何時遺族になるかも知れない不安定な社会/韓国の労災・安全衛生2024年04月14日
セウォル号10周忌を三日後にした13日、ソウル市庁前広場と一帯の道路で「4・16記憶文化祭inソウル」が開催された。真実・責任・生命・安全がキーワードだ。文化祭は10年という歳月にも拘わらず真実が明らかにならず、国家の責任が認められず、「生命安全社会」は未だ来ていないとして、国に要求する場だった。セウォル号の被害者だけでなく、10・29梨泰院惨事と五松地下車道など、災難・惨事を経験した当事者も参加し、同じ声を挙げた。
「大人として、親として、安全な社会を作らなければならない」
国会で眠る「生命安全基本法」の必要性を強調
セウォル号惨事の遺族は「私たちみんなが安全な社会を作らなければならない」と力を込めて話した。4・16セウォル号惨事家族協議会のキム・ジョンギ運営委員長は、「ここにいる国民が、明日は犠牲者、遺族になるかも知れない不安全な社会に私たちは生きている。」「私と私の家族がささやかな日常を楽しみ、私の子供たちが未来に、自分の責任と能力を心ゆくまで育てる安全な社会を、少なくとも大人として、両親として、作らなければならない」と話した。
梨泰院惨事の遺族は安全な社会を作る方法として、関連法の成立を要求した。イ・ジョンミン10・29梨泰院惨事遺族協議会運営委員長が舞台に上がった。「梨泰院惨事と五松惨事、10年前のセウォル号惨事の時にも、政府は存在しなかった。」「22代国会は、梨泰院惨事特別法制定、生命安全基本法制定を、最優先で検討して履行する姿を見せて、国会の退行を贖罪すべきである」と訴えた。
生命安全基本法は、安全に関するすべての人の権利を保障する法律だ。2020年11月、共に民主党のウ・ウォンシク議員が発議した。ウ・ウォンシク議員は国会生命安全フォーラムの代表だ。生命安全市民ネットワークと一緒に議論し、法案を作って発議した。社会的惨事に対する国・地方自治体の責任を明文化し、安全事故に対する独立的な調査機構の設置、安全影響評価制度を規定するのが核心だ。危険に対する知る権利の保障、被害者の人権と権利保障、市民参加、追悼と共同体の回復、被害者の侮辱禁止などの内容も含む。 ただ、未だに国会でまともに審議されたことがない。
作業中止権を強調した民主労総
「社会のあちこちの危険が私たちを脅かす」
民主労総も共にした。生命安全基本法の制定と作業中止権の保障が必要だと強調した。作業中止権は、労働災害が発生する緊急な危険がある場合、作業を中止して対応することができる労働者の権利だ。事業主は、急迫した危険があると労働者が信じるに足る合理的理由がある時、作業中止権を行使した労働者に不利な処遇をすることはできない。産業安全保健法に明示されているが、『急迫した危険』『合理的理由』が曖昧に解釈され、会社は工程を止めたという理由で、作業を止めた労働者に損害賠償を請求している。
この日、民主労総のヤン・ギョンス委員長は、「私たちの社会を少しでも安全にするという私たちの誓いを守ろうとして行動してきたが、依然として私たちの社会のあちこちで危険が私たちを脅かしている。」「労働現場で、路上で、安全で安らかに暮らせる世の中を作るための私たちの行動は決して止めない」と話した。
追慕文化祭はその後、声楽家のホン・イル、テルア・ユスクワイア合唱団、ルシードポール、ソウル市民大合唱「歳月の響き」の公演が続いた。司会はビョン・ヨンジュ映画監督が務めた。
セウォル号惨事10周忌の16日には、安山市の檀園区庁一帯に追悼警報のサイレンが鳴る予定だ。安山の花郎遊園地では「セウォル号惨事10周忌記憶式」が行われる。4160人の市民が追悼曲などを合唱する。惨事10周忌を迎えた今年、遺族が自ら製作したドキュメンタリー映画「風の歳月」も公開される予定だ。
2024年4月14日 労働と世界 イム・セウン記者
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