父親の墜落死に続き、息子も墜落死「労災」、労働者父子、20年の悲劇 2023年07月11日 韓国の労災・安全衛生

「故人の父親もやはり20年前に労働現場の墜落事故で死亡しました。今回の事故は変わらない大韓民国の労働現実を示しています」

10日午後、木浦市のある病院の葬儀場。焼香所には死亡後六日間、葬儀を行えずにいるA(43)さんの遺影が置かれていた。弔問客はおらず、寂しい焼香所を遺族と労働団体関係者の数人だけが守っていた。

三湖邑の某造船関連の業者で吹付工(鉄板を臨時に仮溶接をする労働者)として働いていたAさんは3日午前11時10分頃墜落事故に遭った。Aさんは大型造船所に船舶ブロックを製作して納品する会社の下請け業者の所属だった。

Aさんは事故当時、船舶ブロックに付着された「道具積載棚」を溶接機で解体する作業をしていた。重さ230㎏の棚の上に上がって解体作業をしていたAさんは、突然棚が崩れて2.2mの高さから墜落した。病院に運ばれたが二日後の5日昼12時ごろ、脳出血で亡くなった。

当時、Aさんは一人で作業をしていた。突然の墜落事故などに備えられる安全施設物などもなかったというのが、現場を見た遺族たちの主張だ。産業安全保健基準によれば、100㎏以上の重量物を解体する時は、作業計画書を作成し、指揮者の立会いの下で作業をしなければならない。

Aさんの遺族が労働災害で家族を失うのは今回が二回目だ。左官工だったAさんの父親(当時56歳)は2003年11月29日、ソウルのある建設現場の高層階で働いていて、墜落して死亡した。父親が亡くなった翌年の2004年から造船所の下請け業者で働き始めたAさんに、父親と同じ悲劇が20年目に繰り返された。

全南労働権益センターのムン・ギルジュセンター長は「Aさんと父親が同じタイプの事故で死亡したということは、この20年間、韓国の労働現場が変わっていないということを示している」と指摘した。雇用労働部の統計によれば、2022年に全国の産業現場で労働者874人が亡くなった。このうち最も多い322人(36.8%)がAさん親子のように「落下(転落)事故」で死亡した。

Aさんの死亡後、会社の態度も議論の的となっている。再下請け業者であるAさんの会社は、事故当時の状況を調べるために事故経緯書と勤労契約書などを要求する遺族たちに、「元請けから渡すなと言われた」と言って、「一日延ばし」にしたという。遺族が会社を直接訪問して、勤労契約書などを確認することができた。

Aさんの弟は「父親が墜落事故で亡くなった時は、私は幼くて具体的な状況の把握もできず、涙を流すだけだった。今は兄までが同じ事故で亡くなり、『これはどういうことか』と思い、(悲しみを)言葉では表現できない。」「私たち家族のような悲劇が二度と繰り返されないようにしなければならない」と話した。

遺族と労働団体は11日、光州地方雇用労働庁木浦支庁前で記者会見を行い、Aさんの死亡に関する真相究明と責任者の処罰を要求した。「二代にわたるAさん父子の重大災害の悲劇は、私たちの社会が重大災害にどれほど酷く曝されているかを如実に示している。」「元請け業者に対して特別勤労監督を実施し、事業主を重大災害処罰法で処罰せよ」と主張した。

2023年7月11日 京郷新聞 カン・ヒョンソク記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202307112039005