建設現場の体感温度、気象庁より6.2度高く 2023年08月11日 韓国の労災・安全衛生
建設労組が今年の建設現場での体感温度を直接測定した結果、気象庁の発表より6.2度も高いことが判った。建設現場の作業は「産業安全保健に関する規則」(安全保健規則)上の『高熱作業』から除外されており、予防措置を執る義務がなく、「作業中止権」も形骸化され、労働者の健康を脅かしている。
労組は10日、正義党のイ・ウンジュ議員と一緒に国会図書館で行った討論会で、先月19日から今月7日まで、全国221の建設現場に温・湿度計を設置して測定した体感温度の調査結果を発表した。体感温度測定時間は午後1~2時頃だ。221ヵ所の平均温度は40.6度、湿度は42.7%で、体感温度は38.6度だった。同期間に気象庁が発表した近隣地域の温度は31.9度、湿度は61.5%で、体感温度は32.4度だった。建設現場の体感温度の方が6.2度も高い。
「35度以上で屋外作業中止? 現場には温度計もない」
建設労組のチョン・ジェヒ労働安全保健室長は、「先月27日午後2時、忠北の韓国土地住宅公社(LH)のマンション建設現場の体感温度は52度だったが、当時、気象庁が発表した近隣地域の体感温度は32度で、22度も差が出た。」「体感温度が35度以上であれば、午後2~5時の屋外作業を中止せよという雇用労働部の勧告があるが、直接温度を測っている建設現場はなく、有名無実だ」と批判した。
その上、政府が「労組叩き」を続け、作業中止権の要請もできなくなっている。労組が今年、建設労働者24人に、猛暑期の屋外作業中止の勧告が守られているかを尋ねたところ、18.3%しか「猛暑で中止されたことがある」と答えなかった。同じ質問に、昨年は1135人の41.5%が「猛暑で作業を中止したことがある」と答えたのとは相反する数値だ。
専門家たちは建設現場の猛暑の問題を、政府が知りながら解決の意志を示していないと批判した。働く環境健康センターのリュ・ヒョンチョル・センター長は「2017年の安全保健公団の『高熱作業環境管理指針』の湿球黒球温度(WBGT)によると、建設現場の猛暑水準が一目瞭然に解る。」「このような数値が現れているにも拘わらず、産業安全保健法の改正を放置し、できる措置さえ執らないのは理解し難い」と批判した。
WBGTは、作業場所の温度を、一日の作業時間の中で最も高熱な1時間を10分間隔で連続して測った値だ。これを基準に、労働部は作業の強度(軽・中等・中)と、作業・休憩時間の比率を決めている。軽作業は30度の時には継続作業をしても良いが、30.6度を超えると、毎時間75%(45分)作業に25%(15分)休憩をするやり方だ。
「指標で明らかになった猛暑水準、当局は放置」
この指数を分析した結果によると、△25.9度(重作業基準で15分休憩)の超過が186回、△27.9度(重作業30分休憩)の超過が104回、△28度(中等作業で15分休憩)の超過が101回、△29.4度(中等作業で30分休息)の47回、△30度(重作業で45分休息)の超過31回、△31.1度(中等作業で45分休息)の超過が10回だった。リュ・ヒョンチョル・センター長は、「指標でも休息を保障すべき猛暑の水準を確認できるが、これを管理せずに当局が放置している。」「産業安全保健法を改正する以前でも、労働部が意志を持っていればできる対処があるのに、それをしていない」と批判した。
労働部は「温熱対策を積極的に推進中」と話しただけで、是正措置には保守的だ。イ・ウンジュ議員の「産業安全保健法第53条による是正措置と作業中止命令を積極的に行使すべきではないか」という質問に、パネルとして参加したキム・ユフン労働部事務官は「53条は、文字通りに建設物や建設機械、設備に関する作業に関するもの」として、留保的に答えた。作業中止権が形骸化したという主張に対しては、「申告電話を積極的に活用することを願う」と話した。
2023年8月11日 毎日労働ニュース イ・ジェ記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=216728