ケア労働者の5割、暴言・暴行の労災被害を経験 2023年07月12日 韓国の労災・安全衛生

公共運輸労組と正義党のカン・ウンミ議員室の主催で行われた「ケア労働者の健康実態調査発表と健康権保障制度改善案を作るための国会討論会」で、ケア労働者が実態を証言している。/チョン・ギフン記者>

京畿道のある民間保育所で子供たちのケアをする九年目の保育士のSさんは、一年中風邪をひいている。免疫力の弱い乳児を保育するため、風邪のような伝染性のある疾患に何度も曝されるためだ。最近は発達障害のような境界線上の乳・幼児が増え、子供たちの突発行動に、教師たちがどうすることもできないケースが多くなった。子供と目を合わせて話すと頬を殴られたり、目を指で刺されたりした同僚もいる。椅子を投げたり噛んだりする子供もいるが、他の子供たちまで怪我をするのではないかと心配され、保育士は黙々とその場を守る。Sさんは「子供が好きで保育教師になったが、保育園は、労災申請に関する話は口にも出せないようにする。」「保育教師が直接労災を申請すると、退社を求めたり解雇することも多い」と証言した。彼女は「母親が幸せでなければ子供が幸せでないように、保育士が幸せであってこそ保育園の乳・幼児も幸せだ。」「勤務時間中に診療を受け、労災を自由に申請する基本権が保障されることを願う」と訴えた。

労災は二人に一人の割合、しかし労災への認識は低く

ケア労働者の二人に一人は、サービスの対象者から暴言や暴行などの労災被害を受けているが、積極的な保護措置をされた経験のある労働者は1割だと調査された。ケア労働者たちは、『病気なら休む権利』を保障されるために、保健福祉部が実態調査と対策作りに積極的に取り組むべきだと口を揃えた。

公共運輸労組と正義党のカン・ウンミ議員は11日午前、国会議員会館で『ケア労働者の健康実態調査発表とケア労働者の健康権保障』討論会を行った。労組は先月7日から30日まで、労組内のケア労働者(療養保護士・障害者活動支援士・保育教師・社会福祉士)526人を対象に、オンラインアンケート調査を実施した。一部の回答者の面接調査も行った。

ケア労働者の半分近くは、年次休暇や病気休暇、休職のときに代替要員が投入されなかった。回答者の50.4%が代替要員が投入されたと答えた。ケア労働は、必ず代替要員が必要な職種の一つだが、政府・地方自治体の段階で代替教師を派遣する保育教師を除いては、ほとんどのケア労働に代替要員の投入は行われていないと調査された。

業務上災害という認識は低いことが分かった。78.9%の回答者が労災の経験がないと答えた。しかし、60.4%は筋骨格系疾患を患っていた。回答者の47%は、サービスの対象者からの暴言や暴行を経験していたが、これを労災と認識する人は少なかった。暴言・暴行を経験しても、使用者がサービスの利用者を退所させたり、不利益を与える積極的な措置を執るケースは、7.4%に過ぎなかった。

「介護サービスの利用者に人権教育を実施すべき」

調査を担当した公共運輸労組のパク・デジン政策局長は、「ケア労働者の健康権を保障するためには、人材拡充が前提になるべきだ」と強調した。年次休暇、休憩時間、病気休暇などは、結局、人材の問題で、『体を使って』働くケア労働の特性上、一人の労働者が席を外せば、同僚の業務が酷く過重になるからだ。

パク・デジン局長は「時間制で働く障害者活動支援士の場合、交代制やチーム制での勤務が確保されない以上、休憩時間の確保は不可能だ。」「施設療養保護士も、夜間に一人で利用者20人ほどのケアをするため、現実的に休憩時間を確保するのは難しい」と話した。

専門家たちは、政府がケア労働者が労災申請に接近しやすくするために、報酬に予備の人材を反映するといった対策を作るべきだと提言した。

クォン・ナムピョ公認労務士は、「ケアサービスの利用者に、(ケア労働者にしてはならない)禁止行為を知らせ、発生時の不利益を告知するなど、積極的な対策が必要だ。」「高齢、女性労働者がケア労働者の大部分を占めている以上、職種別・性別労災統計などを調査し、労災申請の便宜を拡大すべきだ」と提案した。

ユン・ジヨン弁護士は「訪問ケア労働者の場合、利用者だけでなく、利用者の家族による暴力に遭う危険もある。」「長期療養保険など、事業を主管する保健福祉部や国民健康保険公団が保護措置を規定し、ケア機関とケア労働者に情報を共有したり、利用者と家族に人権教育をするなどの努力が必要だ」と強調した。

2023年7月12日 毎日労働ニュース チョン・ソヒ記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=216146