看護師一人が入院患者22人の世話・・・国立大学病院が共同ストに 2023年09月14日 韓国の労災・安全衛生

「国際看護師の日」50周年の2021年5月12日、一人の看護師がソウル大学病院で、看護師一人当たりの患者数の法制化など、看護師に対する処遇改善を要求している。/キム・ヘユン記者

ソウル大・慶北大病院など国立大病院労働組合が、『看護師一人当りの患者三人』の制度化など、医療人材の補充を要求する共同ストライキを行う。

公共運輸労組医療連帯本部傘下のソウル大学病院・慶北大学病院分会は、9月に争議行為決議の手続きを始めた。医療連帯本部傘下の江原・忠北大病院分会は団体交渉を行っているが、交渉の結果によっては、国立大病院労組のストライキが増えることになる。医療連帯本部傘下の国立大学病院分会は5ヵ所で、主に看護師、看護助手、放射線技士、理学療法士などで構成されている。

医療連帯本部は病院の介護人材、特に看護師と看護助手の補充を要求する。保護者・介護者なしで看護師などが患者の看護を担当する看護・介護統合サービス病棟の場合、看護師一人当たりに患者三人、一般病棟では患者六人の基準を提示した。過度な業務で看護師の退職者が毎年増えている上に、看護人材の不足は、患者の安全にも直結するからだ。

三年周期で行う保健福祉部の保健医療人材実態調査によると、昨年、病院の看護師たちは一日に平均22.6人の入院患者を担当していることが判った。日本では看護師一人当たり患者三人、オーストラリアは七人だが、韓国の看護師の労働強度は遙かにに高い。このため、看護師の退職者は増加傾向にある。新規の看護師の一年以内の退職率は、2021年は52.8%で、半分を越える。

それにも拘わらず、政府は昨年に続き、今年も国立大学病院の医療人材を凍結した。国立大学病院は2008年から教育部の傘下機関に分類され、人材・予算などで規制を受ける。国立大学病院の医療陣の総額人件費は、企画財政部の賃金ガイドラインに従わなければならないが、今年の引上げ率の上限線は1.7%だ。医療人材の需給状況は容易ではない。

医療スタッフの定員を増員するのにも企画財政部の承認が必要だ。保健福祉部は4月25日に、看護師一人当たりの患者を段階的に五人にする人材補充を提示した「第二次看護人材総合支援対策」を発表したが、未だに実行計画さえ明らかにしていない。

医療連帯本部のユン・テソク・ソウル大学病院分会長は9月5日、大統領室前で行われた公共運輸労組共同ストライキの記者会見で「民間の病院にはない公共病院の人材統制が続けば、公共医療のサービスの質の低下は火を見るより明らかだ。」「公共の領域であるにも拘わらず、民間病院と競争関係にある公共病院という条件から、賃金などの労働条件の顕著な差は、深刻な問題を引き起こすだろう」と話した。

医療連帯本部はこの他にも、保健医療人材の基準作り、看護・介護統合サービスの全面拡大、必須医療分野の医師数の拡大、非対面診療の中止、介護労働者に労災保険の適用などを要求する。

2023年9月14日 ハンギョレ新聞 キム・ヘジョン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1108516.html