百貨店・免税店労働者、依然として顧客トイレは使用できない 2023年06月12日 韓国の労災・安全衛生

チョン・ギフン記者

仁川国際空港にある免税店で働くAさんの職場は2階だが、2階のトイレではなく、地下階にあるトイレを使わなければならない。2階のトイレは「顧客用」だというのが理由だ。免税店は入店業者に、「顧客用トイレの使用を自制して欲しい」と要求している。

Aさんは「顧客トイレを使わないよう、朝のミーティングの時に上級者から言われたり、掲示されたりする。」「実名では言わないのに、圧力を感じる」と話した。

デパート・免税店の販売労働者の顧客用トイレの使用を自制・禁止する行為は違法行為だという雇用労働部の行政解釈にも拘わらず、労働者の10人中3人近くは、依然として顧客用のトイレを使えないという調査結果が出た。

デパート免税店販売サービス労組は、討論会でこのような内容の実態調査結果を発表した。調査はデパート・免税店の販売労働者3456人(無労組1180人、有労組2276人)にオンライン方式で行い「働く市民研究所」が、回答結果の有効標本の2472人分を分析した。

調査の結果、労働者の34.7%は、顧客用トイレの使用自制を会社から勧告されたことが判った。使用禁止を通報された労働者も25.5%になった。6.9%は顧客用トイレを利用して不利益を受けた経験があった。顧客用トイレを何の制限もなく利用できると答えた労働者は、48.7%に過ぎなかった。

「職員用トイレが十分に用意されている」とか「職員用トイレが売り場と近い所にある」と答えた労働者はそれぞれ半分(43.1%、41.0%)にもならなかった。

労働部は2019年7月の指針で、「顧客専用トイレの使用禁止措置は関連法令違反」と明らかにした経緯がある。その年の4月、ロッテ・現代・新世界など、12のデパート・免税店の労働者が「トイレを使えるようにして欲しい」と国家人権委員会に陳情を出すなど、社会的な問題になった。これに対して労働部は、行政安全部の行政解釈に基づいて指針を出した。「公衆トイレ法によって提供するトイレは、誰でも利用可能でなければならない」と答えた。デパートや免税店にある顧客トイレを公衆トイレと見たのだ。

労働部が指針を発表して4年が過ぎたが、依然として現場では労働者が顧客用のトイレを使用できていない。

労組はこの日の討論会で「デパートと免税店が法を遵守するように、勤労監督や行政指導をするべきだ」と主張した。

2023年6月12日 毎日労働ニュース ナム・ユンヒ記者

http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=215539