産業技術保護法はサムソン保護法?2019年11月21日

最近国会を通過して、来年2月21日から施行される産業技術の流出防止および保護に関する法律(産業技術保護法)の改正に、労働・市民・社会団体が、産業災害の立証がより一層難しくなり、国民の安全・生命が侵害されると、憂慮を表わした。情報公開請求などで適法に提供された情報でも、「産業技術を含んだ情報」を流出させれば制裁するという内容で、昨年サムソン電子とサムソンディスプレイの作業環境測定結果報告書の公開を巡って起こった論議が再発する姿だ。
「半導体労働者の健康と人権を守る会」(パノリム)は20日、国会前で「安全と生命を蔑ろにした産業技術保護法の改悪糾弾」記者会見を行った。パノリムは「産業技術保護法の趣旨は、技術の流出を防止し、産業技術に対する保護措置を強化することであって、関連した情報をすべて非公開にするという趣旨ではない」と批判した。
パノリムは、産業技術保護法の改正は、サムソンからの請負立法だと主張した。政府は昨年2月、大田高等法院が、白血病死亡労働者の遺族が要請した「サムソン電子の作業環境測定結果報告書を公開せよ」という判決を出すと、上告を放棄した。これに産業通商資源部が、国家の核心技術だとして公開に反対した。国民権益委員会・中央行政審判委員会も、報告書の公開にブレーキをかけた。パノリムは昨年10月、中央行政審判委員会に対し、情報非公開決定の取り消しを求める訴訟を提起している。
産業技術保護法の改正案は、訴訟を提起した翌月に、自由韓国党の議員が発議した。 国家の核心技術に関する情報は公開されてはならないという内容だ。12月には、同党の議員が、公開行為を制裁する内容の改正案を出した。改正案は3月の常任委員会に上程され、わずか5ヶ月で、本会議まで一瀉千里に通過した。
イム・チャウン弁護士は「国家核心技術に関する情報というのを、一体誰が、どのように定義できるか」と言い、「国家核心技術を保有しているすべての事業場が、すべての情報を非公開にすると主張するだろう」と憂慮した。

2019年11月21日 毎日労働ニュース カン・イェスル記者