工場の屋上から飛び降りた特性化高校の実習生、8年目に労災認定/韓国の労災・安全衛生2025年1月19日

特性化高校の現場実習生の死を描いた映画「ダウム・ソヒ」のスチールカット

安山市の半月工業団地内の中小企業で働いていて、工場の屋上から投身して重傷を負った特性化高校の現場実習生が、8年目に労働災害を認められた。

ソウル高裁はパク某さん(26)が勤労福祉公団を相手に提起した療養不承認処分取り消し訴訟で、一審を覆して原告勝訴の判決を行っていたことが確認された。

2017年9月、安山市の特性化高校三年生だったパク某さんは、ある製造業者に現場実習に行った。会社はパク某さんが生活に支障はないが、特定の病気を患っていることを知った後、彼を解雇した。学校に戻ったパク某さんは、その年の11月7日に半月工業団地にある「SJフォームワークス」と勤労契約を結び、再び現場実習をすることになった。彼は他の労働者たちと原料配合をする途中にミスをして、会社に1000万ウォン程度の損失を与え、その後は製品包装、清掃などの単純業務だけを担当することになった。

パク某さんは同月16日、配合筒の清掃中に先輩からの悪口を聞き、正規職研究員と比較された。担任教師に電話して訴えたが、教師は「自分に間違ったことがないかを考えて、我慢しろ」という趣旨で話した。パク某さんは電話を終えた直後に会社の工場の屋上に上がって飛び降りた。命を失ってはいないが、脳損傷、骨折などの重傷を負った。

パク某さんは、投身が業務上のストレスによるものだとして労災申請をした。勤労福祉公団が2021年に労災不承認処分をすると、パク某さんはこれを取り消して欲しいと、訴訟を提起した。

一審の裁判所は、勤労福祉公団の処分に問題はないと見た。裁判所は「パク某さんが通常の範囲を越えて、社会平均人の立場から、甘受したり克服しにくい業務上のストレス要因にばく露したとは見にくい」と判断した。

しかし、二審の裁判所は一審とは異なる判断をした。控訴審では「原料配合中にミスをすれば『月給が飛んでいく』という教育を受けたパク某さんは、ミスで会社に相当な損失が発生したことに、相当な精神的な負担を感じたと見られる」とし、「この状況でパク某さんは先輩に悪口を言われたり、正規職研究員と比較されるなど、不当な待遇を受けたりもした」と判断した。

裁判所は「パク某さんは困難を経験しながらも、学校に戻ることができなかった。病歴のために、復校後に現場実習に出られない生徒が自身を含めてクラスに二人だけの状況で、まともに教育を受けられなかったため」、「担任教師に訴えること以外に別の解決策がなかったと見られるが、電話を受けた教師が共感できず、『我慢せよ』という趣旨で話すと、パク某さんは極度の憂うつ感、絶望感に陥って、飛び降りに至ったと見られる」と判示した。続けて「たとえパク某さんに病気があっても、就職可能な程度だったと見られる」とし、「病気をパク某さんの脆弱要因と見ても、パク某さんが会社で体験した困難が脆弱要因と重なって、精神的な抑制力が顕著に低下したと見做し、いわゆる『社会平均人』を基準に、業務と投身の因果関係の有無を判断すべきではない」とした。

パク某さんを代理したユ・スンヒ弁護士は「自害行為と業務上ストレスの因果関係を判断する基準を、社会平均人ではなく、満18才の現場実習生としてのパク某さんがストレスを受け得る環境だったという点を認めたということに意味がある判決」と話した。

全国特性化高校労組は声明で、「(特性化高校の現場実習生の死を扱った)映画『ダウム・ソヒ』がイシューになった後の2023年に、職業教育訓練促進法に『職場内いじめ禁止』『強制労働禁止』等の内容が追加された」が、「依然として現場実習生は『学習勤労者』という身分で、勤労基準法を完全に適用されないまま働いている」とした。

2025年1月19日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/article/202501190700001