息ができない「最も致命的な労災」・・・・「窒息事故」の致命率47.4% 2022年5月30日 韓国の労災・安全衛生

2020年大邱市の資源リサイクル業者の施設内の穴に入った労働者4人が倒れる、消防本部が緊急出動して現場を見ている。/写真大邱消防本部提供

2020年6月27日、大邱市の資源リサイクル施設で、労働者のAさんが古紙の残り滓を掃除しにコンベアの下の穴に入って倒れた。穴に数ヵ月間も溜まったまま放置されていた廃紙が腐って大量の硫化ガスが発生し、それに中毒したためだった。それを知らずに、同僚たちがAさんを助けようとして穴に入ったが、同様に硫化水素中毒で倒れた。結局、この事故で労働者2人が死亡し、2人が負傷した。

この10年間に発生した窒息事故で死んだり怪我をした労働者は348人で、このうち47.4%の165人が死亡したと集計された。全事故性災害平均(1.1%)の44倍だ。

雇用労働部は2012年から昨年までに発生した窒息事故196件を分析して発表した。被災者全体の中に死亡者が占める致死率は、窒息事故が47.4%で圧倒的に高く、感電(6.4%)と墜落(2.5%)が後に続いた。「窒息事故は最も致命的な労災」だ。

産業安全保健法により、事業主は作業現場の中で密閉空間に当たる場所がどこか、また該当の空間での作業を指示する場合、窒息災害予防のために酸素と有害ガスの濃度を測定し、安全をあらかじめ確認しなければならない。それでも整備や清掃など、断続的に作業が行われる場合、こうした措置が抜け落ちたり、労働者に正しく案内されないケースが多かった。雇用労働部の関係者は「この10年間に発生したほとんどの事故で、事業主が有害ガスの安全管理をしていなかった」と説明した。

窒息事故が頻繁に発生した15種類の作業類型を調べると、汚・廃水処理施設と浄化槽、畜産の糞尿処理作業で発生した窒息事故が10年間で52件(26.5%)と最も多かった。これらの作業中に亡くなった労働者は49人で、最も多くの死亡者が出た。汚・廃水処理施設などでは、有機物が腐敗・発酵したり、微生物が増殖して、空気中の酸素が不足したり、硫化水素やメタンガスが発生しやすい。硫化ガスが溶け込んでいる廃水や残った滓に触れると、ガスが爆発的に発生して窒息を引き起こす。

二番目に窒息事故が多く発生した作業は、褐炭を利用したコンクリートの養生作業だった。10年間で19件の災害が発生し、14人が死亡、20人が負傷した。冬の寒い時期に養生が不充分だと、褐炭を焚いて温度を上げることが多いが、この過程で一酸化炭素中毒の危険が大きくなる。窒素、アルゴンガスなど、不活性ガスを扱う作業の事故件数は17件で、コンクリートの養生作業よりも少なかったが、死亡者数は23人と多かった。配管の溶接をする時、配管の中に詰め込むアルゴンガスが配管の外に漏れ、作業している労働者が中毒になるなどの事故などだ。

2022年5月30日 ハンギョレ新聞 シン・ダウン記者

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/1044950.html