30kg装備を担いで電柱に登り、高圧電線に触っていた労働者12人が集団労災申請 2022年7月12日 韓国の労災・安全衛生

電気労働者のチョン・グァンモさんが12日、勤労福祉公団ソウル地域本部の前で行われた「集団労災記者会見」で、作業中に負傷した肩を取材陣に見せている。/ソン・ドンフン記者

高い電柱に登ったり降りたりしながら、クモの巣のように絡まっている高圧電線を整備する電気労働者がいる。電柱の一番上に高圧電線を設置するためには、安全保護具やロープなど、20~30㎏に達する装備と資材を結び、電柱に足場ボルトを1m間隔で設置しながら登らなければならない。腰、肩、腕、足、膝など、全身に力を入れる。電線を引っ張ったり重い資材を持ち上げて設置する時も、繰り返し強い力を入れることになる。住居地と商業地区が多く、電柱と電線が複雑なソウルでは、電気労働者の困難が加重される。

建設労組は勤労福祉公団ソウル地域本部の前で記者会見を行い、ソウル地域で働く電気労働者12人が集団で労災申請をすると明らかにした。

今回労災を申請する人たちは、長くは1988年から35年、短くは2006年から15年間、電気の業務をした労働者たちだ。平均年齢56.6歳、平均経歴は27年だ。それぞれ回転筋蓋破裂、癒着性皮膜炎、椎間板ヘルニア、脊椎前方転移症などの筋骨格系疾患を患っている。10人は回転筋蓋破裂復元術、人工ディスク置換術といった施術や手術を受けた履歴がある。

彼らがこの疾患で労災申請をするのは初めてだ。電気労働者が電柱で仕事をして墜落したり感電したりするなどの『事故』が発生した場合は、労災申請と承認がされたりもするが、長い間仕事をする過程で体に徐々に影響を与える『筋骨格系疾患』が発生した場合、労災申請をして承認された事例は珍しい。

電気労働者は高い電柱に足場ボルトを設置しながら上がり(左の写真)し、高い資材を持ち上げなければならない。/建設労組提供
電気労働者が不安定な支持状態で、体を前かがみにした姿勢で作業をしている。/建設労組提供

建設労組は「韓国電力で、2年周期で業務を落札した業者で働く非正規職の下請け労働者なので、労災保険は夢にも見られなかった」とし、「業者に労災保険の話を持ち出しただけでも雇用不安が襲ってくるのが現実」と話した。

電気労働者が電柱に設置するために背負ったり持ち上げる資材は10㎏は基本で、40㎏もあったりする。地面に垂れた電線を両側の電柱にぴんと張って設置する時は、不安定な支持台を使いながら、腰を曲げたり捻ったりした姿勢で、繰り返し作業をしなければならない。

今回、労災を申請したチョン・グァンモさんはこの日の記者会見に参加し、「2年前から痛みを強く感じ、筋骨格系破裂という診断を受けた」、「2ヶ月前に手術をしたが、業者からは『労災に上げる事案ではない』、『労災に上がれば、次の契約の時に不利益を被る』と言われ、今日明日と労災申請を先送りした」と話した。チョンさんは「電気労働者は多くの苦痛を受けながら働くが、個人的に施術や手術をするケースが多い」とし、「今回労災と認められれば、労働者としての権利を見付けたこと」と話した。

建設労組は「電気労働者は2万2900ボルトの高圧を行き来しながら『下手をすると死ぬこともある』という恐怖感の中で、超緊張の中で働いている」とし、「電気労働者の筋骨格系疾患を労災と認定し、韓電は作業環境の改善に取り組まなければならない」と話した。

2022年7月12日 京郷新聞 イ・ヘリ記者

https://www.khan.co.kr/national/labor/article/202207121618001