「平沢港のイ・ソンホ」を奪った港湾~10年間、240人ずつ労災に遭った/韓国の労災・安全衛生2024年09月10日

2021年5月19日、故イ・ソンホ(死亡当時23歳)さんの遺影写真が平沢駅前の市民焼香所のテントに置かれている。/チョ・ヘラム記者

この10年間、港湾で毎年240人余の死傷者が次々に発生していることが判った。港湾の特性上、大きな負傷や死亡に繋がりやすいが、安全は足踏み状態だ。2021年4月、平沢港のイ・ソンホ(死亡当時23才)さんの労災事故以後に港湾安全特別法が制定・施行されたにも拘わらず事故は減っていない。

10日に国会・農林畜産食品海洋水産委員会のイ・ビョンジン「共に民主党」議員室が雇用労働部から受け取った『最近10年の港湾内の陸上荷役業・港湾運送附帯事業での事故災害状況』によれば、2015年から今年6月までに全国の港湾で、被災者2315人と死亡者39人が発生した。災害の類型別に見れば「落下」が492人、「転倒」が444人、「ぶつかり」が440人、「挟まり」が328人などで、典型的な野外肉体労働労災の類型が多い。

被災者数を年度別に見ると、10年間、毎年240人前後を維持し、事故は傾向的に減っていない。2015年に256人、2016年に230人、2017年に213人、2018年に239人、2019年に241人、2020年に235人、2021年に268人、2022年に262人、2023年には271人などである。今年は6月までに139人が事故災害に遭った。

死亡者数を年度別に見れば、2015年に6人、2016年に6人、2017年に3人、2018年に8人、2019年に3人、2020年に3人、2021年に4人、2022年に1人、2023年に4人だ。今年の6月までに1人が事故で命を失った。

2021年9月17日、平沢港にはコンテナが一杯になっている。/ハン・スビン記者

港湾の安全管理は原則的に海洋水産部が管轄する。2022年8月からは、自律的安全管理体系の構築、安全指導・管理人材の拡充などを内容とする「港湾安全特別法」が施行された。しかし、海洋水産部は事故の状況さえ具体的に把握していない。海洋水産部は、港湾労災の現況を尋ねるイ・ビョンジン議員室の質問に「港湾勤労者の労災統計は労働部から提供される統計で、港湾別には集計されていない」と答えた。事業主は労災発生の事実を労働部に報告しなければならないが、海洋水産部に対する報告義務はない。個別港湾公社も、物流協会などの統計資料を利用して状況をやっと把握しているのが実情だ。

政府が港湾労災をきちんと把握・管理しながら、労働環境を改善すべきだという指摘がされている。港湾は重装備と貨物が多く、大きな事故が発生する可能性が大きく、安全をきちんと保証されていない非正規職が多くの仕事をしている。平沢港で労災事故で亡くなったイ・ソンホさんも非正規職として働いていた。

イ・ビョンジン議員は「港湾安全特別法が21代国会で準備されたが、政府の責任と義務に対する具体的な条項が不備で、補完が必要だ。」「安全に対しては、過度な程の対策を準備するのが当然だ。今後、港湾で、人命・財産被害が発生しないように、法・制度改善を推進する」と話した。

2024年9月10日 京郷新聞 チョ・ヘラム記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202409101131001