高まる夜間作業の有病割合、対策のない政府 2024年01月31日 韓国の労災・安全衛生
特殊健康診断対象の夜間作業労働者が増え続けている中で、有病率もまた増加しており、対策作りが求められる。
<毎日労働ニュース>が、雇用労働部が実施して最近公開した「2022年勤労者健康診断実施結果報告書」を分析した結果、2022年の夜間作業労働者の有病率は19.7%で、2018年に較べて5%ほど高まった。有病率は、夜間作業労働者の中で疾病の所見を示し、事後管理を必要とする労働者の比率をいう。これは製造業と保健社会福祉サービス業といった産業で高齢の労働者の比率が高まり、特殊・臨時健康診断に付随する事後措置、管理が正しく行われていないために起こった問題だと理解される。
夜間作業の疾病有所見者が42%も急増、なぜ?
労働者の建康診断の実施結果
2022年に健康診断を受けた夜間作業労働者の内、有所見者は23万3022人で、2018年の16万3957人から42%も増えたことが確認された。
同期間に疾病に進展するおそれがあり、追跡観察が必要な「要観察者」は44万5653人で、同期間に24%も増加した。一方、夜間作業労働者の数は108万5856人から118万3883人に、9%(約10万人)程増えた。夜間作業労働者の中での有所見者の比率も、2018年の15%から2022年の19.7%に、4.7%上昇した。健康診断の対象となった夜間作業労働者が増えたこととは別に、要観察者、有所見者の増加率が急激に上昇したのだ。
コロナウイルス感染症によって健康診断がキチンと行われなかった2020年を除いた過去5年間(2018年~2022年)で、このような傾向が共通して確認される。
夜間作業健康診断実施労働者の増加傾向を主導したのは、保健社会福祉サービス業だ。この業種で2022年に夜間作業による健康診断を受けた労働者は25万2598人で、2018年より20%増加した。運輸業も19.5%増加した12万2480人を記録した。伝統的に夜間作業労働が多い業種は製造業だが、2022年に健康診断を受けた製造業の夜間作業労働者は、2018年に較べて246人減少した49万6485人を記録した。
注目すべき部分は、健康診断の対象が大きく増えていない製造業で、夜間作業の有所見者が最も大幅に増加したことだ。2018年には5万5158人だった製造業の夜間作業の有所見者が、4年後には7万8393人と42%(2万3235人)も増加した。夜間作業の健康診断対象が大幅に増えた保健社会福祉業の有所見者も、4年前より70%(1万6399人)も増えた3万9721人を記録した。
これは、年齢の要因が大きく作用したものと分析される。2022年の夜間作業の有所見者の中で、50代以上は13万1000人で、2018年の9万2206人よりも大幅に増えた。若い内国人が参入していない製造業、事業施設の管理と支援サービス業の状況などが反映されたものだ。
漢陽大学校九里病院職業環境医学科のチャン・テウォン教授は、「夜間作業特殊健康診断は、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの慢性疾病がある場合、要観察者または有所見者と判定するので、年齢が増加する程、要観察者と有所見者は当然に増加する。」「60代以上の高齢労働者は、夜間作業による健康障害の危険が高いので、これらに対する管理が必要だが、年が経つほど夜間交代勤務に従事する労働者の年齢が高まれば、当然高齢層の健康管理もより一層強化されなければならない」と付け加えた。
専門家「夜間作業の労働時間規制が必要」
夜間作業に対する健康診断の以後も、適切な事後措置が行われていないという批判も出ている。ハン・インイム政策研究所のイ・ウム理事長は、「労働者の健康が悪化しているが、法的な義務を持つ事業場の中でも管理ができず、労働部も管理できていない」と批判した。例えば、夜間作業による睡眠障害がある場合、脳心疾患などに発展する可能性がある。現行法では、事業場内の保健管理者が労働者の健康状態を土台にして、業務を再配置したり睡眠管理をしなければならないが、このようなことがキチンと行われていないということだ。
チャン・テウォン教授は、「外国の色々な国、特にヨーロッパでは、夜間作業をする場合の最大労働時間を法で制限している。」「しかし韓国は、妊産婦と未成年者を除く労働者の夜間作業の労働時間規制に関する法の規定が全くない」と批判した。「他の国ではあり得ない高齢(警備)労働者の24時間勤務が可能」だが、「高齢層の夜間作業は健康障害の危険が一層高いので、韓国も夜間作業をする場合の労働時間を制限する規定が必要だ」と付け加えた。
行政は逆だ。夜間作業がもっと簡単にできるようにする労働時間柔軟化政策を進めている。政府は延長勤労の管理単位を月・四半期・半期・年単位で管理する改編案を推進しようとしている。最近では、週40時間を除いた残りの時間を延長勤労と看做すべきだという裁判所の判決によって、行政解釈を変更した。これによって、労働者は一日最長21.5時間も働けるようになった。
労働部の関係者は「夜間作業に関しては、対象の事業場が2016年以後に50人未満にまで拡大された。」「特殊健康診断の対象者が増え続けていて、それに伴って有所見者や要観察者も増えるのは当然の傾向で、健康保険での一般検診でも似たような傾向が見える」と話した。この関係者は「監督や指導する時や、様々な事業を設計する時、特殊健康診断の健康データを土台に事業を設計する」が、「極めて多種多様で、正確に話すことは難しい」と付け加えた。
2024年1月31日 カン・イェスル記者
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