『安全な職場』を作れに「女性の当直を減らす」交通公社 2022年9月21日 韓国の労災・安全衛生

ソウル交通公社のキム・サンボム社長が20日、国会で行われた女性家族委員会の全体会議で議員の質疑に答えている。/国会写真記者団

「危ないから女性の当直を減らすんですか? あきれた代案です。こんなにして女性を業務から排除することを最も憂慮しましたが・・・・。」

ソウル交通公社所属の女性駅員は、ソウル交通公社の社長が「(新堂駅ストーカー殺人事件の対策として)女性職員の当直勤務を減らす」と明らかにしたことについて、このように話した。14日にソウル地下鉄の新堂駅で亡くなった被害者と同じ業務をしているという彼女は、「危なくない職場を作ってくれと言うのに、どのように女性の当直を減らすかといった皮相的な対策しか考えられないのか」、「経営陣はそれが本当の代案になると考えているのかを知りたい」と話した。

ソウル交通公社のキム・サンボム社長が20日、国会・女性家族委員会の全体会議に参加し、「新堂駅ストーカー殺人事件」の対策に触れて、「女性職員の当直勤務を減らすなど、様々な方法で勤務制度を変える」と発言し、論争が起きている。『保護』を名目に、女性労働者を業務から排除するやり方でり、むしろ職場内の性差別を強めかねないかと心配される。

18日、ソウル地下鉄2号線の新堂駅舎内の女子トイレの前に、14日に殺害された「新堂駅ストーカー殺人事件」の被害者追悼の場所が作られている。/イ・ジュンホン記者

韓国女性労働者会のペ・ジンギョン代表はキム社長の発言に対して、「想像できることの中で最も最悪の代案」と批判した。「今回の事件はジェンダー暴力に因る事件だ。この構造的な問題を考慮しながら安全な職場を作るべきだが、ただ女性の行動半径を制約することは、代案になり得ない」と話した。「危険だから女性の当直を減らすという発想は『危険だから夜は女は出歩くな』式の考えと同じ」で、「安全な環境は根本的に危険要素を除去することから始まり、女性の行動半径を制限することから始まるものではない」と話した。

18日、ソウル新堂駅10番出口の前に14日に殺害された「新堂駅ストーカー殺人事件」の被害者を追悼する文書が貼られている。/ イ・ジュンホン記者

韓国女性政策研究院ジェンダー暴力研究本部のチャン・ミヘ専任研究委員も「女性を一部業務から排除すれば、採用や昇進の過程で、女性には特定業務を任せられないという先入観が作用し、再び特定性別の職員を排除する理由として作用する」と指摘した。同時に「女性の当直を減らせば、それだけ男性職員がより多くの当直をしなければならないため、不本意ながら、性別間の葛藤を助長することもある」と話した。

京畿大学犯罪心理学科のイ・スジョン教授は、「安全な職場を作るには、さまざまな方法がある」と説明した。「防犯カメラをもっと利用するとか、先端技術を導入するとか、現存の技術を利用しても安全な職場を作る代案を出すことができる」、「女性だけを保護すれば良いという考え方は、根本的な対策にはなり得ない」と話した。

ソウル交通公社労働組合はこの日声明を出し「女性の職務遂行能力を制限し、特定業務から排除することは明白な差別であり、むしろ不利益措置に加担することになる」とし、「二人一組での巡察勤務ができるような追加の人員が必要だが、実質的な使用者であるソウル市は公社の後ろに隠れている」と指摘した。労組は19日から30日までを『新堂駅事故追悼と追悼行動週間』とし、追悼リボンの着用、追悼祭、組合員総会などを行う。

2022年9月21日 京郷新聞 ムン・グァンホ記者

https://www.khan.co.kr/national/national-general/article/202209211356001