火災鎮圧678件の消防士に『骨肉腫』、裁判所が「公務上災害」 2024年02月14日 韓国の労災・安全衛生

資料写真/イメージトゥデイ

約30年間、有害化学物質にばく露して『骨肉腫』に罹った消防士に、裁判所が公務上の災害を認めた。骨肉腫は骨に発生する悪性腫瘍で、10万人に1人の割合で発病する希少がんだが、発病原因は正確にはなっていない。

「綿マスク」をつけて火災鎮圧、超過勤務を連続

<毎日労働ニュース>の取材によれば、ソウル行政裁判所は蔚山市の消防官のA(61)さんが、人事革新処が出した公務上療養不承認処分の取り消しを求めた訴訟で、原告勝訴判決を行った。人事処は一審の判決を不服として、先月末に控訴した。

Aさんは1990年10月、蔚山の消防署に任用された後、19年が経った2019年7月、骨肉腫に罹って公務上の療養を申請した。しかし、人事処は「消防業務と骨肉腫の発病に関する疫学的・医学的根拠がない」として、不承認処分を行った。Aさんは「有害化学物質への持続的なばく露と交代勤務、超過勤務による疲労とストレスが原因」とし、2021年3月に訴訟を起こした。

Aさんは約30年間、火災鎮圧・救助など、現場隊員として活動した。二組一交代や三組二交代で勤務し、2010年以降は現場の指揮官を務めた。火災鎮圧事件だけで678件に達し、この内、化学工場やタイヤ物流倉庫など、化学物質が発生する火災現場も563件だった。更に1500人以上の人命を救助した。

しかし、保護措置は不十分だったことが判った。Aさんが主に勤務していた晋州消防署は予算が足りず、2004年以前までは、空気呼吸器が普及されていなかったため、綿マスクだけで火災を鎮圧しなければならなかった。時間外勤務も多かった。骨肉腫が発病した年の2019年1~6月まで、月76~101時間の超過勤務をした。

裁判所は、消防業務が骨肉腫の原因になったとしてAさんの手を挙げた。「原告は現場隊員として活動しながら、保護装備が不備な環境の中で長期間持続して有害物質にばく露した。」「傷病発病前の六ヶ月間でも相当な超過勤務をするなど、交代勤務と超過勤務による過労やストレスが累積したと見られる」と判示した。

裁判所「火災現場での発がん物質ばく露の危険、医学研究は不十分」

化学物質以外に骨肉腫を起こす特別な要因もないと見た。判決では「原告が採用された当時、骨肉腫に罹る遺伝的な素因や家族歴が確認されず、以後も禁煙と節酒をするなど、特別な個人的な危険要因も見られない。」「推定される危険要因は、高容量の放射線療法や化学物質ばく露の過去歴、抗がん剤投与の履歴などがあるだけで、原告の場合は化学物質ヘのばく露履歴が問題になる」とした。

裁判所の鑑定医は「火災の鎮圧中に発がん性の有害物質にばく露し、交代勤務による過労や、ストレスが高い業務の特性上、消防公務員のがん有病率は高い」という所見を出した。裁判所も、火災現場で1級発がん物質であるベンゼン、ホルムアルデヒドなどにばく露した可能性が高いと判断した。判決では「消防公務員に発病し得る癌として、骨肉腫は確認されていない」としながら、「これは骨肉腫ががん腫全体の0.2%に過ぎず、業務関連性に関して信頼できる研究が行われていないことに起因するだけで、業務関連性が医学的に明確に明らかになっていないという事情だけで、傷病と業務の間の相当因果関係が直ちに否認されるわけではない」と強調した。

Aさんを代理したキム・ヨンジュン、キム・ウィジョン弁護士は「骨肉腫という希少がん腫に関して、約30年間の消防業務との因果性が認められたということに意義がある」と話した。

2024年2月14日

毎日労働ニュース ホン・ジュンピョ記者

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