自動車部品会社の労働者、ルー・ゲーリック病に「労災」 2023年06月23日 韓国の労災・安全衛生

自動車部品会社のKBオートテックで27年間働いた労働者のルー・ゲーリック病が、業務上疾病判定委員会を経ずに労災と認定された。

22日、労務法人チャムトによると、勤労福祉公団天安支社は安全保健公団・産業安全保健研究院の疫学調査の結果を根拠に、ルー・ゲーリック病に業務関連性があると認めた。キム・ミンホ公認労務士は「陳述を後押しする客観的な資料は残っていなかったが、過去の業務の中での鉛とトリクロロエチレン(TCE)へのばく露を推定し、科学的な根拠は相当であると判断した」と評価した。

Aさんは1994年にKBオートテックに入社した後、2021年7月にルー・ゲーリック病と診断されるまで働いた。主な業務は車輌用のラジエーター(熱交換器)の試作品の製作だった。Aさんは入社後から2006年まで、鉛が90%以上含まれている製品を使用し、トリクロロエチレンを洗浄剤として使用したと供述した。換気設備が設置されていなかったり、効率の悪い設備が設置された作業場で働き、保護装具も着用していなかった。

しかし、Aさんの有害な作業環境を立証する客観的な資料は残っていなかった。Aさんが生産していたラジエーターは生産中止になり、委託業者がアフターサービスの業務だけを行う状況だったからだ。しかし、産業安全保健研究院は、疫学調査で「Aさんが鉛と有機溶剤に高いレベルで持続的にばく露されていたと推定され、ルー・ゲーリック病の発生に相当寄与したと判断される」と推定し、ルー・ゲーリック病の職業性有害因子は未だ確認されていないが、単に有病率が極めて低いというだけで、職業的な鉛へのばく露がルー・ゲーリック病の発病に影響を与えるという学界の報告は多数存在するとした。Aさんの家族歴や遺伝的な要因が発見されなかったことも労災認定の根拠になった。

キム・ミンホ労務士は「疾病の業務関連性に対する客観的な根拠が残っていないからといって、業務関連性に対する科学的な根拠がないということを意味するものではない」とし、政府が中枢神経系疾患の誘発物質として知られている鉛とトリクロロエチレンに関する実態調査、追跡観察を実施すべきだと強調した。

2023年6月23日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者

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