アスベスト禁止の闘いをブラジリアへ/International Ban Asbestos Secretariat, 2023.12.5

ブラジル人は我慢することを学んできた。サンパウロで雨の午後に渋滞に巻き込まれたり、リオデジャネイロの裁判所で人身傷害訴訟を起こしたりしたことがあるだろうか。パウリスタとカリオカは、この活気に満ちた過密都市に住む代償の一部として、予測不可能なことを許容することを学んできた。とはいえ、彼らの忍耐力さえも尽きる時が来る。

何十年もの間、アスベスト被害者、労働監督官、労働組合員、活動家などが、アスベストの採掘、加工、使用によって引き起こされる惨劇をブラジルから取り除くためのキャンペーンを展開してきた。ついに2017年、最高裁判所(STF)は、アスベスト産業を違法とする歴史的判決を下した。それでもなお、アスベストの採掘は続けられている。

先月(2023年11月)、STFは、この矛盾を許したゴイアス州法の違憲性について判決を下す予定だった。待ちに待った判決は届かなかった。説明も日程変更もないまま、この事件の処分は宙に浮いたままだ。この事態を受けて、ブラジル・アスベスト曝露者者協会(ABREA)のEliezer João de Souza会長は次のように述べた。

「STFの判事たちの問題は単純だった。ブラジル国民の生命を守るためにアスベスト産業を停止させるべきだという点で、以前から合意していたのだから、彼らが解決しなければならなかったのは、禁止を即座に発効させるか、1年後に発効させるかということだけだった。今回の延期は、決定しないという決定であり、非良心的な行為である。STFは、ボルソナロ前大統領を支持する暴徒を前にしても毅然とした態度を貫いた尊敬すべき機関である。アスベスト・ロビーと対峙したとき、裁判所の勇敢さがなぜ失敗したのか不思議でならない」

ABREAの弁護士Leonardo Amaranteは、「裁判所の予定表が直前になって何の説明もなく変更されるのは異例中の異例である」と語った。

2023年11月27日午前11時、ブラジル全土から集まった数十人のABREA会員と支援者が、ブラジリアに残る唯一のクリソタイル(白)アスベスト鉱山の生産終了日をSTFが設定しなかったことに不満を示すため、ブラジリアの三権広場に集まった[次頁写真]。この施設は、エタニットの子会社Sama Mineraçao S/A(SAMA)が所有している。

その日の午後、ABREAの関係者は、環境・持続可能な開発委員会の委員であり、2017年と2023年のSTF裁定に反してアスベストの商業的利用を可能にする「いまだ存在する抜け穴」を塞ごうとする法案3684/23の提出者であるニルト・タット連邦副議長から、下院での公聴会「健康と環境に対するアスベストのリスク」に歓迎された。タット副議長の下、労働省、厚生省、労働省/Fundacentroの代表者、ABREAの運動家などが環境・持続可能な開発委員会に証拠を提出した。

[中略]

2023年11月28日、ブラジリアの労働検察庁は反アスベストリーダーシップ会議2023を開催し、多数のABREAメンバーと招待客をもてなした。労働検察庁のアスベスト禁止国家プログラムの元マネージャーであるMarcia Kamei Lopez Aliaga博士、サンパウロ心臓研究所ゼルビーニ財団のJefferson Benedito Pires de Freitas博士とVera Salerno博士、弁護士のGustavo Teixeira Ramos氏、ABREAのEliezer João de Souza会長と顧問のFernanda Giannasi技師といった技術専門家だけでなく、地域の運動家からも最新情報が提供された。

[中略]

ブラジルは、市民の自由を保障する憲法を持つ民主主義国家である。2023年1月のジャイル・ボルソナロ前大統領支持者による反乱の際に見られたように、最高裁判所は、暴徒の支配に直面して民主的制度を守る上できわめて重要な役割を果たした。STFがアスベスト産業の閉鎖に必要な最後の一歩を踏み出せなかったことは、ブラジル国民だけでなく、輸入国の人々にとっても深刻な懸念材料である。STFによる断固とした行動は、生死にかかわる問題である。

http://www.ibasecretariat.org/lka-taking-the-ban-asbestos-fight-to-brasilia-2023.php

安全センター情報2024年1・2月号