入社九カ月目の新任労働監督官の死 2023年05月04日 韓国の労災・安全衛生
雇用労働部の30代の勤労監督官のA氏が苦情に苦しみ、自ら命を絶った。入社九ヵ月目だった故人は、業務中に起こった内容に対して、請願人が職務遺棄などの疑いで本人と上司を検察に告訴したため、心的な負担を感じていた。
請願人を相手にする公務員が訴訟に苦しめられ、心的な苦痛を経験し、自ら命を絶つことが忘れ去られれば繰り返されるため、対策が必要だという主張が提起されている。
「自分のことで周りの人が苦しみ、心的な負担を感じる」
勤労監督官のA氏は1日、牙山市のある公営駐車場で亡くなっているのが発見された。A氏が出勤せずに連絡が取れないと同僚が警察に通報し、警察は車の中で死亡しているA氏を発見した。
労働部と労働部の職場員協議会、国公労の説明によれば、A氏は天安支庁・勤労改善指導課で、請願人の申告事件に関する業務を担当していた。A氏は請願人の陳情によって、解雇予告手当ての支給に関する業務を行っていたが、この過程で問題が生じ、請願人が職務遺棄などの疑いでA氏と天安支庁長、担当課長などを検察に告訴した。4月末、検察は警察に事件を移管して捜査を指揮し、A氏は亡くなる数日前にこの事実を知った。
国公労の関係者は「請願人が再陳情し、既に別の監督官に事件が引き継がれた状態だった。」「自分のせいで他の人(上司)も告訴されたことに対する負債感情が大きかったのではないかと思う」と話した。
天安支庁は請願人の抗議で、A氏に『注意要求処分』をしたことが判った。注意要求処分は、所属の機関長が、所属公務員が職務上の過失を犯したが、事案が軽微な場合に懲戒の議決を要求せずに行う処分で、人事記録に残る。内部の関係者たちは、請願人の問題提起が大きいため、何の措置もせずにやり過ごすのが難しいために行った決定だと見ている。
業務中の訴訟も個人が完全に処理
更に深刻な問題は、このように、特異な苦情が解決されずに訴訟に繋がるケースだ。公職社会は、その責任のすべてを個人が抱え込むように設計されている。陳情人が行政処分に従わずに行政訴訟を提起した場合は、該当機関が訴訟の主体になるが、請願人が勤労監督官など公務員個人に恨みを抱いて訴訟をする場合は、十分な法律的な支援の後押しがされないという指摘だ。
雇用労働部のイム・ジュヨン会社員協議会長は、「(公務員が)いくら国民の奉仕者であっても、ある程度職場の保護措置が必要なのに、そのようなことは全くない」とし、「(公務員個人が)告訴・告発されれば部署が支援するが、訴訟で勝つ場合に限定され、それも事後的に弁護士選任料の一部を支給するだけだ」と指摘した。
国公労は先月21日に開かれた労使代表者懇談会でイ・ジョンシク長官と会い、(ソウル・中部・釜山・大邱・光州・大田)労働庁に、業務中の訴訟に絡んだ公務員を支援する法律訴訟専門部署を作ってほしいと要請もした。国公労の関係者は「(労組の要求によって)2021年に行政安全部が『公職者苦情応対マニュアル』も作り、昨年は軽量監視カメラを普及させたりもしたが、憂慮される状況が引き続き発生している」として、対策を求めた。
労働部の関係者は「地方官署に権利救済チームの弁護士がいて、特異な嘆願に関しては支援する弁護士を利用できる」とし、「規制改革担当官室にも労働部の諮問弁護士がいて、法的な諮問を受けることができる」と話した。この関係者は「公務員年金公団でも無料の法律相談などを受けることができる」と付け加えた。
しかし、地方官署の権利救済チームの弁護士や規制改革担当官室所属の顧問弁護士の場合、相談だけしかできず、法律業務全体は代理しないため、直接支援を受けるには限界があると指摘されている。実際、匿名を要求した元・公務員年金公団の顧問弁護士は「(公務員が置かれている)状況が法律的にどのような関係なのかを診断し、対処方案を案内するレベル」と説明した。
2023年5月4日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者
http://www.labortoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=214902