全国から集まった漁民3千人「日本の汚染水投棄は大災害、政府は何をしているのか」 2023年06月12日 韓国の労災・安全衛生

東京電力が福島原発の汚染水放流設備の試運転に入る12日、国会前で、操業を止めて上京した全国の漁民を始めとする市民社会団体の関係者たちが、福島放射性汚染水海洋投棄反対第二次全国行動で、日本の放射能汚染水海洋放流決死反対のプラカードを掲げている。/2023.06.12

「一生を海だけを見て生きていく漁民たちは、『海を汚せば生態系が破壊される、絶対にゴミを捨てるな』と言えば、ゴミを拾って家に帰りました。それが私たちの暮らしと生存を守ることだと思ったからです。ところが、なぜ日本は、全人類を危険に曝す汚染水を海に捨てるのですか!」

『地の果ての村』全羅南道海南郡から、海を越えてやっとたどり着ける島、魚仏島から来た漁民のパク・チョンヒさんは、12日一日の操業を止めてソウルに向かった。日本の福島汚染水海洋投棄が差し迫っているというニュースが聞こえてくると、『じっとしていられない』という切迫感のためだった。

パク・チョンヒさんは「汚染水の投棄が始まれば、韓国漁民が、怒った波と戦って獲ってきた魚や、昼夜を問わず養殖場で育てた海苔やカキ、アワビ、魚介類の消費が減少するだろう」、「政府がどんなに『水産物を食べても大丈夫』と広報しても、国民は信じないだろうし、政府の言葉からは傲慢さしか感じない」と糾弾した。

日本の汚染水投棄を前に、不安に怯える漁民はパク・チョンヒさんだけではなかった。釜山の漁民のヤン・ジョンボクさんも、慶尚南道の泰安で囲い養殖業を営んでいるカン・ナムテさんも、今日の仕事をあきらめて国会前に駆けつけた。こうして全国から集まった漁民だけで3千人余り。彼らは日本の利己的で無責任な汚染水投棄決定に反対し、韓国政府が積極的に汚染水投棄を阻止すべきだと追求した。

全国漁民会総連盟は、「日本の放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動」と一緒に、国会前で全国漁民大会を開催し、「10万漁民全員が死ぬ!」「福島汚染水海洋投棄を阻止せよ!」と声を強めた。この日は東京電力が福島汚染水海洋投棄のための設備の試運転を始めた日でもある。

チュ・ヘグン会長は「今、全国民が汚染水の放流に対する深刻性を知っているにも拘わらず、韓国政府は国民のためのいかなる行政も対策も議論もしていない状況」で、「国民が不安に思い、漁民は生存権を脅かされているのに、政府は何もしていない」と指摘した。

全国漁民会総連盟のキム・ジョンシク常任副会長は、「余りにも悔しくて怒りが爆発し、夜も眠れない。」「2011年の福島原発事故当時を覚えている。当時、何の罪もない漁民だけがどうしようもなくなって倒れ、その時の血と涙が未だ残っている」と訴えた。

キム・ジョンシク副会長は「今はその時よりもひどい。」「汚染水が放流されれば、誰が安心して水産物を食べるだろうか。早くも天日の塩の価格が高騰し、生物の価格が半額で取り引きされ、既に国民の83.4%が水産物の消費を減らしていると言っている」と話した。「汚染水は我々漁民には大災難だ」とし、「日本の汚染水が我々漁民を殺しているのに、なぜ誰も私たちを守ってくれないのか。このような時こそ、政府が乗り出して私たちを守らなければならないのに、私たちはどこに行って訴えれば良いのか」と絶叫した。

東京電力が福島原発の汚染水放流設備の試運転に入る12日、国会前で、操業を止めて上京した全国の漁民を始めとする市民社会団体の関係者たちが、福島放射性汚染水海洋投棄反対第二次全国行動で、日本の放射能汚染水海洋放流決死反対のプラカードを掲げている。/2023.06.12

漁民は根拠もなく生存権の脅威を訴えているわけではない。実際、環境運動連合が先月19~22日まで、全国の満18歳以上の成人男女1千人を調査した結果、「汚染水放流が始まれば、自分の水産物の消費が減るだろう」という回答が72%に達した。該当の調査はRDD無線(100%)、ARS自動応答調査方式で行われ、標本誤差は95%、信頼水準で±3.1%だ。もっと詳しい内容は環境運動連合のホームページなどで確認できる。

福島県で55年間、漁師として暮らしてきた小野晴夫さんも手紙で、「日本の汚染水投棄を一緒に止めよう」と訴えた。

小野晴夫さんは「海は漁師の仕事場であり、魚が住んでいるところであり、大きな一つの生命体だ。ところが、なぜここにトリチウム汚染水を流すのか?」「私は東日本地震の直後、東京水産物市場で『福島の魚は買わない』と言われたことがある。それなのに汚染水の放出で再び同じ悪夢を繰り返すことになりそうだ」とし、「海は漁師だけのものではない。海水浴をする人や釣りをする人、サーフィンをする人など、多くの関連性を持っている。」「海は繫がっているので、福島の海に汚染水を流してしまうという国の暴走をどうか止めて欲しい」と呼びかけた。

漁民大会には野党の政治家たちも参加し、汚染水投棄の阻止のために一緒に闘うと約束した。

正義党のイ・ジョンミ代表は、「日本が汚染水放流施設の試運転をすると言っているが、大韓民国だけが余りにも静かだ。」「これまで『汚染水ではなく処理水だ』『なぜ怪談を流布して国民を不安にさせるのか』『韓国の視察団が行って、必ず徹底的に科学的な検証をする』と、無数の言葉を吐き出した政府からは、汚染水の放流が本当に目の前で秒読みを始めたのに、『なぜ汚染水の放流はだめだ』という一言が聞こえないのか」と糾弾した。

イ・ジョンミ代表は「日本が汚染水を海に放流する理由はたった一つだ。海に捨てる方が保管するよりも廉いからで、日本の企業が利潤を数ウォンでも上げようとすることに、大韓民国の政府が自国の漁業民の全てを犠牲にするような決定をしてはならない」と強調した。

進歩党のユン・ヒスク常任代表も「東京電力が放射性汚染水放流の試運転をするということは、韓国国民はもちろん、国際社会に対する宣戦布告だ。」「なぜ罪のない漁民が汚染水の被害を被らなければならないのか。なぜ韓国漁民が生業を放棄して、ここまで来て戦うようにさせるのか」と批判した。

ユン・ヒスク代表は「政府が乗り出して、少なくとも太平洋の他の国々のように、汚染水は危険ではないと完全に検証されるまでは放流を延期するように、日本に求めるべきだ。」「もっと大きく団結して、もっと大きく戦おう。汚染水の投棄に反対するすべての力を合わせて、韓国政府からも反対されないようにしよう」と話した。

2023年6月12日 民衆の声 ナム・ソヨン記者

https://www.vop.co.kr/A00001634784.html