「被害者の苦痛を考えてみろ」・・・労災処理の長期化を指摘/韓国の労災・安全衛生2024年10月22日

22日、国会で行われた環境労働委員会の国政監査で、パク・ジョンギル勤労福祉公団理事長が議員の質疑に答えている。/聯合ニュース

22日の国会・環境労働委員会の雇用労働部傘下機関に対する国政監査では、労働当局が労災補償と予防に余りに消極的ではないのかという指摘が提起された。5月に起きたサムソン電子の放射能被爆事故を巡るサムソンと勤労福祉公団の対応についても、叱責が溢れた。

共に民主党のキム・テソン議員は「最近五年間、労災認定を巡る訴訟件数は増加し、調査速度はますます遅くなっている。」「公団は敗訴した4件に1件は控訴する。こういう訴訟をしながら、治療費と苦痛に耐えなければならない被害労働者と家族を考えてみなさい」と話した。

国民の力のキム・ヒョンドン議員は「裁判所によってそれなりに判例が定着しているにも拘わらず、勤労福祉公団は粘り強く(控訴に)固執し、裁判所に行けばまた敗訴し、こういうことが繰り返されている」とし、「裁判所が判断を下して拡げてきた基準については受け容れる必要がある」と話した。

勤労福祉公団のパク・ジョンギル理事長は「適当に受け容れる理由がある部分は受け容れるが、先例がなかったり、波及効果が大きい部分は最終審を受ける他ない」としつつも、「続いて敗訴する部分は私たちも受け容れており、もう少し発展させる」と話した。

労災処理期間を短縮すべきだという提案が多数出てきた。民主党のイ・ヨンウ議員は、「業務上疾病の大部分を特別診察に送るが、労災処理期間の長期化の最も主な原因の一つ」とし、「50人未満の製造業の筋骨格系疾患は、無条件に特別診察に送ることを是正すべきだ」と話した。

国民の力のイム・イジャ議員は「労働者と遺族だけでなく、医療人の労災申告を職権で保障し、最高裁の労災判断基準を明文化して、社会的な因果関係で労災を認めるように大転換すべきだ」とし、「疫学調査の種類・方法・期限・手続きを法律で明示し、疫学調査期間を超過する場合、国が先に補償すべきだ」と話した。

22日、国会で行われた環境労働委員会の国政監査で、パク・ジョンギル勤労福祉公団理事長が議員の質疑に答えている。/聯合ニュース

進歩党のチョン・ヘギョン議員は、政府の『労災カルテル』の烙印が悪影響を及ぼしたと話した。「労災にあった人たちにより多くの恩恵を与えなければならない労働部と勤労福祉公団が、労働者全体を犯罪集団扱いしていると見られる」と話した。「大統領が『労災カルテル』発言をした後、労災の承認率が大きく下がった。」「現場で労災を承認する時、政権の顔色を伺っているのではないか」と話した。

危険性評価を基礎とした政府の「自己規律予防体系」がうまく作動していないという指摘も続いた。民主党のパク・ホンベ議員は「重大災害死亡は7.9%減少したが、永久障害を招きかねない重傷害は15%増加した。」「政府は自己規律予防体系は良く作動していると言っているが、よく作動しているとは言えない」と話した。アン・ホヨン議員は「23人の死亡者が発生したアリセルの危険性評価の操作をふるいにかけることができなかった」として「不良で形式的な点検の危険性が明らかになった」と話した。

サムソン電子のユン・テヤン副社長が22日、国会で行われた環境労働委員会の国政監査に出席し、議員の質疑に答えている。/聯合ニュース

証人として出席したサムソン電子のユン・テヤン副社長(最高安全責任者)には、放射能被爆事故への対応に関する批判が殺到した。民主党のイ・ハクヨン議員は、「サムソンは大手法律事務所四ヵ所の諮問を受け、被爆は『負傷』ではなく『疾病』だという意見書を労働部に提出した。」「(該当事故が『負傷』に分類されれば)重大災害処罰法に違反しているのではないかという懸念のためと推測されるが、その通りだ」と話した。イ・ヨンウ議員は「重大災害法上、経営責任者に含まれているイ・ジェヨン会長を救う一環として対応しているように見える」と話した。

ユン・テヤン副社長は「本当に、最初から法律事務所に諮問を任せたわけではない」として「疾病労災を巡る法律的な解釈が必要だと考え、関連したことを問い合わせた」と話した。

2024年10月22日 京郷新聞 チョ・ヘラム記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202410221735001