また「カルテル」取り締まり・・・0.3%で労災保険の敷居を高く 2024年02月20日 韓国の労災・安全衛生

雇用労働部のイ・ジョンシク長官が20日、労災保険制度の特定監査結果を発表している。/聯合ニュース

政府が労災補償保険の不正受給特定監査の結果、二年間に486件の不正受給を摘発したと明らかにし、労災保険制度を手入れする意向を明らかにした。労働界は一年間の労災認定件数の0.3%に過ぎない不正を根拠に、制度自体の敷居を高めようとしていると反撥した。

雇用労働部は20日、2022~2023年の労災保険の不正受給が疑われるとして調査した883件の内、486件(55%)で実際の不正受給を摘発したと明らかにした。摘発額は113億2500万ウォンだ。

今回の特定監査は、政府・与党が主張してきたいわゆる『労災カルテル』『ナイロン患者』の実態を調査するために行われた。昨年11月、大統領室の関係者が「前政権の故意的な放棄で(労災保険の)ナイロン患者が急増した」と話した後に、労働部が監査を行い、その結果が発表された。

労働部は『労災カルテル』の代表的な事例として、労務法人と法律事務所、特定の病院との結託を挙げた。病院が診断書などで簡単に労災認定を受けられるようにし、この病院を紹介した労務法人が被災者から高額の手数料を受け取るやり方だ。特に『騒音性難聴』を過度な労災補償が発生する代表的な疾病に挙げた。労働部はこうした監査結果を土台に、先月スタートした『労災補償制度改善タスクフォース』で、労災認定の過程と不必要な長期療養の問題などを正す意向を同時に明らかにした。

労働界は、労災認定が依然として難しいのが現実で、政府が一部の不正受給を根拠に、制度の敷居を高めようとしていると反発した。労働部が摘発した不正受給486件が、昨年一年間の労災認定件数(14万4965件)の0.3%の水準に止まる上に、それさえも殆どが、働きながら休業手当を受け取った程度で、深刻な『カルテル』と見るには無理があるからだ。労働部の関係者はハンギョレに、「病気、負傷などで仕事ができない期間だけ受け取れる休業手当を、仕事をしながらも受け取った不正受給が摘発した事例の中で多数」と説明した。

韓国労総は声明文で、「労働部は根拠のない労災カルテルの発掘に人材と予算を浪費するな。」「労災処理の遅延でまともな治療さえ受けられず、病魔に苦しめられる労働者、労災の判定結果を待っていて亡くなる労働者を保護するための、実質的な制度改善と支援方案に力量を注ぐべきだ」とした。

2024年2月21日 ハンギョレ新聞 キム。ヘジョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1129148.html