韓国では廃止された『貨物車安全運賃制』を復活させた豪州 2024年02月14日 韓国の労災・安全衛生

オーストラリア労働組合評議会が法案通過後、エックスに掲載したイメージ

オーストラリアで貨物車安全運賃制を復活させる法案が上・下院を通過した。貨物労働者だけでなく、食品配達ライダーなどプラットフォーム従事者も『最低賃金』を保障される根拠も準備された。貨物労働者の最低賃金制である「安全運賃制」を廃止した韓国政府とは異なり、『労働弱者』である貨物労働者の保護制度を導入したのだ。

オーストラリアのアンソニー・アルバニー首相は12日(現地時間)、エックスに「穴をふさぐ法案(Closing the Loopholes bill)が議会を通過した」と書いた。

法案の核心の一つは、2016年に保守党政府が廃止した連邦レベルの安全運賃制を復活させることだ。安全運賃制は、貨物労働者に最小限の労働条件を保障し、過労・過積載・過速度を防ごうという趣旨で作られた制度だ。オーストラリア政府は「この改正案は、公正労働委員会に、道路運送産業に関する最低基準を決めることができる権限を付与する」と説明した。労使政のうち一ヶ所でも申請すれば、公正労働委員会は、運賃、労働時間などに関する最低基準を設定することができる。

オーストラリアでは、安全運賃制の廃止以後、スピード違反、長時間労働などの問題が続いた。これに対し、「安全運賃制」を再立法すべきだという社会的な世論が大きくなった。国際運輸労連(ITF)は「今回の改革は、搾取的な競争を防ぎ、貨物労働者に公正な運賃・労働条件を保障し、オーストラリアの道路をより安全にするのに大いに役立つ」と評価した。

韓国では三年期限で導入された安全運賃制が、2022年12月31日を最後に消滅した。当初、安全運賃制の「日没延長」を提案した政府は、「貨物連帯」のストライキの後に態度を変え、この提案をなかったことした。

「貨物連帯」が昨年6月26日から7月10日まで、コンテナ貨物の運転手297人を調査した結果、安全運賃制の日没前の2022年には378万646ウォンだった月収が、日没後の昨年は241万5149ウォンに、136万5497ウォン(36.12%)も減少した。運賃が削減されて費用が上がったため、貨物運転手らは過労に追い込まれた。2022年に一ヶ月に264.5時間だった貨物運転手の労働時間は、昨年は44.7時間増えた309.2時間になった。国会には「安全運賃制」を永久に導入する「貨物自動車運輸事業法」の改正案が発議されているが、議論に弾みがついていない。

オーストラリアのアンソニー・アルバニー首相が、「穴をふさぐ法案」がプラットフォーム労働者のためのより良い保障を提供するとして、自身のエックスに掲載したイメージ

法案のもう一つの核心は、公正労働委員会がウーバー運転手、食品配達ライダーなど、デジタルプラットフォームから仕事を受けて働く人の運賃、アカウント停止など、労働条件の最低基準を命令できるということだ。トニー・バーク労働部長官は、昨年8月「最近数年間、オーストラリアの道路で少なくとも13人のギグ(臨時職)労働者が亡くなった。容認できないことだ」と話した。

合わせて法案には、いわゆる労働者の『連結されない権利』も含まれた。退勤後は使用者からの連絡を拒否する権利をいい、韓国でも類似の趣旨の勤労基準法改正案が発議されたが、国会の敷居を越えることができなかった。

国際運輸労連のスティーブン・コットン事務総長は、「労働者なのか、個人事業者なのか、プラットフォーム経済で働くのかに関係なく、オーストラリアの道路で働くすべての労働者に適用される安全で公正な運賃、労働時間、『労組する権利』などに関する基準が設定される」とし、「オーストラリアの事例は、他の国でもこのような改革が可能だということを示している」と話した。

2024年2月14日 京郷新聞 キム・ジファン記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202402140710001