「良い手本」・・・建設労組が「サムソンを称賛」した理由?/韓国の労災・安全衛生2024年04月17日
サムソン物産の建設現場で、労働者たちが作業中止権を積極的に行使していることが明らかになり、民主労総・建設労組が歓迎の意を表明した。民主労総傘下の労組がサムソンを褒めたのは異例なことだ。政府と業界も建設現場の安全管理に一層積極的に取り組むべきだと指摘されている。
建設労組は17日に声明を出し、「建設現場で元請け施工会社が作業中止権を保障することは、建設労働者にとって一大革新であり、建設企業の立場からも肯定的」で、「労組の組合員も、サムソンの現場の作業中止権を高く評価している」と話した。作業中止権とは、労災事故などの急迫した危険がある時、労働者が作業を中止できる法的な権利だ。
サムソン物産は15日に報道資料で、「2021年3月に作業中止権を全面保障した以後、国内外の113の現場で計30万1355件の作業中止権が行使された」と明らかにした。一日平均270件の割合だ。サムソン物産は「作業中止権の保障以後、休業災害率(労働者が一日以上休業する災害発生比率)が、毎年15%近く着実に減少している。」「作業中止権がより一層活性化するように、制度改善と教育などを続ける」と話した。
実際、サムソン物産は10大建設会社の中で事故死亡者が最も少ない。国会・環境労働委員会のイ・スジン共に民主党議員室(比例)が勤労福祉公団から受け取った「最近5年10大建設会社(2022年施工能力順位基準)の労災状況」によれば、2018年から2022年までの10大建設会社の事故死亡者は、現代建設(23人)が最も多く、続いて大宇建設(20人)、ポスコ建設(17人)、GS建設(14人)、ロッテ建設(13人)、HDC現代産業開発(12人)、現代エンジニアリング・SKエコプラント(9人)、DLE&C(8人)、サムソン物産(6人)の順だった。
建設労組は「元請けから直接請負った下請け建設会社でさえ作業中止をし難いのに、深刻な雇用不安によって、一日稼いで一日食べる日雇い建設労働者が作業中止権を要求することは難しい。」「こうした中で、元請け建設会社が作業中止を保障し、費用を負担する安全文化を先導することは、非常に意味のある進展」と話した。
建設労組は、政府も労組弾圧を止め、作業中止権が積極的に行使されるように支援すべきだ、と主張した。建設労組は「(政府の労組弾圧で)建設現場から安全を牽引・牽制する勢力が消え、こうした組織文化が重大災害と不良工事に繋がっている」とし、「こうした中で、サムソンの作業中止権の保障は手本になる。尹錫悦政権はサムソンが孤独な闘いをしないで済むようにして欲しい」と話した。
2024年4月17日 京郷新聞 チョ・ヘラム記者
https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202404171724001