.iarc.who.int/tomorrow/en/dataviz/tables?cancers=18&types=12024年4月号も参照)。

データ

サマリー:アジアにおける石綿と石綿含有製品

世界

世界の消費/日本

韓国、台湾

中国

モンゴル

北朝鮮

タイ

インドネシア

ベトナム

マレーシア

フィリピン

ラオス

カンボジア

ミャンマー

シンガポール

ブルネイ

東ティモール

インド

スリランカ

バングラデシュ

ネパール

パキスタン

モルディブ

ブータン

アフガニスタン

ロシア

カザフスタン

ブラジル

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安全センター情報2025年1・2月号