医師と政府の対立の中、真の解決策は『公共医療の強化』
医学部定員の拡大を巡る医師集団と尹錫悦政府の葛藤が続く中で、医療事態の根本原因は尹錫悦政府の一貫した企業親和的な「市場医療」中心政策という批判と共に、きちんとした公共医療の拡充・強化だけが、必須医療と地域医療の崩壊を防げるという労働市民社会からの要求が出た。
医・政対立の中で失踪した『公共医療』を探す集会が開催された。『良い公共病院作り運動本部』と民主労総、参与連帯などの労働市民社会団体が一緒に、尹錫悦政府と医師たちの対立の中に消えた市民の健康権を話し、「市場医療」を批判し、医療の公共性を強化せよという要求を掲げた。
専攻医のストライキの長期化と、医大の教授たちの辞職届への参加などのマスコミ報道で、市民の不安はますます大きくなっているとし、この事態に責任のある尹錫悦政府は、事態の責任者としての役割どころか、総選挙用の尹錫悦印の「医療改革」を前面に出して、選挙戦だけに熱を上げていると批判した。
更に、ストライキによって減少した大型病院の収益補填のために、毎月1882億ウォンを健康保険から支援するという政府の政策に、憤りを感じていると訴えた。
民主労総のハン・ソンギュ副委員長(無償医療運動本部共同執行委員長)は開会発言で「尹錫悦政府の医療増員計画の中には、どのように公共的に医師を養成し、どのように地域と必須医療に配置するのかという方案はどこにもない」と話した。
続いて「医師を公共的に養成し、地域と必須医療に配置できる法と制度が用意されなければならない。これが代案であり解決策だが、尹錫悦政府は健康保険の保障性を後退させ、地方医療院の民間委託、営利病院の推進で全面的な医療の産業化、民営化を画策して公共医療を潰している」と批判した。
更に、「このような政権の反国民的な医療政策に対応する医師団体の行動はどうか。代案のない医師増員反対だけを主張し、一刻を争う救急室、集中治療室まで放り出して医療現場を離れた。このような行動は誰にも支持されない」と非難した。
人道主義実践医師協議会のウ・ソクギュン政策諮問委員長、公共運輸労組健康保険公団労働組合のキム・チョルジュン委員長、ノドゥル障害者夜学のキム・ミョンハク校長、医療連帯本部ソウル大学病院分会のキム・ヘジョン分会長、保健医療労組国立中央医療院支部のミン・ジ支部長などが、現在の医療を巡る状況に対する糾弾の発言を続けた。
済州、蔚山、大邱、大田、富川、城南など、全国各地で医療の公共性と公共医療強化のために闘う労働市民団体の、地域に広がっている『公共医療市民行進』からの連帯発言が続いた。
集会後、労働市民社会団体は市民たちと一緒に光化門の政府ソウル庁舎前まで、表面では「医療改革」を、実際には「医療営利化」を推進する政府を糾弾する、公共医療市民行進を行った。
参加者たちは共同決議文で「一年に医師を2000人増やすだけでは、市民が不便を強いられている『必須医療』と地域医療の問題を解決することはできない。過熱競争体系に任せられた現在の医療供給体系をそのままにして、医師の数を増やすだけでは「必須医療」と地域医療の危機は解決されない」と指摘した後、「現在の医療危機は、韓国の慢性的な『市場中心医療体系』が病んでいることを明らかにした。健康保険の政府の責任を軽視し、医療費用を個人責任化し、過熱した競争によって医師の供給を解決しようとした市場医療システムこそが、現在の危機の核心の原因」と指摘した。
医師や専攻医たちの医療拒否の集団行動も問題視した。集会参加者たちは「医師たちは医師の数が増えれば競争が激しくなり、それに伴って収入が減少し、職業の社会的な価値が下がるのではないかと心配してストライキをすると、個別的に明らかにしている。しかし、重症患者の手術が延期される状況の中でなぜストライキをしているのか、市民を納得させるだけの最小限の要求案もなく、必死になって医大の増員に反対する今回の専攻医のストライキは問題外だ」と批判した。
更に、「危機に乗じて医療の市場化と営利化を進める尹錫悦大統領の『医療改革』は嘘だ。医師と政府のチキンゲームの中で重要な問題が埋没し、企業にとってやさしい医療改革をしようとする政府と、自分の既得権を守ろうとする医師社会の声だけがこだましているということは大きな問題」とした後、「十分な公共病院の設立と、医療の公共性の強化、医師を含む医療人材需給の公共化によって、医療が地域社会に提供される方式を根本的に変えることを要求する」と話した。
集会参加者たちは3月21日に済州で、その後は大邱、蔚山などでも、共医療を要求する労働者・市民の声を挙げ続ける予定だと明らかにした。
2024年3月16日 労働と世界 チョ・ヨンジュ記者
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